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第25話:幽霊出現
 とにかく二時間目が終わり、三時間目に移る。そしてこの時間に俺に大きな災いが訪れることとなる。

 ウェスタとヒュプは他生徒の様子を伺っているようだ、他生徒の手元を覗き込んでいる。面白い消しゴムやペンに興味があるのだろう、パクってこないことを祈る。三時間目は普通に授業を受けようと思っていたところにシバルが話しかけてきた。

「そういえば、今日は所持金いくらですか?」
「あ〜、二万くらい」
「それだけあれば十分ですね」
「何を買う気だよ?」
「できれば新しい調理器具が欲しいところなのですが、そういうわけにはいかないでしょ? まぁ、最低限………調味料は欲しいところですね」
「あぁ、そう言えば調味料なんて買ったことないな」
「よくそれで今まで暮らしてきましたね」
「案外どうにかなるもんだ」
「そういうものですかね」

 俺達が駄弁っていると、教室にざわめきが起きる。何事かと思い前を向くと、ウェスタとヒュプがチョークを手に持ち、黒板に落書きをしているのだ。しかも、ただの落書きではない。先ほど校庭に書かれていたシバルの文字を見よう見まねで書き写している。
 傍から見ると、突然に俺の名前が黒板に書かれ出すという形だ。その上、ウェスタ達の下手な文字が却って恐怖を増さす原因となる。

 言葉もなく青い顔をする俺に同様に青い顔をした先生が言う。

「柊君、黒魔術でもしたのですか?」
「いえ、してません」

 今の俺にはそう答えるのが限界だ。シバルがおもむろに口を開く。

「あらら、やっちゃいましたね」

 ウェスタ達は黒板に落書きを終えると、俺の元へと走ってきた。とても満足そうな顔をしている。二人でニコニコ笑って黒板を指差し、俺に言う。

「大好き、タックン!」

 むろん俺はありがとうなど言うわけがない、むしろ有難迷惑である。呆然とする俺にシバルが言葉する。

「この際、超能力者って肩書でも作ったらどうですか? あ、でも、自分のことを大好きだとか言う人はまずいないですよね。それじゃあ、あなたがナルシストになってしまいますね。まぁ、新しくナルシスト超能力者とか作れば案外に流行るかもしれませんよ」

 二時間目が終わり、休憩時間に入る。いつもの三人組が俺を取り囲み、他の奴らは俺から離れようとする。そして遠くからちらちらと俺を見ては小声で話し合う姿が煩わしい。しょげている俺に春日井が口を開く。

「おい、タックン。美人な幽霊が帰って来たのか? しかも、二人も。俺にも一人紹介してくれよ」
「あぁ、紹介してもいいぞ。一人男だがな」
「凄いですよ! 柊さん、幽霊と交流しているなんて!」

 青木が目を輝かせながら興奮している。次に大杉が言葉する。

「柊君って霊感あったんだ。じゃあ、さっきの校庭の文字も幽霊なの?」
「あぁ、その通りだ」

 俺は否定しない。あいつらは幽霊ではないが幽霊のようなものだ、そう考えれば大杉の言葉はまさに的確である。

「どうしたら美人な幽霊見えるようになるんだよ?」と春日井。
「部屋に神札を貼った日から見えるようになった」

 俺が落ち込み気味に言う。その言葉を聞いてシバルが口を開く。

「そうだったのですか、神札の力で。なるほど、別にあなたが特殊だというわけではないのですね。それにしても、僕らが見えるようになる神札と言えば、相当な力がある神札ですね。そのままで放置されていたわけではないでしょ? 何かで封印さていたとみて間違いないですね」

 大当たりであるが、俺は頷かない。そうすると俺の怪しさが倍増だ、友達をなくすかもしれない。神様だけが友達なんてそんな人生は嫌に決まっている。

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