アヤカの男
アヤカに貰ったシャブはもうなくなっていた。
二人でつかえばあっというまになくなる。
菊水はアヤカ以外からシャブを仕入れた事はない。
菊水はアヤカに電話をした。
「もしもし、久しぶりだね、会いたいんだ。時間つくれない?」
「そうね、私も久しぶりに会いたいと思ってたのよ」アヤカの返答に菊水はほっとしていた。
「ねっアレあるよね!又もらえるかな?」
アヤカの反応がちょっと変わった。
「あるけど・・・アレが欲しいから私にあいたいの?あってもなくても私に会いたいの?」
菊水は返事するのに間があいてしまった。
「なくたって会いたいと思ってるよ」
そう答えた。
「わかったわ、前みたいに長い時間会う事はできないの、今から私の家の近くまで来て」
そんなやりとりをして電話をきった。
アヤカは五反田に住んでいた。菊水はすぐ出かける準備をして急いで五反田にむかった。五反田駅前から電話をした。
アヤカは家のマンションまで来るようにいっている。道順を教えられ10分程でマンションの前に到着する。白い大きなマンションだ。又電話をする。すると902号室だから直接部屋まで来いという。
菊水はマンションの中に入った。エレベーターで9階にいき902号室のインターフォンを押す。
「はーい。」
アヤカの声だ。菊水は、ほっとしていた。
アヤカはにこやかに出迎えてくれて抱きついてきた。アヤカの大きな胸の感触が気持ちいい。
キスをする。
アヤカはセクシーな大人の女だ。菊水はすでに性欲がわいて股関がウズいている。菊水はやっぱりアヤカはいい女だと感じていた。部屋にあがるとコーヒーを出してくれた。
菊水が座ってる横にぴったりと体を寄せてアヤカが座った。
菊水は軽く撫でるように体に触れながら、最近会えない理由を問いただす。
今日のアヤカはなにも躊躇することなく彼氏の事を話だした。
アヤカの彼氏というのは、なんと七つも年下の男だった。。若いながら自分で会社をやっているという。多方面に事業を広げ、相当儲かってとにかく金回りは、めちゃくちゃいいという。どんな仕事だと聞くとアヤカもよくわからないというのだ。性格は、人の何倍も独占欲が強い男だという。短気で怒ったらなにするかわからない人だから怖いところがある・・・
これがアヤカから聞いた彼氏の話だった。名前は竜次だと教えてくれた。
帰ってきたって言うけど
どこに行っていたかとの、質問には、海外にいってたと言った。
菊水はなんか嘘っぽいと感じたが信じたふりをした。そんな彼氏の話より菊水の頭の中は、エロい事ばかりでいっぱいだった。
目の前に巨乳で超エロいフェロモンを浴びせまくるアヤカがいるのだ。シャブセックスがやりたくなってたまらなくなった。抑えきれず菊水がきりだす。
「アヤカちょっと一発やろうぜ、やりたくって我慢できないよ!」
菊水はアヤカにおねだりする。
「やりたいってなにがやりたいの?どっちがやりたいんだよぉ、薬がやりたいの?私とエッチな事がしたいの、菊水ちゃんどっちなの!」
アヤカは立ちあがり足の指先で菊水の股関をツンツン突いたり足裏で押し付けてくる。
菊水は半目で多少声を震わせ、
「薬やってアヤカさんとエッチがしたいんです。お願いします。」
アヤカは高笑いをしながら薬を準備しようと菊水の股関から足を離した。
その時テーブルに置いていたアヤカの携帯が、けたたましくなった。
アヤカは着信表示を見て顔色がかわり笑顔が消えている。
着信表示の名前は竜次だった。
菊水も着信表示の竜次を確認していた。
「彼氏だろ、出るの?」
アヤカは無表情で
「でないと、なんででないんだとか、どこいたとか余計面倒なの。ちょっとシッね!」
菊水に声を立てないように合図を送り
電話にでて話をしている
その表情を菊水は見つめていた。最初驚いたような声をあげたがその後は笑い声をたてる事もなく電話をきった。普段より声も小さめで怯えているようなしゃべり方をしているように菊水は感じていた。
電話をきったとたん
アヤカはかなり焦っていた。
「菊水ちゃん、すぐ帰って!すぐ近くにいるらしいの、今から来るのよ!悪いんだけどもうすぐ部屋からでて、はやく!」
菊水も焦る。
「うそーっヤバいね、帰るよ!」急いで玄関先に向かい靴を履く。しかし、キメエッチやりそこねた心残りがあるのかアヤカの前でカッコつけたかったのかこんな事を言う。
「俺会っちゃっても別にかまわないよ。昔の友達とか言って適当に誤魔化すよ!それがダメなら、ちゃんと話会って俺が面倒見るからアヤカと別れろって言う!」
アヤカは聞く耳をもたない。
「そんな甘い人じゃないの!殺されちゃうよ!又、連絡するから、じゃあね!」
菊水は押し出されるように部屋から出された。
せっかく薬を手に入れに来て、すかさずここでキメてアヤカと快楽の世界に没頭しようとした矢先の出来事に、あっけにとられている。又やりきれなさ、多少の怒りもある。
「なんだよ、これからお楽しみ、幸せタイムだったのに、邪魔入りやがって、彼氏より俺の方が今じゃ深い関係なんじゃないの、どうせヘタレ野郎だろ、俺がボコってやるっつぅーの!」そんなイキがった思いを胸に秘めエレベーターのスイッチを連打していた。
9階にエレベーターが来た。扉が開く。子供を連れた主婦が降りた。その後ろからサングラスを掛けたみるからにガラの悪そうな男が降りた。黒をベースにしているがストライプが独特のデザインの派手なスーツを着ている。両手はポケットにつっこみ肩を振って歩く。誰がどうみてもカタギには全く見えない。
菊水はヤバそうな奴だなと思いドアをすぐ閉めようとしたが、フッと閃く。
「もしかしてアヤカの男ってあいつか??サングラス越しに顔は一瞬しか見えなかったが年は若そうだ。」菊水はエレベーターには乗らず、見つからないように死角にはいり男の行く先を見た。902号室のドアの前に止まった。インターフォンを押している。ドアが開き男はアヤカの部屋に入っていった。
菊水は、驚きで目を丸くしている。かなりの衝撃を受けた。このガラの悪いヤクザ風の男がアヤカの彼氏だったのだ。
「あいつがアヤカの男か、チンピラじゃねえか!いや迫力あるし暴力団の若頭ってとこか、それか闇金屋ってとこか。へんな野郎とつきあってんなぁー」
菊水の顔は険しくなりイライラしながらエレベーターに乗り込んだ。
「でも…あと1、2分部屋出るの遅かったらあのチンピラと、かちあっていたじゃないか、あんなヤバそうな男と部屋で鉢合わせなんて…あぶねぇー!助かったぁー!よかったぁー!」
アヤカの前でイキがった発言の事などすっかり忘れていた。
菊水はヘタレだった。
「すべりこみ、ぎりぎりセーフ!あぶなかったぁ。」
まだそんな事を言いながらマンションを出る。
マンションの前にびったり横付けされた黒いベンツが止まっている。
「間違いなくあの竜次って奴の車だ、こんなとこ止めやがって通行の邪魔だ。若造の癖に何やって金稼いでんだよ!でもうらやまし…」
菊水はそう思いながら、マンションから少し離れたコインパーキングに止めた車に乗り込んだ。
「あーっ!そういえばアレ薬もらいそこねた!」
ため息をもらす菊水。
さすがに電話はできない。男が帰るまで見張って待つか、あきらめるか、だいぶ悩んだが、男が来ているんじゃしょうがないと思い、今日は諦めて家へ帰っていった。
この竜次という男は、傷害事件で起訴され奇跡の執行猶予を貰い先月シャバに戻って来たばかり。この男の仕事は、詐欺まがいの悪徳商法だった。その他に振り込め詐欺グループのリーダー格でもありアダルトサイトの架空請求などもやっていた。シャブの元締めにも近い存在で大きな取引にも深く関系していた。小売りや街売りなどは舎弟分にやらせ自分が売り歩く事などしない。
今回の傷害事件の他にも、恐喝や拉致監禁などの前歴がある極めて危険な男だった。
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