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キング・オブ・クズ深田  作者: くーーーーーーー
5/8

性欲

「カタカタカタカタカタカタカタカチカチカチカ」

部屋の中をこだまするタイピング音とクリック音。

その部屋の中、勿論その男はいる。


「ふぅ・・・結婚かぁ・・・俺もそろそろ考えなきゃなぁ・・・。」

深田のステータスでは結婚など到底無理な話である。

否、それは現実世界だけで、オンラインゲームの中ではまた、別の話となる。


「昨日、藍川さんも結婚式あげてたよなぁ・・・。」

物欲しそうな顔で不貞腐れながら、マウスをいじる。

だが、チャンスは決して彼のような人間には訪れない。

この世の摂理はそういう風にできているのだ。

そして残酷なことにこの時、深田に悪魔の手が忍び寄る。


「ん?VCありのヘル狩りかぁ・・・。」

VCとはボイスチャットの略称であり、彼はこれから他所の仲間に入れてもらい、ヘルブルフというモンスターを狩りにいくつもりである。

深田、久しぶりのボイスチャットである。

ボイスチャットソフトを立ち上げ、机の下に転がっていたマイクをパソコンのUSB端子に繋げた。


「準備いいですよ~っと、」

ゲーム内でチャットを残すと、3分ぐらいで見知らぬ人だらけのグループ通話に入れられる。合計俺を入れて4人のパーティになる。

「あっこんにちわ~~」

野太い声の人。名前はゼノバ。俺は心の中でデブと決め付けた。

「っす・・・」

何をしゃべってるのかあまり聞き取れない人。名前はアルティメット。

俺は心の中でゼッタイにこいつ友達いないなと、決め付けた。

「よろしく~~!!」

ハイトーンで、少し声が小さい女の人。名前はハピィセット。

俺はスピーカーの音量と、パンツの中の物を少しおっきくした。


「はい、よろしく~」

最後の女性の声でテンションをあげてしまった深田。

なるべく深田は、冷静なキャラを見繕って通すことにした。


が、30分もすると深田のボロがではじめる。

「カチカチカチカチカチカチカチッッターン。」

【ミキちゃんって結婚してる?ww勿論ゲーム内の話www】

【結婚ですか~?w私あまり興味ないかも・・・w】

VCをつなげてるにも関わらず、個別のチャットで求愛を始めたのだ。我慢できないのは30分たっても、深田の空助はたったままだからなのだ。


「あの~ヒールお願いできます?空助さん」

かろうじで聞き取れるような声量でアルティメットが言った。

「あ~はいはい、すいませんね。今ヒールします。カタカタカタカタカタカタ」

もはや深田に狩りなどどうでもいいのだ。

【この後1:1で狩りにいかない?wもっとお互いのこと知りたいし】

【え~ww効率落ちますよ~w】

片手間に、モンスター狩りをしている最中、悪夢の前兆が訪れる。


「あっ俊介~今魔法撃てる?」

「撃てる撃てる~」


「!__!_!_??!??」

ここで初めて俺は考えさせられることとなる。

「(俊介・・・?旬だね・・・旬だねっていったのか?俊介じゃなかったか?)」


「おい俊介!今だよ!やれやれ~」

デブがはっきりとハピィセットちゃんを俊介と呼んでいるのを深田は完全に理解した。

「あ~ドロップアイテム取らないんですか?空助さ~ん」

倒されたモンスターの前で固まり続けてる俺に対して、アルティメットが何となく俺にしゃべりかけてるのがわかった。

「・・・・カタタカタカタカカタカタ」

【ハピィセットちゃんって・・・男・・・?】

【はいwそうですよwww声はボイスチェンジャーってやつですw】


「・・・・・・カタカタカタカタカタカタカタ」

【騙してたって事・・・?】

【?ごめんなさい、騙すとかは良くわからないです・・・。】

「・・・。カタ」

【死ね】

「お~い空助さん~早くしないとドロップ品消えちゃうよ~。」

「うるせぇ!!!!!!!!!!!」


【空助様が、グループを退室しました。】



深田はそのグループを素早く抜け出し、まだ夕方の5時という時間にも関わらずベットの上でうつぶせになりながら、しばらくうごけなかった。





ランキング乗って嬉しかったので更新しました。

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