最終章 二つの世界に送るララバイ 定まらない空間で
「ちょ!おま!何で落ちてんだよ!?」
はい、この間裏界に無理やり落とされた高江空斗です。あ、さっきから暗闇の穴をずっと落ちているんですけどね、全く出口が見えん。見えなくて暇になりそうだ。
「おい、ルル。何時まで落ちるんだよ」
「えっとですね。この道の中では時間は定まっていないんですよ」
落ちながらもルルに質問してみたがわけのわからない状態で帰ってきた。詳しく聞いてみるとこの道と言われる空間では時間というものは存在せず、この穴で一日過ごしても出口の世界では一秒しか経っていない可能性もあるらしい。簡単に言えば一日過ごして一つの出口では同じく一日、違う出口では一分間と言葉のとおりこの空間は時間が定まっていない。
「ということですね」
「・・・・・・・結局、何時まで落ちるんだ?」
「私達にも残念ながらわかりません」
このパターンは最悪だ。
「馬鹿空斗も心配しすぎなのよ」
リノも落ちながら普通どおりに話し掛けてくる。
お前等はなれていても俺はなれていないんだよ。
そもそも無理やり連れてこられるのがおかしい。
「空斗、先生の言う事件って何だと思う?」
ライルが質問してきたが確かにそれは考えておく必要があった。
事件と言って俺を必要とするのはおかしい。大体あっちの世界には守護者護衛隊って言うのがあるんだからそのプロに任せればいいような気がする。
「先生が呼ぶんだからよっぽどの事じゃ無いかな?」
「?なんで先生が呼ぶとよっぽどの事になるんだよ」
リノの言葉に頭をかしげていると四人は顔をしかめていた。
そんな顔されても全くわからないのですが。
「あ、そういえば空斗は知らなかったわね」
「だからライル。主語をつけろや。何を俺は知らないんだ?」
「えっと、先生の偉さ」
「偉さ?」
余計に頭を悩ますようなワードが出てきた。偉さというと普通の教師と言う立場じゃいけないのか?もしくは教頭とか校長とか?いやいや、それは無いだろ。
「先生は守護者護衛隊の九番隊小隊長なんですよ」
「小隊長?」
「はい、守護者護衛隊には千を超える小隊があります。そこでは優秀な人が集まっている隊ほど隊の数字が少ないんです」
「となると九番ということは?」
「守護者護衛隊で九番目に強いって事ですよ」
「マジで!?」
となるとさっき俺はその先生に物凄く悪口をべちゃくちゃ吐いていたって事になるのか?そんなに偉い人に「あ、こいつ嫌い」と思われたら死亡フラグ?もしくは生き地獄の刑?
「・・・・・俺、先生に嫌われているかも」
「・・・・・・・そんな事無い」
「いやだってさっきあんだけ悪口を一気に言ったんだ。嫌われて当然だろ。むしろ殺意がわきまくっていると思う」
俺が思い溜息を吐いていると四人は慌てて俺を慰めようとしている。
「だ、大丈夫よ。先生は度胸がある人が好きだし」
「そ、そうよ。馬鹿空斗の暴言で気に入ってもらえたかもしれないし」
「で、ですよね。私も空斗さんなら色々と気に入れられていると思いますよ」
「・・・・・・・・僕も色々気に入られていると思う」
「・・・・・・・色々ってどこが?」
「「「「う゛っ!」」」」
四人が息詰まるのがわかった。あ、やっぱり俺って死んじゃうんだね。ははは、死ぬ前にようかんを腹いっぱい食べておきたかった。あと、死ぬなら表界で死にたかったよ。ああ、疲れたよ、パト○ッシュ・・・・・・・
「・・・・空斗さん。私嬉しかったです」
「?」
ルルがうなだれているように話し掛けるように呟く。
俺も暗い顔から顔を上げてルルの顔をみて話を聞いた。
「あんなに必死になって他人の私達を大切に思ってくれて・・・・・・その、嬉しくてたまらなかったんです。ライルもリノもグライも私もこれ以上に無いくらい感謝しているんです」
「・・・・・」
「だから、先生が空斗さんを殺そうとしても私たちで何とかしますから」
笑顔で言われた。温かい笑顔で助けてくれるといってくれた。俺は嬉しかった。ルル達が言う嬉しいじゃなくてもっと別の嬉しいと思う。言葉では上手く言い表せないが心がほっとしていた。
他の三人も肯いて五人で微笑んだ。
「でも、ルル。お前等なんか勘違いしてるぞ」
「「「「?」」」」
「俺達は『家族』だ」
四人はその言葉に衝撃を受けたらしくじわじわと涙を流し始めた。
そして何も言わず四人をそっと抱きしめた。
作者「短くてすいませんが話の内容はまぁまぁできています。これからの話にも期待しておいてください」
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