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第208話:お泊りしよう〈その9〉
 ゆったりとした空間、時間もゆっくり経過する。俺達は朝からすることもないので。トランプをしたり、お喋りをしたり。家庭科室で時間を過ごす。途中で青木が帰ってきて、未来の頭を鋭く叩く。未来が嘆きながら、青木を見る。

「いた~い! 何するの、ハルトン!?」
「未来さんなんて死んでしまえばいいんです」

 どうしたのかわからないが、えらく青木が不機嫌だ。未来の隣に座り、ピリピリオーラをかもし出す。青木らしくない行動に、皆は唖然である。不意に青木が怒るのを止めて、俺に向く。

「そういえば、シバルさんを見かけましたよ」
「どこでだ!?」

 食い付きのいい俺に、青木がためらい未来を見る。未来は平然と青木に言う。

「別に話しても、いいんじゃない? どうせ意味なんてわからないだろうし。それに、俺もお話聞きたいから。シバ君は元気そうにしてた?」

 未来の言葉を聞いて、青木が俺に話し出す。

「見かけたと言っても、直接に話はしていません。少し近づけない位置にいましたので……。まぁ、元気そうにはしていましたよ。山積みにされたマグロのたたきを見ながら、誰かと一緒に凄く真剣な顔で悩んでおられました」
「青木君、頭は大丈夫?」

 大杉が超真剣な顔で、青木を心配する。まぁ、そうだろう。怪我人がマグロのたたきを見ながら、悩んでいる。なんて言えば、変になったと思われても仕方がない。未来が嬉しそうに反応する。

「マグロのたたきか。賞味期限切れたのかな? やったー、今日はマグロ丼だ!」
「ネギトロもありだな。夕飯を考えなくて済みそうだ」

 江川先生も喜ぶ。何なのか? 話についていけない俺達は、固まりながら頭を回転させる。



 だらだらと時間が過ぎる。本当にすることのないお泊り会だ。友達の家なら、ゲームがあるし。出かけるのなら、カラオケやボーリング場などがある。しかし、学校にずっと居座るとなると、あるのはお勉強くらいだ。

 文句を言いつつも案外に楽しんでいる心境である。だらだらとお喋りをしながら、お茶を飲む。トランプやオセロをして、お菓子を食べる。
 ちび共はお菓子をたらふく口に含みながら、追いかけっこだ。もちろん、江川先生に注意を受ける。ひっくり返って、喉に詰まらせたら大変だ。

 ちび共とピーちゃんが春日井魔王を退治する中、不意にタテが話を振る。

「そういえば、そろそろ神光祭があるよね。未来様やお姉さんは参加するの?」
「神光祭? 何それ?」
「オリンピックみたいなものだよ。個人の能力に合わせて、競技をするんだ。参加するのに制限はなくて、誰でも参加可能だって。最後に開かれたのは、相当前だって聞いたけど……」

 未来に続き、江川先生が答える。タテの言葉に口を出さないのは、既に諦めたためであろう。タテが頷いて、江川先生を見る。

「うん、千年近く前だって聞いたよ。その時、僕はいなかったから、よくは知らないけれど。シバル様なら知っているんじゃないかな?」
「あいつ千年も生きてるのか?」

 未来がぼそりと呟く。まぁ、確かに、千年も生きているような人物には見えない。どちらかと言えば、俺達と同年代のようなイメージだ。神様組の話を聞いて、桜井が問いかける。

「それは、見物とかもできるのですか?」
「うん、俺は見物だけにするつもり。せっかくだし、一度は見てみたいからね」

 江川先生が答える。未来が桜井に言葉する。

「もしかして、優奈ちゃんも見物したいの?」
「え……あ、はい。神様が沢山集まるお祭り……少し気になりますね」
「私達も見物してみたいわ。ね、青木君?」
「いえ、僕は今それどころじゃないですし……」

 青木が否定気味に言葉するところ、タテが笑顔する。

「最優秀賞を取れば、一つだけ願いを叶えてもらえるんだって」
「参加します」

 青木が即答した。え? 見物じゃなくて、参加なの? 最近の青木は積極的だ。青木の言葉に大杉がはしゃぎだす。

「それは面白そうね。私達でも参加できるのかしら?」
「確か……どれだけ人間の常識を知っているか。クイズ的な物もあったから、参加してもバレないとは思うけど。凄くレベルが高いはずだよ。何せ知識の神様とかが参加するからね」

 江川先生の言葉を聞いて、青木がため息をつく。参加は諦めたらしい。そして、タテが新たなる競技を提案する。

「それなら、無制限バトルに参加したらどうかな? お祭り、一番のメインだよ。参加者は自分の能力を生かして、バトルするんだ。とにかく勝ち残ればいいっていう、シンプルな競技だから。難しいことはないし。武器の持ち込みもありだから、人間でも運がよければ勝ち残れるかも」
「負けたらどうなるのですか?」

 青木が蒼白しながら言う。死んでしまうとでも思っているのだろうか? タテが青木の問いに答える。

「危ないことはないよ。競技の前にバリアーバッチを貰えるから。バリアーが壊れた時点で負けになるし。よっぽどのことがない限り、怪我はしないよ。このお祭りは個人バリアーも禁止だからね。僕的には個人バリアーの方がいいんだけど……」

 タテが一人で戦闘論を話す中、青木が真顔で俺に話しかける。

「柊さんはどうしますか?」
「参加するわけがないだろ。お前ら、人外と一緒にするな」

 青木は既に人外だ。わけのわからない能力が付いた以上、神様と同類に位置する。俺の言葉に青木が不平を言い、未来が腕を組みながら考える。

「俺は参加しようかな。無制限バトルか……シバ君よりも、強い人がいるのかな?」

「ちび神」が面白ければ、投票お願いします。



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