第19話:公園
俺達が町中を歩いていると、雨が止み日が差してきた。これでようやく長雨も終わったか、俺は雲中から現れた太陽に目を向け敬礼する。
雨が止みあがってもウェスタは傘を仕舞おうとしない、雨など関係なく傘を差していたいようだ。それを見てヒュプがむっつりとしている、自分も傘を持ちたいのだろう。
公園の前を通りかかる。雨上がりの公園は緑の香りが強く、町中なのに自然な雰囲気が漂っていた。しかし、雨が上がったばかりの公園で遊ぶのには抵抗がある。何せ土は湿っており、遊具は雨で濡れており、遊んだ後は必ずと言っていいほどに汚れてしまうからだ。
俺が公園を通り過ぎようとする中、ヒュプが公園に走り込んでいった。その後をウェスタが追う。ウェスタにおいては傘をほっぽり出して公園に突入だ。俺はウェスタの投げだした傘を拾って公園に入る。
こんな雨上がりなので子どもの姿はないようだ、大人の姿すら見受けられない。これならば安心して二人を遊ばせられるだろう。濡れたベンチに座るのも嫌なので、俺は立ったまま二人を見守ることにした。
しばらくして、ウェスタが俺に手を振ってきた、俺も手を振り返す。しかし、そうではないようだ、手招きしている様子である。俺はおもむろにウェスタの方へと足を向ける。俺が近づき、ウェスタが滑り台に指をさす。
「この滑り台の中に変な人いるよ」
「見ちゃいけません」
俺はウェスタの手を取ると、滑り台から離れた。変な人には近づかないほうがいい、昔からの教訓だ。
ウェスタをヒュプのいるブランコへと誘導する。ウェスタもブランコに乗り二人で競争を始めた、どれだけ高くこげるかを競い合うらしい。無理はするなと俺は二人に注意を言い、ブランコの横で二人の様子を窺う。
ウェスタは控えめにこいでおり、安全領域であるが、ヒュプは思いっきりこいでいるため、少々危険を感じられる。こいつなら川の魚を取ろうと考えても不思議ではない。俺はヒュプに注意を促す。
「もうちょっと低めにこげよ。じゃないと危ないぞ」
「わかった」
こう見えてもヒュプは案外素直なのだ、俺の言葉を率直に理解してくれる。一言注意さえ言っておけば放っておいても安心できるタイプである。逆にウェスタからは目を離すのが怖い。何せアホ毛だ、放っておいたら何をやらかすのか恐ろしくて想像できない。
しばらく遊んで二人は満足したのか、アパートへと帰ることになった。雨は上がっているため、部屋があれ以上悪化していることはないだろう。部屋に帰ったらまず初めに換気をしようと思う。
帰宅途中で路上に妙な物を見つける。黒いフードをかぶった人が地面に倒れているのだ。大きさから言えば子どもだろうか、人間ではないだろう、こんな黒フードを着た子どもなんて見たことない。ウェスタが黒フードに指さして言う。
「あ、さっきの変な人」
「無視しなさい。話掛けちゃ駄目ですよ」
俺がウェスタの手を引き、黒フードを通り過ぎる。ヒュプも気になるようで振り返ろうとするが、それを阻止して足を速める。絶対にろくな事が起こらない。これ以上ああいうのには係わりたくない。
アパートへと到着し、部屋に入るとため息が出た。すでに雨は止んでおり、雨漏りも止まっているが、部屋は見るにも堪えない状態だ。地面はドロドロで、空気は湿っており、キノコでも生えてきそうである。ウェスタが元気に言葉する。
「お掃除開始なの」
「お掃除〜」
続けてヒュプが木霊する。俺はウェスタの背中を押してヤル気づける。
「よーし、清掃の神様のお出ましだぞ」
「がんばるの」
ウェスタが張り切りながら部屋に走り込む。ウェスタの通った後には泥まみれの足跡が残っている、俺は肩を落としてウェスタに言う。
「靴は脱げよ」
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