盗聴の恐怖
玄関にはポケットに手を突っ込み仁王立ちしている竜次がいる。
アヤカは恐る恐る竜次に問いかける。
声は多少うわずっている。
「竜ちゃん、どうしてここにいるの…?えっいつ出てきたの…?」
竜次はドアを閉め、上がり込もうとしながら答える。
「今日出て来たんだよ、証拠不充分で釈放だよ、不起訴ってやつだよ!俺ってすげぇだろ、アッハッハッハッ」
アヤカは少し落ち着きを取り戻しつつあった。
「だったらすぐ連絡してくれれば良かったのに、どうして連絡してくれなかったの?」
「お前を驚かしてやろうと思ったんだよ!」
そう言ったあと竜次の表情が一変し鋭い表情になる。
「なぁ、ところでお前よ、こんな時間に、めかしこんでどこ行くんだよ、コラァ!」
アヤカは冷静さを保とうとしながら答えている。
「お友達と約束をして出掛けるところだったの」
竜次はアヤカの胸ぐらを掴み、凄い顔でアヤカを睨んでいる。
「なんだとコラァ!友達って誰だよっ、適当な事言ってんじゃねぇぞ!」
いきなりアヤカの顔を平手打ちし蹴り倒した。
アヤカは悲鳴をあげ、床に倒れこんだ。
「おい、正直に言ってみろよ、どこに行くんだコラァ言ってみろよ、言えよ、おい、コラァ!誰とどこいくんだよっ!」
竜次は倒れこんでいるアヤカの体を激しくなんども蹴り上げる。
「おい!てめぇ男連れ込んでたんじゃねぇのか、こらぁ!」
蹴りが、顔にあたる。
アヤカは口を切り血を流している。
しかし竜次は、容赦なく蹴り続ける。
「おい、男の名前言ってみろよ!誰とどこ行くんだコラァ!早く言えよ、言うまでやめねぇぞ!」
「やめて…お願い…」
アヤカは苦しそうな顔をしてうずくまっている。
「おい言えねーのかよ、じゃあ俺が言ってやろうか、お前これから、菊水って野郎とホテルいくんだろ」
アヤカは心臓が止まる程、びっくりしている。
竜次が菊水の存在を知っている!
これから、ホテルに行こうとしている事まで知っている。
なぜ…?どうして…?
アヤカは、頭が混乱し動揺している。
アヤカは、竜次に問いかけた。
「どうしてそんな事がわかるの…?竜ちゃんこの部屋になにか仕掛けたの?まさか盗聴?盗撮?ねぇー何をしたのよ、いつからよー!嫌ぁーっ、もうこんな部屋にいられない!」
アヤカは、大きな声で叫んだ。
「何言ってんだよ、俺は何もしてねぇよ、お前の事はなんでもわかるんだよ」
竜次は不敵な笑みを浮かべごまかしている。
竜次は、捕まる前に盗聴器を、仕掛けて置いたのだった。
「テメェ、男連れ込みやがって随分でけぇ声出して、よがってじゃねえぞコラァ!男もテメェもぶっ殺してやる」
竜次はナイフをだした。
アヤカはとっさに携帯をとり菊水にここを離れるように連絡をしようとした。
しかし竜次はアヤカの腕を蹴り上げ携帯を奪いとる。
「テメェ男逃がそうっていうのか、なめたまねすんじゃねー!」
胸ぐらをつかみ怒鳴りつける。
アヤカはなんとか菊水を、竜次に会わせない方法はないかといろいろ考える。
あっ竜ちゃんはいつもベンツで来てマンションの前に停める。
菊水ちゃんがそれを見て今日はあきらめて帰ってくれればいい。
お願い、ここには絶対こないで、
頼むから、こないで。
アヤカはそれを祈るしかなかった。
竜次は、ここに菊水がなにも知らずに戻ってくると思っている。
「おい、なかなか戻ってこねえな、お前の目の前でボコボコにしてよー、これで金玉えぐり取ってやるのによー、俺の女に手だしやがって生きて帰すわけいかねぇー」
竜次は、ナイフの刃先をアヤカにつきつけ興奮している。
もしここに菊水が来てしまったら本当に殺されてしまう。
アヤカはひたすらこのマンションから離れてくれる事を祈っていた。
そのころ菊水は、コインパーキングで万札しかなくコンビニで買い物してお金をくずしたりして時間がかかっていた。
アヤカが待っているかと思い急いで車を出し、マンションの前まで来る。
菊水は、黒のベンツを発見する。
「えっ、なんだあの車、嘘だろ!あれは竜次のベンツだ、いつのまに来たんだ!警察に捕まっていたんじゃなかったのか!くっそー、なんなんだよ」
菊水はしょうがなくマンションの前を通り過ぎた。
しかし、竜次はすぐ帰るかもしれないと思い又コインパーキングに車を戻し、アヤカから連絡を待つことにした。
部屋の中の竜次は、なかなか戻ってこないのでイラついている。
アヤカへナイフをつきつけながら
「おい、お前部屋に呼び出せ、へんな真似したら先にテメェぶっ殺すからな、早く電話でもメールでもいいから呼べー!」
凄い形相で、アヤカを怒鳴る。
アヤカは何もいわずうずくまったままだ。
盗聴器を仕掛けられ、菊水との事がすべてバレてしまっている。
菊水が、竜次に暴力を振るわれ最悪殺されてしまうのではと不安になっている。このまま菊水が竜次に顔合わせる事なく無事にすんだとしても、竜次にバレてしまっていたのでは、もう二度と菊水と会う事が出来なくなるのではないかと心配していた。
竜次は、何も答えないアヤカの髪の毛をつかみ顔をあげる。
「おい、なんか言えよ、コラァ!」
竜次はアヤカの顔を殴る。
アヤカは顔をおさえ又倒れこむ。血を流し顔が腫れている。
アヤカはこの時、竜次の体からある事を感じとっていた。
アヤカは起き上がり竜次の顔を睨み返した。竜次を目をじっと睨みながらアヤカは話だした。
「ねぇ竜ちゃん、今日ここに来る前に、新宿のキャバクラの女と会っていたでしょ」
「あぁん、何言ってんだ、ボケ!会ってねぇよ!」
「ねぇ、私よりも先にキャバクラの女に会いにいったんでしょ」
アヤカの声はドスが利いていた。静かに語りだしているのだか、妙に迫力があった。
「会ってねぇって言ってんだろー!」
アヤカは竜次の目から視線を離さず淡々と落ち着いて問い詰める。
「竜ちゃん、女の香水の匂いがするわ、その香水、覚えているわ、あのキャバクラの女がつけている香水じゃない!」
アヤカは立ち上がり竜次に詰め寄る。
アヤカは鋭かった。
竜次は夕方には、釈放されていた。
釈放されて、一番先に連絡したのは新宿のキャバクラの女だった。
竜次は、キャバクラの仕事を休ませて、ホテルへ行っていたのだった。
竜次は、ごまかすかのようにキレ始める。
「テメェぶっ殺すぞ!誰に口聞いてんだっ!」
竜次は、ナイフをつきつける。
しかし、アヤカはナイフにひるむ事なく一歩ずつ竜次に近づいていく。
自分が後回しにされたという女のプライドを傷つけられ、そんな行動をとらせたのか、菊水を命がけで守ろうとしているのかアヤカは大胆だった。
「私を殺すの、殺すんなら早く殺しなさいよ、竜ちゃん、その方がいいわよ、私を先に殺さなかったら後悔するわよ、私が生きてる間に菊水ちゃん殺したら、私新宿のキャバクラの女殺しに行くわ。菊水ちゃんを一発でも殴ったら、私ナイフでキャバクラの女の顔をズタズタに切り裂いてやる、私本当にやるわよ、本気よ、本気よぉー!!」
アヤカは、本当にやるわよ、本気よのところで、部屋中に響き渡る大声で叫んだ。
アヤカは鬼気せまる形相で竜次に詰め寄る。
竜次は、アヤカの鬼気せまる形相を見て態度がかわる。
「アヤカ、なに言い出すんだよ、殺しやしねぇよ」
アヤカは竜次を睨み続け、
「約束して!殺さないって約束して!竜ちゃんがなにかしたら、菊水ちゃんを一発でも殴ったら、私ほんとにやるからね、あの女の顔ズタズタにしてやる。二度と人前に出れない醜い顔にしてやる、絶対やる、本当にやる、必ずやってやる」
アヤカは、突然異常な興奮状態になっている。
これを見た竜次の方が冷静になりはじめた。
「わかったからよぉ、手ださねぇよ、お前はほんとにやりかねねぇ女だからな、まったく腹のすわった、いい女だぜ、俺はお前のそういうとこに惚れてんだよ」
竜次はアヤカに優しく語りかけ始めた。
「なぁ、いつまでもそんなおっかねぇ顔してねぇでよぉ、今日は久しぶりに楽しもうぜ、おい外出ようぜ」
竜次はアヤカをどこかへ連れて行こうとしている。
アヤカは、万が一ここで菊水とばったり会って竜次を刺激するよりいいと思い、竜次と一緒に外へ出た。
竜次はアヤカをベンツに乗せ六本木方面へ車を走らせた。
一方、菊水はパーキングでアヤカからの連絡を待っていたがもう今日は諦めようとしていた。
パーキングから車を出し、もう一度アヤカのマンションまでいった。
ベンツが停まっていない。菊水は思いきってアヤカの部屋まで行ってみた。
インターフォン鳴らしても応答がない。鍵もかかっている。
車に戻りアヤカに連絡しようとするが、竜次と一緒だとマズいと思い連絡するのは思いとどまる。
アヤカとキメセクしたい気持ちはなかなか諦めきれなかったが、気を取り直し、せっかく来たので遊んで行こうと思い車を走らせた。
菊水も六本木に向かって車を走らせていた。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。