今日のケルノは凄いんだ! お母さんに頼まれて、おつかいに行くんだよ。いつもはお母さんと一緒にお買い物をするんだけど、今日はお母さんが忙しいから一緒に行けないの。だけど、大丈夫。タテ兄が一緒についてきてくれるって言っていたから。
ここは神様ホテル。タテ兄達が借りている部屋のドアを叩いてみるの。そしたら、ネプトおじさんが青い顔で登場。お酒でも飲み過ぎたのかな? ケルノはネプトおじさんを心配してあげるの。
「ネプトおじさん、大丈夫? すっごく気分が悪そうだよ。お酒は控えめにしないと身体に悪いよ」
「違う、違う。まぁ、部屋に入ってみろ。口で説明するよりわかりやすいぞ」
よくわかんないけど、何かが起きたみたい。ケルノはワクワクしながら、部屋に入るの。部屋の中はぐちゃぐちゃになっていて、窓のガラスが割れてる。何が起きたんだろう? タテ兄がいない。もしかしたら……。ケルノはネプトおじさんに聞いてみるの。
「もしかして、タテ兄が原因?」
「そうだ。寝ながら大暴れして、窓ガラスをぶっ壊したあげく、飛びだして行った」
やっぱりそうだ。タテ兄はすっごく寝相が悪いの。前にも別の神様ホテルで大暴れして、追いだされたことがあるんだよ。最近は神力を抑えるブレスレットを寝る前に付けていたから、そんなことにはならなかったんだけど。ケルノがネプトおじさんに質問するの。
「神力制御装置は?」
「寝る前につけてはいたが、最近のあいつは神力がえらく向上していたから、あの装置では対処しきれなくなったんだろうな」
「今度、レベルの高いのを買わないといけないね」
「あぁ、今度買うなら、一番レベルの高い奴にするぞ。そうしないと、俺が死んじまう」
ネプトおじさんが真面目に言うから、ケルノは思わず笑っちゃう。そしたら、ネプトおじさんがケルノに言うの。
「笑い事じゃないぞ。あいつと一緒の部屋で寝てみろ。恐ろしくて熟睡できないんだからな」
「やだよ。だって、タテ兄は強いもん。タテ兄じゃなくて、ネプトおじさんの寝相が悪かったら、良かったのにね」
「それはどういう意味だ?」
「ネプトおじさんなら、タテ兄が余裕でやっつけちゃうよ」
ケルノが言ったら、ネプトおじさんがケルノの頭をグリグリしてきたよ。ケルノはネプトおじさんから脱出して、頭を押さえるの。
ネプトおじさんのグリグリはとっても痛いから、ケルノは泣きそうになるんだ。だけど、泣くのは格好が悪いから、必死になって我慢するの。
このままじゃあ、ケルノが負けたみたいに思われちゃう。そんなの嫌だよ。だから、ネプトおじさんに言ってやるの。
「ネプトおじさんがケルノを苛めたー! お母さんに言いつけてやる!」
「おい、こら! それは卑怯だぞ!」
「卑怯じゃないもん。戦略だよ、戦略」
ネプトおじさんが引きつった顔でケルノを見る。言い返せないんだ。だって、ネプトおじさんはお母さんのことが好きなんだもん。ケルノが言い付けたら、ネプトおじさんのイメージダウンになるもんね。だから、ネプトおじさんはケルノには勝てないの。
ケルノは調子に乗って、ネプトおじさんに命令だ。
「ネプトおじさん、今日はケルノのお買い物に付き合え! わかったか!?」
「残念だけど、そりゃ無理だ。まずはこの部屋の事をホテルの人に報告しないといけないしな。その後、ごたごたしそうだ。タテの奴め、帰ってきたらぶん殴ってやる」
「そっか〜、それじゃあ仕方ないよね〜」
ケルノは残念な気分になって、ネプトおじさんと別れるの。一人でお買い物。何だかちょっと怖いかな。だけど、面白いかも。初めてのおつかいにドキドキしながら、ケルノはホテルを飛び出すの。
いつもの道をトコトコ歩くの。ちょこっと迷子になりながらも、なんとかお店に到着したよ。一人でお店に来られるなんて、ケルノって凄いかも。
お母さんに頼まれた物を探して、カゴに入れてみる。結構、重たくなったけど、これくらいなら大丈夫かな。次はレジまで行って、お金を払うんだ。
ケルノが順番を待っていると、後ろの人がケルノを押しのけて、順番を先取りしてきたよ。それっていけないことだよね。ケルノが悪い人に注意してやるの。
「ケルノが先に並んでいたんだよ! 順番を抜かすのはいけないことなんだよ!」
悪い人はやっぱり悪い人みたい。ケルノの話を無視してくる。ケルノはすっごく腹が立ったけど、我慢して順番を待つよ。一度注意しても話を聞かない人は、何度言っても無駄なんだって。それじゃあ、言っても仕方ないよね。
ケルノが順番を待っていると、またまた順番を抜かされるの。人間ってどうして、こういう人が多いのかな? ケルノが膨れ上がっていると、凄いことを思い出しちゃった。
そういえば、人間にはケルノが見えないんだ。ケルノはビックリしながら、レジから離れるの。どうしよう? これじゃあ、お買い物ができないよ。
ケルノが困っていると、誰かが話しかけてくる。
「どったんだ? ちびっ子。美人なお母様とはぐれて迷子にでもなったのか? それなら、俺が一緒に探してあげるけど。美人じゃなかったら、勘弁な」
「誰? 神様?」
「おう、イケメンの神様。
春日井蓮だ!」
イケメンの神様の割には、そんなにイケメンじゃない気がする。だけど、ケルノが見えるってことは神様なのかな。イケメンじゃないイケメンの神様にお願いをするの。
「あのね、ケルノはお買い物をしたいんだけど。皆はケルノのことが見えないから、お買い物ができないの。だから、助けてほしいんだ」
「大人になったら俺と付き合ってくれる? それなら、援護してあげてもいいぜ」
「へ〜。こんな小さな子に手を出すなんて、春日井君って危ない人だったんだ」
お姉さんが登場したよ。この人はイケメンの神様の知り合いみたい。ケルノに向いて口を開くの。
「私は
大杉美月。春日井君の友達よ。彼女じゃないからね」
「彼女じゃなくていいから、婚約者になってくれない?」
イケメンの神様がお姉さんに言うの。すぐにお姉さんが首を振るよ。イケメンの神様はもてないみたい。
「駄目よ。春日井君が結婚なんてしたら、世界が崩壊するわ」
「言いすぎだぜ、美月ちゃ〜ん!」
そう言って、イケメンの神様がため息をつくの。イケメンの神様なんて放ったらかして、お姉さんが話し出すよ。
「それで、お買い物ができないのね。私に任せなさい。買ってきてあげるわ。春日井君の彼女になんて、なりたくないでしょ?」
「うん、ありがとう。お姉さん!」
すっごく優しいお姉さんがケルノのお買い物を助けてくれる。ケルノは大喜びでカゴとお金をお姉さんに渡すの。隣ではイケメンの神様が残念そうにしている。
ケルノに惚れたのかな? ちょっとくらいなら付き合ってあげてもいいかも。そんなに嫌いなタイプじゃないし。
お姉さん達のおかげで買い物ができたよ。ケルノは買った物を落とさないように、しっかり持ってお母さんの所へ戻るの。初めてのお買い物は大成功! すっごく楽しかったよ。
大人になったら、また一人でお買い物に行こうかな。今度はケルノの欲しい物を買うんだ。きっと今日よりも楽しいよ。
ケルノはルンルン気分で来た道を戻る。今日のお買い物、お母さんに褒められたら嬉しいな。ホテルの大事件、ネプトおじさんは大丈夫かな? そういえば、タテ兄はどこに行ったんだろうね?