第23話:例の子とは
授業が終わり、俺の周りに人が集まる。男子どもは俺を冷やかし、女子は遠くから俺の方を見て囁き合っている。正直、こっちのほうが精神的に痛い。
俺は「ただの悪戯だろ」と言って場を流す。しかし、こういうことはそうそうないため、しばらくの間は話題になるのだろう、暇な学校の日常だ。
俺が滅入っているとお友達三人組が俺に話しかけてきた、まずは春日井だ。
「タックン、チャンスじゃん! 例の子を彼女にしちゃえよ」
彼女か、子ども神様をな。次に大杉が言葉する。
「書いたのが男だったらどうする? 柊君?」
現に書いたのは男だろう、しかも超年寄りな爺だ、さらに死神だ。そして、青木が話し出す。
「でも、誰も書いているところを見ていないそうですよ。こんなに沢山の生徒がいるのに不思議ですよね」
シバルのことだ、超能力でも使って速書きしたのだろう。その上、あいつらの姿は一般の人間には見えないのだから、誰が書いたのかもわかるわけがない。最後に、俺が口にする。
「この話は終わりだ、見なかったことにする」
「せっかくのチャンスなのに」と春日井。
「犯人は見当がついてる」
「誰なのよ?」
大杉が楽しげに俺に問う。これをネタ話にするつもりだな、そうはさせない。
「秘密だ、秘密、見当はついてるが確信はない」
「もしかして柊君もその子のこと好きなの」
「それはない」
俺が真顔で答える、シバルのことが好きなんて嘘でも口にしたくない。それを見て大杉がつまらなそうに言う。
「なーんだ、面白くないなぁ」
そういえば神様組はどこに行ったのか、俺は校庭に目を向ける。しかし、校庭にはいないようだ、落書きも消えている。
俺は腕を組みながら考える。向こうにはシバルがいるから大丈夫だろう、あいつは子どもよりも大人に近い、危険な事はしないと思われる。だが、安心できないのはどうしてだろうか? それはあの落書きをした張本人がシバルだからだ。
俺が考え込んでいると青木が話しかけてきた。
「どうしたんですか、柊さん? 考えこんじゃって」
「いや、少々気になることがあってな」
「僕らの事ですね。大丈夫ですよ、ちゃんとここにいますから」
唐突に表れたのはシバルだ、その後ろにはウェスタとヒュプが控えている。俺は思わず怒鳴りながらシバルに掴みかかる。
「お前、何て事してくれたんだよ!」
シバルは俺を見事に避けて口を開く。
「まぁまぁ、落ち付いて下さいよ。そんなことすると怪しい人になりますよ、もうなってますけど」
俺はシバルの言葉に硬直する。クラスの生徒全員が俺を不安げに眺めていた。俺は空笑いをしながら言葉する。
「あははは、む、虫が飛んでて……」
痛い言い訳だ、これで今日から俺は変人として扱われるのだろう。今にも泣きそうな俺を見てシバルが口を開いた。
「ご愁傷様です」
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