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第182話:無人島〈その1〉
 耳に伝わる波の音。船が水をはじき、前進する。ウェスタが隣で気分悪そうにする中、一つの島が見えてきた。その名も極楽島だ。縁起が良すぎて、逆に何だか気味が悪い。

 船の運転は姉貴だ。船の免許などいつの間に手に入れたのだろう。たぶん持っていないと思われる。適当に運転しているのだ。姉貴だからこそできる荒技である。
 ちなみに、船は未来が用意してくれた。と言っても、未来は付いてきていない。バカらしいと言って、俺達を見送ってくれたのだ。

 今回は姉貴の要望での出動だ。態度の大きい姉貴は、夢も大きく、お宝探しをすると言い出した。俺達はブーイングを振りまくが姉貴には通用しない。俺達を無理やり船に押し込んで、船を動かす。

 今回のメンバーを発表しよう。俺に姉貴、シバルにウェスタとヒュプ、ニートとスザクだ。ご家族メンバーである。春日井達は呼んでいない。気味の悪い無人島へ行くのだ。何が起きるかわからないのに、連れて行くなどできるわけがない。

 本当はちび共も残して来たかったのだが、世話をする人がいない上に、ちび共が付いてくると騒ぎ出すから仕方がない。俺達は姉貴を含んだ神様組で行動することになる。



 船が到着し、真っ先にウェスタが駆けて行く。船から離れて座り込み、体調を整える。続いて、ヒュプが駆けて行き、砂浜を走り回る。地面に落ちている物を拾っては海に投げ込んでいる。何がしたいのかわからないが楽しいのだろう。大はしゃぎだ。

 船を定着させ、姉貴の誘導に従う。不意に小屋が現れる。ボロボロだ。果たして使用できるのだろうか? 俺達が立ちつくしていると、姉貴が怒鳴り出す。

「何をボケっとしているんだい? 早く修理しな!」
「冗談だろ?」

 ニートが姉貴に目を向ける。姉貴はニートを睨み返し、押しつけるように言葉する。

「早く修理しな!」
「はい……」

 ニートがちびニートになり返答だ。スザクに近づいて、相談を始める。すぐに姉貴がシバルに荷物を手渡す。

「あんたは昼食だよ。頑張りな」
「あなたは何をするのですか?」

 シバルの質問に姉貴が胸を張る。

「あたしは指導者さ。皆に指示を与えるのが任務だよ」

 そして、爆笑する。シバルはため息をつき、姉貴に質問だ。

「材料はこれで全部ですか?」
「他の物はこの島で調達するんだよ。こんなに自然に囲まれた土地なんだから、ただで食いもんくらいは手に入るだろ?」

 シバルは何も答えずに、リュックの中を開けてみる。鍋や調味料、コンロなどが出てくる。食材はない。シバルがもう一度質問だ。

「材料はこれで全部ですか?」
「他の物はこの島で調達するんだよ。こんなに自然に囲まれた土地なんだから、ただで食いもんくらいは手に入るだろ? 頑張りな」

 そして、姉貴が大爆笑だ。もう考え方が人間じゃない。せめて数日分くらいは食材を持ってくるのが普通だろ? 調味料だけとはどういうことか? 人外姉貴が俺に命の繋ぎ目を手渡す。

「釣竿だよ。大量に釣ってこないと、あんたが今日の夕食になるからね」
「マジかよ……」
「お魚を取るのー!」
「魚!」

 ヒュプとウェスタが走りまわる。釣りに興味があるようだ。俺が持つ釣竿に手を伸ばす。俺はちび共に釣竿を取られないよう気を付けながら、いい釣り場を探しに出かける。
 携帯電話も使えない。こんな所で迷子になったら終わりだ。地図を手に持ち開きながら、足を進める。

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