第28話:告白場面
昼休み以降は、神様全員が揃って読書に励んでいた。こういう時に限りシバルがまったく言葉を出すことなく真剣に本を読んでいる、俺など眼中にないようだ。
俺は気になる隣の生徒、図書委員に横眼を向ける。シャイで、大人しくて、メガネを掛けていて、顔も可愛いらしい。今までずっと意識していなかったが、意識し出すと凄く気になる。名前は何と言ったか……まったく覚えていない、聞いておけばよかったか、俺は少々後悔する。
妙に緊張した授業が終わり、放課後へと突入した。ついにこの時がやってきたのだ。俺は高鳴る心臓を押さえて教室を後にする。春日井達には用があると言っておいたから大丈夫だ、問題はお荷物の神様軍団である。置いておくわけにもいかないので、俺は神様三人を連れて屋上へと向かった。
屋上へ到着すると早々にシバルのガトリングトークが始まる。
「こういうときってドキドキしますよね。いいなぁ〜、彼女ですよ。うらやましいです。僕も彼女ほしいなぁ〜って思うんですけど、神様って基本的にそういう付き合いはないんですよね。まぁ、大人になれば多少なりともお付き合いしている方もいるのですが、子供でお付き合いってママゴトみたいですし、ちょっと雰囲気も出ませんからね。それに神様って結婚とかもないんですよ。つまらないでしょ? それに……」
俺はシバルの一人独言を止めることなく、図書委員のことを考えていた。本当に告白されたら、何と答えようか? もちろん、断るわけはないが言葉に詰まる可能性はある。今の内に脳内シミュレーションをしておこうか、そうすれば本番になって焦ることもないのではないか。
俺は頭の中で妄想を繰り広げ、シバルは一人で喋り、ウェスタ達は追いかけっこをしているところに図書委員がやってきた。本番スタートだ! まずは図書委員が口にする。
「あの……来てくれて嬉しいです」
「え、あぁ……」
「そんな情けない声出してないで、もっとはっきり喋ったらどうですか? 彼女も気まずくなるじゃないですか」
シバルの言葉などもちろん無視する。図書委員が続きを話す。
「本当は………もっと前に言おうと思っていたのですが……」
「え?……」
間をおいて図書委員が口を開く。
「その……初めてなんです」
「はぁ……」
「駄目ですね〜、自分から進んで言わないと『はい、僕も初めて恋をしました』くらい言えなきゃ今後がもちませんよ」
彼女のいない奴にそんなこと言われたくない! が、そんなこと言えるわけなく俺は黙る。俺の頭はヒート寸前だ。そこへウェスタ達が走り込んでくる、まったく恋の雰囲気がでない。ヒュプが俺の後ろに隠れてウェスタから逃げようとする。
「きた、オニ」
「オニだよー! ガオー!」
鬼はガオーと鳴かないだろ、突っ込みを入れたいがそういうわけにもいかない。微妙な告白場面で図書委員が言った。
「見える人……と会うの」
「はぁ?」
「こういう人達のこと……」
図書委員が、ウェスタ、ヒュプ、シバルを順に指差し口にした。俺とシバルは顔を合わせ沈黙する。ウェスタ達は追いかけっこの続きだ、遠くへと走り去って行った。驚きいっぱいの顔でシバルが口を開く。
「もしかして、僕達のことが見えるんですか?」
「は……はい……そうです」
「それは驚きですね………」
あまりの異常な場面なのでシバルも声が出ないらしい、あのお喋りが沈黙している。ウェスタ達の笑い声が聞こえる中、俺は手を上げて提案する。
「よし、落ち付け、俺ら。今からゆっくりと話し合おう」
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