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第21話:トランプゲーム
 とりあえず、全員が風呂に入り終わると、四人で和室に輪を作り畳に座った。それぞれに飲み物や食べ物を用意して、手にはトランプだ。難しいことはできないのでメジャーなババ抜きをする。シバルが早々に言ってのける。

「はい、僕が一番です」
「何でそんなに強いんだよ」

 この死神は驚異的な強さである。正直に言って俺はトランプゲームに自信があるほうなのだが、この死神には手も足も出ない。トランプの数字が透けて見えているとしか思えない。ヒュプが続いて口にする。

「二番!」
「え〜、ヒュプもなの」

 ヒュプの二着でウェスタが焦り出す、こんなことで焦っても仕方ないので俺は常に冷静だ。ウェスタが俺のカードを引く。俺はシバルに言葉する。

「それでお前は何なんだよ?」
「え? ですから、死神ですよ」
「じゃなくてだな、何ていうか……こいつらとはまた別のオーラが出てないか? 子どもらしくないと言うか、ずうずうしいと言うか」
「やっぱりわかります?」

 シバルが照れくさそうに言う、続けて俺は問い詰める。

「それで、結局、お前は何なんだ?」
「何なんだって聞かれたら死神としか言いようがありませんね、どういう経歴を持つのかと聞かれたら答えは変わりますが。そういえば、あなたのお名前は何ていうんですか?」
ひいらぎ拓海たくみだ。現在は高校に行っている」
「高校生って言ったら、青春の真っ盛りじゃないですか。こんな雨漏りするようなボロアパートに住んでいたら彼女できませんよ。どうせ彼女いないんでしょ?」
「黙ってろ」

 俺はシバルの黒フードをわしづかみにして眼を飛ばす。俺の隣ではウェスタが手を上げ大はしゃぎをしている、カードが揃ったらしい、今回のゲームは俺の負けだ。俺はカードを集めて組み直す、死神にジョーカーが届くように願いながら。

「それで、お前の経歴を話してくれないか」
「僕ですか、僕はですね………」

 シバルが自らの経歴について話し出す。こいつはウェスタ達と違い相当な年月を生きているらしく、神様は年をとらないという。ある程度まで成長することはあっても、それ以上は大きくならないらしい、成長が止まるのだ。それは神様が大人にならないことを示している。
 ただし、何もしなければ大人にならないのであって、儀式的な事を通じて大人になれるという。その儀式をする上で、自己の能力を承認してもらう必要があるらしく、要するによく出来る優等生しか大人になれないそうなのだ。俺がシバルに質問を投げかける。

「じゃあ、お前は死神なのに人を殺していないってことなのか?」
「まぁ、簡単に言えばそうですね。死神って言っても、結構地味なんですよ。本当に死にかけている人しか殺せないって言うか、正直に言って最後の後押しくらいの能力ですからね。まぁ、最近では医療も進歩してますし、死神が頑張っても生きる人は生きるし死ぬ人は死ぬし、あんまり意味ないんじゃないかなって僕は思いますね」

 この話を聞いて思うことは二つだ。こいつは死神に不向きである、そして、確実に子どもでは持ち得ない思想を持っている。俺はカードを配りながら話を促す。

「それで、お前は何で人を殺さないんだ?」
「それを聞いちゃ駄目ですよ〜。それは彼女のいないあなたに、『どうして彼女つくらないの?』って聞く質問と同レベルです」
「言われてみればそうか」
「まぁ、しいて言うなら、僕は万年平社員みたいなものですよ。って言っても、結構上の方々との交流も多いんですけどね。この間なんて『特別配慮で儀式の許可を出そうか?』って言って下さったんですけど、やっぱり僕はこのままの方がいいのでお断りさせていただきました。最近じゃあ、若い人達から『死神賢者』ってあだ名まで付けられて、ある意味で有名になりましたね」
「ある意味でな……」

 俺は返す言葉もなく、代わりにカードを配り分ける。二人のちびっ子神様の次は年寄り死神か、このままいくと俺の部屋は神様のほこらになるだろう。そうなるのは時間の問題である。

 三人の神様は楽しそうに配られたカードに目を通している。そして、俺もカードに目を通す。目に留まるのはお気楽そうな道化師の姿だ。

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