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AVアイドル
菊水はパッケージを見つめ固まっている。

「菊水ルシアってどういう事だ。なんだこの名前は、この女の子はルシアなのか、それとも全くの偶然でよく似た娘がこの名前を使っているだけなのか、そうだ声だ、声を聞けばわかる」

菊水はすぐそのDVDを借りた。急いで車に乗り込み部屋に帰ろうとしている。
頭の中はこのアダルトDVDの事でいっぱいだ。

「ルシアって名前は本名だ。いくらなんでも本名でAV出たりはしないだろ。菊水って姓はなんなんだ。ただの偶然であってほしい。顔はルシアそっくりだ。でも体が違う。どういう事だ。絶対ルシアじゃない。似ているだけだ」

菊水はルシアではない事をひたすら祈っていた。
部屋に帰りDVDをすぐ見始めた。
画面の中にルシアらしき女が現れる。
ギャル服に身を包み超ミニの女が歩いている。顔がアップになる。
菊水はじっと画面を見つめた。
ルシアに似ている。いやルシアにしか見えない。

カメラは女の後ろ姿を映し出した。ミニスカートから覗く太ももとお尻をとらえている。歩くたびにスカートがひるがえりそこからチラチラ見えるTバックを映し出した。
ルシアらしき女はまだ声を発していない。
画面では女の後ろをガン黒の男があとをつけている。ギャル男を演じているのだろうか、年はいってそうだが無理にチャラチャラした演技が鼻につく。
女が階段を登る。ギャル男が階段の下からやらしい目でスカートの中を覗いている。
画面はスカートから覗く下半身をアップで映している。Tバックがお尻に食い込んでいる。もうお尻が丸見えだ。陰部の膨らみもアソコに食い込んでいる筋も鮮明に映し出されている。
鍵を開け部屋に入った瞬間ギャル男が襲いかかっている。

「キャー!」

女が言葉を発した。
この声はルシアの声に似ている。でもこれだけではわからない。

「嫌っ誰なの、お願い、やめて」
ルシアかもしれない女が恐怖に怯え、又声を発した。

この声!ルシアの声だ。
菊水は愕然とする。
ショックで、頭はパニックだ。
画面では嫌がるルシアをギャル男が強引に体を触りまくり服を脱がし始めている。
菊水は、おもわず叫んでいた。

「このやろうチャラ男、やめろーっ!ルシア逃げろーっ!」

ルシアの胸があらわになり画面いっぱいに映し出された。巨乳だ。
「本当にルシアなのか?なんでこんなにおっぱいがでかいんだ。いくら18歳でまだ成長したとしてもいきなりこんなにでかくなる訳がない。あっもしかして豊胸手術したのか、俺はルシアの小さな少女のような胸が可愛くて好きだったのに、ルシア…」

画面のギャル男はルシアの陰部を触り指を入れ激しくこねくり回している。もう濡れてしまったのかクチュクチュと音が響きわたる。
ルシアは

「アッアッアーン」
と吐息をもらした。
この可愛らしい吐息、菊水は何度も聞いていた声だ。
「ルシア、なにがあったんだ、どうしてAVに出ているんだ!」

菊水のショックは画面をみるたび増していく。
ローターでクリトリスをしっかり固定され刺激されている。ルシアが悶えている。そしてギャル男はアソコをペチョペチョ舐めだした。

「テメェなに勝手に舐めてんだ、舐めるなぁ!」
菊水は怒っている。
ギャル男は勃起したものを顔に近づけルシアにしゃぶらせ始めた。
菊水は又叫んだ。

「やめるんだルシア、そんな汚ねぇチンコくわえるなぁ、病気になるぞぉー!」

しかし画面のルシアは一生懸命しゃぶっている。
そしてギャル男はルシアの両足を開き挿入しようとしている。

「このやろぅー!チャラ男入れるなぁー!やめろーっ!」

思わずテーブルの缶ビールの空き缶をテレビに投げつけていた。ギャル男は腰を動かしルシアは声を出し悶えている。
菊水はもう見れなかった。画面から目をそらし下を向いていた。

ルシアの喘ぎ声だけが耳に入ってくる。
それは、菊水が何度も耳にしていた紛れもないルシアの可愛い喘ぎ声だった。

ルシアの喘ぎ声がおさまった。
画面を見るとギャル男はルシアの体に精液を出していた。精液を手に取りルシアの口元に持っていき舐めさせようとしている。

「ふざけるなっやめろーっ!」

菊水は叫び、DVDを消した。
もう本当に見ていられなかった。
ショックは相当大きい。かなり動揺している。
「ルシア…」

ルシアなぜAVにでている?なにがあったんだ?
普通の生活がしたかったんじゃないのか?
結婚して幸せに暮らしているはずじゃなかったのか?なぜ菊水ルシアという名前でAVに出ている、芸名は制作会社や監督が決めるんじゃないのか、ルシアはこの名前を自分で決めて強く希望したのだろうか、なぜだ!家庭環境が複雑だったという親へのあてつけかメッセージか。
菊水という姓を名乗ったのにはどんな意味が込められているんだ。
ルシアなぜなんだ、教えてくれ
菊水はいろいろな疑問が頭から離れない。

ルシアはもしかしたら
実生活で菊水ルシアになる事を夢見ていたのかもしれない、それが現実にならなかった今AVの世界の中で菊水ルシアと名乗り出演しているのか、
ルシアはそこまで俺を想っていてくれていたのか
そうなのかルシア…
菊水はルシアの事を思い浮かべている。
いつのまにか目に涙を浮かべていた。
下を向くとポタポタ涙がこぼれ落ちていた。

いてもたってもいられず菊水はルシアに電話をした。つながらない。電話番号を変えてしまったようだ。メールを送ってみたが送信できない。連絡がとれなくなってしまっている。

菊水はルシアに何も言わず東京を離れた事をひたすら悔やんだ。

AVに出るには、それなりの覚悟があっての事だろう。
結婚生活がうまくいかなかったのか、それとも結婚していなかったのか、婚約破棄したのか、されたのか、
いずれにせよ何かがあったに違いない。
近くに居てあげる事ができたなら目黒に住み続けていたら悩みを聞いたりいろいろな話を聞いてあげる事ができたのに。目黒にいればルシアは頼って訪ねてきたに違いない。
菊水はそう思いこみ始めていた。
目黒のマンションを引き払い東京離れこの土地に来た事を間違いだったのかと考えてしまうようになっていた。

その後、菊水はエロビデオ屋に行った。ルシアに他にも出演作があるかチェックしに行ったのだ。三本あった。全部買った。AV情報誌も大量に買い込んだ。どの雑誌にも淫乱ロリギャルデビューとしてルシアが取り上げられている。その中の三誌は表紙にも出て笑顔を振りまいている。
ルシアはAV界で大人気のアイドルになっていた。
家に帰り買ってきたルシアのDVDを見た。男優との、からみはとばしルシア一人の所だけ見ていた。
何回観ても虚しさだけが心に残った。

菊水は突然ふとあることを思いだす。

「あっまさか、クスリ…。薬をどこからか手にいれやってしまい、勢いでAVに出てしまったのでは…」
ますます心配になる。
雑誌を見てアップの写真をよく見直してみる。目を見て瞳孔が開いてないか目の下に隈が目立ってないか見ている。腕に跡がないか探してみたがわからない。
DVDも見直した。
でも薬やってそうな感じはなかった。いやわからなかった。

菊水はルシアが薬に手を出していない事を切実に祈っていた。

ルシアがAVギャルとしてデビューした事は菊水の心に大きなダメージを与えていた。


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