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キレlife のうみつ共同作業(ユーヤ編) #4

 アキラくんのキャラと同時に先のフィールドに戻った。するとまたしても僕らにシッポを向けて、反対側へ歩いていくレオリウスを発見した。と、キーボードを持たせてもらったであろうナナさんがチャットで合図をしてくる。


<全軍突撃!! 男は突撃のみよ!!>


 瞬間、まるで詩織のように右側からアキラくんのキャラクターが走り込んでいった。僕も遅れてダッシュをしていく。コントローラーを操りアイテム欄からペイントボール(逃げられても追跡出来るアイテム)を選択をし…モンスターに向かって遠投した。バチャリという音と共にボールが弾け、中のピンク色をした液が鱗に付着する。

 -----よし。

 アキラくんが大剣で切り上げる様を横目に違う方向へすぐさま走り、


<いけーーー!! やれーーー!!>


 またアイテムを開き、レオリウスが走ってくるであろう場所に痺れ罠をセットした。

 視界をアキラくんの方へ操作、彼はひたすら頭を狙い続けているのを確認しつつ敵に向かって走り込んでいく。しかし、アキラくんとは違う場所を僕は狙いたい。曲線を描きながら彼とは別の場所、レオリウスの側面へ回り込む。X…地面を蹴り、鱗に覆われたその左足を斬りつける。


<こらーーモヤシ!! 己の体を滅ぼしても攻撃しなさい>


 そのまま、タイミングを合わせて連続コンボ。勢いで動けばその分戻し、足が引けば追いかけ…何度も何度も同じ場所を狙ってはアタックをかける。


<足…。だから、貴方はいつまでも童貞なのよ!!>


 -----実はこれが一番効率いいんだって…。

 横からチャチャを入れられても気にしない。斬りつけ切り付け、回転してはボタンを押し続ける。

 どのくらい僕らは斬りつけただろうか? ドラゴンらしいその大きな翼が一気に開いた。

 -----来る…


<逃げるのか〜〜チキン鳥!!>


 すぐさま戦闘態勢を解除。前転から、方向転換、Rボタンを押してダッシュしてすぐさまその場を離れる。と…砂埃をあげながら視界の隅で銀色のそれが黒髪の彼女を追いかけていくのが見えた。

 -----チャンスだ!!

 急いでキーボードを叩く。


<詩織、しびれ罠がこっちに!!>

<わかってるわよ下僕、アキラ早く!! 右だよ!! アキラ!!>


 すぐさまコントローラーに持ち替え、パートナーが罠を視界に捕らえる事が出来るところギリギリまで待ってから、また走る。パパパという音で敵が罠にかかった事を確認し、視界に入れずひた走る。

 ------もう少し引っ張れる筈。

 まだそこまでダメージは受けていないのだから逃げられる事はないだろうとアイテム欄を展開…次は落とし穴をセットにかかる。


<このヘタレ!! 貴方は男じゃないわよ! 貴方はただのゴミよ! クズ!>


 ヘタレの次は性別もなくし、さらに人間じゃなくなってしまったようだ。ま、いいけどね。

 罠をセットし終え、視点を切り替える。

 するとアキラくんに真剣だったはずのレオリウスと目が合った。


<モンスター!! あの役立たずのゴミ野郎を握りつぶしなさい!!>


 まるでナナさんに命令されたかの如く大剣を振るう女の子を無視して、レオリウスがこちらの方に突進を繰り出してきた。

 -----嘘!?

 向こうでアキラくんが武器をしまうのと同時に僕も武器をしまう。コントローラーは握りしめたまま、しかし何も押す事はない。迫ってくる巨体をジッと見つめて次に押すボタンに軽く触れる。そう、ギリギリまで引きつけて罠に陥れたいのだ。

 ギリっと手の中の黒いそれが音を出した。

 Rボタンと方向キーを同時に押す…が、その寸前でレオリウスが飛び上がった。同時にナナさんも叫ぶ。


<あああ!?>


 銀色に光る翼を大きく広げ、頭上を通り過ぎる。画面からはみ出してしまった敵を追おうと後ろを向いた瞬間だった。

 ------陰が!! しまった毒!!

 思うと同時に地面スレスレで回転しながら攻撃が僕を貫いた。軽く飛ばされ地面に叩き付けられる。


<モヤシ〜〜! ざまあ〜〜〜>


 視点移動を繰り返し、一方でアイテムを使って解毒を施す。


<こら! ユーヤ!! 解毒なんて飲まないでさっさとこのモンスターを撃ち殺しなさい!!>


 アキラくんに向かって空中に留まったまま火炎弾を吐き続けるモンスターへ言われるまま地面を何度も蹴って駆ける。あと1歩で射程距離ないに入るとこだった、敵が少し後ろに下がり始め…僕に攻撃を加えてきた。すぐさまガードボタンを押す。減り始める体力、同時にパートナーのHPを確認すれば…

 -----二人とも結構喰らってる…

 アイテムボタンを広げ、素早く“生命の粉塵(パーティ全員回復)”を選択する。緑色の光に包まれ、二つの体力ゲージが上がっていく。


<それでいいのよ。どーてい>


 彼の体力が上がるのを見届けてから、また走る。

 並ぶように追いつけば、ちょうど大剣が銀色の体に1発ヒットしている所だった。僕も攻撃ボタンを押そうとした、刹那。またツバザが広げられ、モンスターが僕らの射程範囲外に飛び上がってしまった。そのまま大きく、まるでフィールド全体を見渡すように旋回を始める。


<逃げやがったわね、あのチキン鳥め…モヤシと同じね>


 いや、これは逃げたんじゃない、多分次の攻撃の準備だと思う。その証拠に陰が離れていかない。ここはスタミナのゲージを確認しながら走って、攻撃を受けないようにしておくのが一番良い選択だ。

 大きく円を描きながら、スタミナゲージが完全に減ってしまわないように気を配り走る。が、ナナさんからチャットが入ってきた。


<ねぇモヤシ?>

<アンタなんて戦い方見てたらヘタレだってことすぐわかったわよ>

<すみま>

<態度がいちいち女々しいのよ>

<せん>

<女顔のくせに>

<女の人がレジだとエロ本買えないでしょ!?>>

<男じゃないわよ!! 玉なしが!!>


 いつの間にか僕の指先は力が抜け、画面の中のキャラクターが失速して行き…やがて止まった。もう、目にはナナさんからのチャットしか入ってこない。


<ユーヤ!!>

<モヤシ、私の天誅を喰らえ!!>


「え!?」

 文字を読み、覚醒した時には遅かった。

 ガードする暇さえなく、彼女と一体化した銀のレオリウスが僕をおもいっきり突き飛ばし体力を削り始めた。しかもまた毒付き…起き上がるなり解毒をして視点変更すれば、アキラくんが急所に重い1発を当てモンスターが怒り状態になってエリアを飛び出していくとこだった。

 ついでにナナさんの毒舌も飛び出した。


<アキラ、カッコいい!! 下僕は役立たずでヘタレでどうてーーーーい!!>



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