大学生時代〜天使と、悪魔と、〜
すみません(汗)
違う回を消そうとして間違って来れ消しちゃった。再UP
詩織を珍しく家に呼びつけた。
携帯を机の上に置くなり笑みをにっこり零して、人差し指を唇に持っていって「シー」とウィンクしてみせる。
そう、鍵を閉めて逃げられないようにして彼女を取り込むのだ。泣いても懇願されても容赦はなしだ。監禁ではない、軟禁だ。引っかかった彼女が悪い。そして僕もそんな君を期待してた。
今夜は帰しません、マジで。
詩織の運命最後の鐘となるインターフォンが鳴った。開けるなり、これからの宿命を知らない子がニコニコしながら自分から蜘蛛の巣に入ってきてくれた。だから素早くドアを閉め鍵をかけ、チェーンもしっかりかけた。これで君は囚われの身の上。もう僕の許可なくここから出ることは許されない。ま、優しい君なら朝まで付き合ってくれるよね?
手をとれば大きく目が開いた。だけど僕はもう逃がすつもりなんてない。
「な、どうしたのユーヤ?」
あからさまにいつもと違う態度に危険を察知した詩織が難色を示した。だけど僕はもう一度捕まえた獲物を離すつもりなんてない。そのまま腕を引いて寝室へ細い体を投げ込んだ。
振り返り、目が合えば目が潤んでいた。
口の端を上げて、絶望の言葉を告げる。
「ようこそ、きょうだい。僕と一緒に朝まで双子のお守りをしよう」
あんぐりと開いた口。
言いたいことはわかってるよ「騙したわね」って言いたいんでしょ? でも残念、僕は一言もお守りをしないなんて言ってないし、部屋に誰もいないなんて言ってない。それとも何? 二人っきりがよかった?
クスリと笑って僕と詩織の姪に当たる姉さんとKENさんの子供の名前を呼ぶ。
「ラナ、レナ。大好きな詩織が来たよ」
すると「「しおいー」」と重なったなご機嫌な声が聞こえてきた。一卵性双生児らしく同じように舌を出しながら両手を挙げている。「いい子だね」と頭を両手でなでていれば詩織が頬を膨らませてきた。
「だ、騙したのね!?」
「別に騙してないし、部屋に来たのは君の意思だよ。もう、この子たちも詩織の顔見ちゃったし早々には帰れないね」
「…巻き込まなくたっていいじゃない」
「酷い言い草だね。同じ叔父、叔母の立場だって言うのに。大体僕はこれでも遠慮してるんだよ? 姉さんたちは君が神無月さんと一緒に住んでるからって必ず僕のところに預けに来てて、知らないだろうけど僕は3回に1回しか君のこと呼んでないよ。すでにお昼から面倒見てるし…だから苦労してるのは僕のほう、たまには手伝ってよ、きょうだい」
そこまで言ったけど詩織はまだ諦めがつかないみたいだ。
「でも、ラナとレナはユーヤっ子じゃない。私よりかなり懐いてるから…」
と、双子がまたもや同じタイミングで僕に向かって小さな手を伸ばしてきた。そう、彼女の言うとおり姉さんとKENさんの詩織大好き血統が入っているはずなのに彼女たちはなぜか僕が一番のお気に入りだ。傍に行けばなぜか泣き止むし、親に抱きかかえられていても僕に抱っこされようとせがむ。ま、そこがまた僕に預けられる要因のひとつなんだけど…。「おいで」と小さく呟いて二人を抱きかかえる。
「ま、今日のところは手伝ってよ。それとも両手の塞がった僕を置いて帰る気?」
「……そうね、今がチャンスかも知れないわ」
まるで視線からも逃げるように、詩織がリビングへ飛び出した。
声をかけるよりも素早く彼女が振り返る。
「ユーヤは双子を見る役よ。だから私はユーヤを見ててあげる」
「え?」
胸が高鳴った。
けれど、それはいつもの如く落とされる……
「見てるだけ、だけどね」