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作者:キラ
上条当麻の日記

2月9日
そういえばもうすぐバレンタインデーだな。やっぱり一高校生として本命とは言わなくても義理チョコのひとつや2つくらいは欲しいと切実に思う―――みたいなことを青髪ピアスに話したら右ストレートを喰らった。解せぬ……


2月10日
インデックスにそれとなく『日本には2月14日に好きな男とか男友達にチョコをあげる慣習がある』と言っておいた。そしたらバレンタイン牧師に関する話を延々と続けられた。最終的にはなんで女→男限定なのか、男→女でもいいじゃないかとか言われた。俺に作れと要求しているようにしか聞こえなかった。これじゃあ望み薄か……


2月11日
あーあ、チョコ欲しいなー。今からでも誰かと仲良くなって義理だけでももらえないかなー―――と土御門に言ったら顔面に本気の蹴りを喰らった。だから何故なんだ………


2月12日
週刊少年ジャンプもバレンタインデー話ばっかりで立ち読みしてたら辛くなってきた。


2月13日
今日は忙しかったから一言だけ。誰かチョコください。








そして、2月14日。


意外と手間のかかる髪のセットを終え、私上条当麻は歯を磨きながらテレビのニュースを見ていた。


『では、今日の星座占いの時間でーす』


占い専門のお姉さんが出てきて、各星座の運勢を発表していく。いつもは1位だろうが最下位だろうが不幸な出来事は起きるため、こういうのは気にしないのだが、今日はバレンタインデー。チョコをもらえなかった負け組には絶望しか残らないのであるからして、自然とテレビ画面に集中することとなる。


『最後はみずがめ座ですねー。残念ながら今日は運勢最悪でーす。…特に今歯を磨いているツンツン頭の人。……今日死ぬかも。バッドアイテムはチョコレート!』


「おいいいっ!?」


何そのピンポイントな占い!?これ俺ひとりに向けての占いなんじゃないの、どうなの?大体バレンタインデーの日のバッドアイテムがチョコレートってなんなんだよ。もらうなってか!チョコもらうなってか!?


『ま、せいぜい生き残れるようにあがいてくださいねー』


「口悪いなオイ!?」


思わず声に出して突っ込んでしまったが、当然返事が返ってくるはずもなく。


……ま、まあ、所詮占いだよな、うん。














「…き、奇遇ね。朝から出くわすなんて」


ミサカミコト ガ アラワレタ!
カミジョウ ハ ドウスル?

・ニゲル
・スルー スル
・イキナリ ハシル
・ゼンソクリョク ダッシュ←

「ってなんでまともな選択肢がないのよ!つか表現変えただけで75%は逃げるって選択じゃない!?」


「うーん…朝から全速力ダッシュはMP消費がなあ……」


「しかも真面目に吟味すんな!あんたの人生はなんちゃってゲームなわけ!?しかも全部カタカナとかファミコン以下かコラ!」


「ファミコンもいいけどメガドライブのことも忘れないでね」


「もう一体何の話だ~!!」


バチイン!という音とともに襲ってきた雷撃を、なんとか右手を突き出して打ち消す。


「うわっ!朝っぱらから何すんだ御坂!」


「今回ばかりは100%あんたが悪いと言い切る自信があるわ。なんで朝の挨拶がメガドライブのPRになるわけ?」


メガドライブがわからない方はウィキペディアあたりにGO!


「……いや、悪いな。ちょっと朝の占いの結果がショックで……」


さすがに先ほどの会話運びは俺が悪いので、ここは素直に謝っておく。


「はあ?占いってあんた、そんなもん引きづったって―――」


あれ、言葉の途中で御坂の動きが止まったぞ。どうしたんだ?


「おーい、御坂さーん」


「ふぇ?い、いや、なんでもにゃいわよ。……そっか、占いか」


なんか後半部分が聞き取れなかったんだが、何かあったのだろうか。


「そ、そう言えば、実は私も昨日見た占いの結果が問題ありでね?」


「へえ、お前もか。どんな内容だったんだ?」


「………」


あれ?なんでそこで黙り込むの?なんでちょっと顔が赤くなってるの?


「……バレンタインデーに男子に手作りチョコレートあげないと死ぬって内容だった」


「いやどんな占いだよ。どんだけ些細なことが原因で死ぬんだよお前。しかもさりげに手作り限定かよ」


「いや、そりゃ私も信じてないけどさ!信じてないけど、念には念を押すってわけで、その、だから……はい」


ごにょごにょ言いながら御坂が渡してきたものは―――


「……手作りチョコ?…え、俺に?」


「か、勘違いすんじゃないわよ。こ、これはその、あくまで不幸を避けるためのもので……」


……というわけで、なんか朝から早くも勝ち組になれそうな感じなんですが。


だけど―――


『バッドアイテムはチョコレート』


どうも引っかかるんだよなあ……


「……な、何よ。いらないってんなら別にいいのよ。私、あっちに(邪魔してきたから気絶させて)置いてきた黒子のとこに行かなきゃなんないから…は、早く決めなさいよ」


どーすんだ、どーすんのよ俺!














現在、自教室。


御坂のチョコ?ああ、当然もらいましたよ。だっていくら不吉といっても、占い<(黙っていれば)美少女からの義理チョコだろう、普通に考えて。


まあ、仮に占いが当たるとしても、バッドアイテム一個ならいつも通りの不幸で済むんじゃ―――


「上条君。……これ。『クラスメートの幸薄げな少年に手の込んだおいしいチョコレートを顔を赤らめながらあげないと死ぬ』って占いで……」


「姫神…?いや、だから何その占い。どんだけピンポイントなの、なんでチョコ渡す時の表情まで指定されてんだよ」


つか占いブームなのか、そうなのか!?


「上条当麻!……『通販でうっかり買ってしまったチョコレートを不幸不幸と自分に甘くしている腑抜けの男にあげないと死ぬ』って占いで……」


「ねえよ!つかそれチョコ渡す相手を中傷してるよな!明らかに俺を責めてるよな吹寄!?」


姫神に吹寄…こいつら一体どこの占い見てるんだ!?


そんなこんなでチョコが増加したところで―――


「……カミやん。実は僕ら男子全員、占いで『クラスにいる一番の女たらし(ウニ頭)を粛清しないと死ぬ』と言われとってな」


「長いようで短い付き合いだったけど、カミやんのことは忘れないにゃー」


青髪ピアスと土御門に死刑宣告を受けた。


「ふおおおお!!MP全消費!全速力ダーーーッシュ!!!」


「「「「「逃がすかあ!!!!」」」」」


やばい、全員目がマジだ。捕まったらミンチだ――――














「ふ、不幸だ………」


奇跡的に負傷するだけで解放された俺は、現在ふらふらしながら寮に向かって歩いている。……やっぱりチョコもらったのがいけなかったのか?他にあいつらにぼこぼこにされる理由はないしなあ。


「でも、占いによる不幸を避けるために渡されただけなんだぞ……ここまで痛めつけられるのってありなのか?」


はあ、とため息をついていると、いつの間にかもう自分の部屋の玄関の前。


「ただいま~……」


今日はもうゆっくり休もう……


「あっ、とうま!おかえりなさい、待ってたんだよ?」


うん?わざわざ玄関まで出てくるなんて珍しいな、インデックス―――


「はい!ちょこれーと、だよ!」


………え?


え?……インデックスが、あの暴飲暴食シスターさんが、俺に食べ物を渡している……だと…?


「……占い?」


「へ?」


「いや、男にチョコあげないと死ぬとか……」


「なあに、それ。とうま、ちょっとヘンかも」


どうやら占いは無関係なようで、インデックスは俺の発言に不思議そうな顔をしている。


「じゃ、じゃあ何か。お前、純粋に俺にチョコを……」


俺がそう聞くと、インデックスは満面の笑みでうなずく。


「そうだよ。いつもありがとう、とうま!」


「お、おう……ありがとな」


予想だにしていなかった展開に戸惑いながらも、俺はハート型のホワイトチョコレートを受け取る。


「食べてみてほしいな」


うながされるままに、一口かじってみる。


「………うまい」


程よい甘さが口の中に広がる。完全に俺の好みを突いている味だ。


俺のコメントを聞いて、インデックスはほっとしているようだ。


「よかった~。この前からずっとまいかに作り方教えてもらってたんだけど、正直不安だったんだよ~」


そうか、舞夏か。確かにこの前『メイドを志す者はだなー、人の顔を見ただけでその人が好きな味付けとかがわかるようにならなくちゃならないんだぞー』とか言ってたけど……さすがだな。


あれ…というか、ちょっと待て。『この前からずっと』って―――


「ひょっとして、俺が前バレンタインデーのこと話した時から…?」


「当たりだよ。とうまがすっごくちょこれーとを欲しがってたから。びっくりさせようと思って、あの時はあんなこと言ったんだけど…ごめんね」


「いや、謝ることなんてねえよ。俺のためにわざわざ練習して作ってくれたんだろ?すごくうれしいよ。本当にありがとう、インデックス」


本当に感謝だ。今までの様子から見て、インデックスはまともに料理ができるやつじゃなかった。おいしいチョコを作るのにかなり努力したはずだ。俺に内緒で、喜ばせるために……なんか感動してきたな。


「お礼なんていらないよ。……だって、そのちょこれーと、私の気持ちを表してるんだから」


「は?」


言葉の意味をつかみ損ねている俺に対し、インデックスは悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。


「そのちょこれーと、『義理』じゃなくて『本命』だからね!」


―――その時のあいつの顔は……まあ、真っ赤だったな。
短いですが、いかがだったでしょうか。短編なので急いだらなんか薄っぺらい感じに…てかバレンタインなのにこれラブコメじゃなくね?とか自分で思いました。

でもまあ、感想などあればお気軽にお寄せください。作者が喜びます。
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