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番外編 空斗の休養日 馬鹿も風邪はひく
修学旅行から数日、俺は簡単に言うと干からびて死んでいた。
やる事することが疲れてこの数日間は学校にも行こうというやる気すらうせていた。

外は風がヒュルヒュルと音が鳴り、木々の葉が落ちきっている。
人々は防寒具をしっかりと装備して外を歩いている。

そんな様子を外から見ていて溜息しか出なかった。
まずは体力回復に専念しよう。それが一番だ。

そしてずっと寝ている生活を続けていた。
そんな生活をしていたら、

「・・・・・・・・・だる」




風邪をひきました。






「ごほごほ・・・・・・」

「言わんこっちゃない」

「悪かったな・・・・・・・」

部屋には俺ともう一人の人物。
あーあ、何でこいつが居るんだよ。


二十分ほど前。

場所は俺の部屋。
さっきも言った通り風邪を引いた。
体温は三十八℃。重症の何者でもなかった。

今日も学校で家族は全員学校に行ってもらっている。
風邪ぐらいどうにかなるだろうと考えていたがだるいの何の。
今にも死にそうになっていた。

そんな時家のドアが開いた音が聞こえた。
まだ午前中で誰も帰ってくるはずが無かった。しかし家のドアが開いたという事は誰かが帰ってきたということだ。

誰だ?

不審に思いベットから体を起こしてドアをじっと見る。
すると足音が聞こえてきて俺の部屋に近づいてきた。

泥棒?っち、こんなときに。

舌打ちしつつ右手の包帯をほどき始める。

「我に力を宿せ、ファースト・ライト」

小声で召喚して右手に持ち代える。
足音はゆっくりと近づいてきてドアの前で止まった。

そしてゆっくりとドアが開く。

「くらえ!」

「ぐあっ!」

ドアが開いた瞬間にファースト・ライトを回転させながら泥棒に当てた。
そのまま頭に直撃して泥棒は倒れた。

って今の声どこかで聞いた事があるような・・・・・・

「大丈夫?兄さん?」

「・・・・な、なんだよ」

「あっははははははは!!おかしい!」

「由ノ!笑っちゃ駄目でしょう!」

ん?この声は?

犯人がむくりと起き上がり、部屋の中へ入ってくる。
そして後ろから三人が付いて来た。

「なんだ、お前等か」

「おまえの家は客人に武器を投げつけるのが礼儀なのか?」

入ってきたのは頭を抑えながら愚痴を言う烈火。
その後ろで心配そうに見つめてくる伊理須。
またその後ろで大爆笑をしている由ノ先輩。
由ノ先輩に突っ込みを入れている薗先輩。

珍しいお客が俺の部屋に集合していた。

「大丈夫か?空斗?」

伊理須が心配そうに聞いてきたので「まぁ一応は」と答えた。
すると薗先輩と伊理須はほっとしたような顔を見せて息を吐いた。

烈火は不機嫌でベットの近くにある机の椅子に座った。

「お前も風邪をひくんだな」

「そりゃ人間だからな」

「以外だ」

「人間じゃないような言い振りはやめろ。というかよく俺の家が分かったな」

そう言うと由ノ先輩が携帯を見せて、

「お姉さんから看病しに行ってやってくれって電話があったのよ」

「はぁ・・・・大丈夫って言ったのに。というか先輩いつお姉さんの電話番号を?」

「初めて真奈ちゃんとお姉さん、烈火君と伊理須ちゃんを連れてきた時よ」

あの時かい・・・・・・というかお互い始めてあったばかりなのによく電話番号交換したな。
姉さんは始めてあった人でも信頼できたらすぐに自分のメルアドと電話番号を教える癖がある。
そのせいで顔も広いが毎日数百通のメールが来ているそうだ。

「で、私たちが看病しようと思ったんです。ほら、お昼の材料も」

と薗先輩が手に持っていたビニール袋を見せる。
どうやら昼食まで作ってくれるらしい。

「それじゃ女性陣は料理作ってくるから烈火君は空斗君をお願いね」

「ちょっとまってください!俺ですか!?それなら伊理須の方が・・・・」

「私は空斗に料理を食べさせたい」

「なら薗さんが・・・・・」

「私も同じです」

「・・・・・由ノさん」

「私も無理♪と言う事で宜しくね」

最期にそう言って三人はドアの向こうへと消えていった。
その姿を俺と烈火は無言で見詰め、最期に出て行った伊理須がドアを閉めると二人同時に溜息をついた。

と、言う事でいまの現状までにいたる。

「なぁ烈火」

「なんだよ」

「こうやって話すのって学園祭以来だな」

「そうだな」

「あの時お礼を言っていなかったから今言っておくよ。ありがとう」

「性に合ってない。俺も貸しを返したまでだ」

「だな」

ここで静寂。
お互いにそこまで話した事が無かったので会話が続かない。
さっきからこのような短い会話で終わってしまう。

俺はベットに寝て天井を見上げる。
隣では椅子に座った烈火が天井を見上げていた。

「なぁ空斗」

「なんだよ」

以外にも今度は烈火から話し掛けてきた。
しかしむこうは顔を見て話し掛けてこなかったので俺も同じように天井を見ながら会話を続けた。

「最近、真奈の様子がおかしい気がする」

「真奈ってあの真奈か?祖神の?」

「ああ、俺も一応レストラン以外で祖神神社でバイトをしているんだ。真奈への恩返しにもなるし」

「ふ〜ん」

そういえばこの間ルルが修学旅行の帰りのバスでそんなことを話していたような気がする。
烈火は自分なりの恩返しなのだろう。

それなら人間として成長したんだと思う。
こいつは伊理須と違って頑固なところがある。
でもこうやって人の役に立ちたいと思う部分があるという事は人間として成長したと思う。

あの時とは違うな。

「で、元に戻るけど真奈のどこが様子がおかしいんだ?」

「それが俺が話し掛けると顔が赤くなるし、この間だって手が触れただけで気絶してしまいそうになってた」

「そりゃ確かに変だな」

二人で悩んでみるが答えが浮かんでくる事は無かった。
う〜ん、今度本人に直接聞いて見るか。

そんな事を思っているとドアが開いて伊理須が入ってきた。

「ご飯出来たから食べよう」

「ああ」

そう答えて立ち上がろうとする。
おぼつかない足取りで部屋を出て行く。
さっきから伊理須が心配そうに振り向いて見詰めてくる。
心配してくれるのは嬉しいがそんな顔で見られると色々と困る。

一階のリビングに着くとなんともいえない匂いが匂ってきた。
烈火も異変に気づいて顔をしかめる。

そして何故か料理は俺と烈火の分だけ。

「私達もう食べちゃったから・・・・・ははは」

由ノ先輩が苦笑しながらそう言った。
それに続けて薗先輩も作り笑いとしか思えない笑みを浮かべた。

「伊理須は?」

「私も食べたから・・・・・・」

と小声で答えた。
うん、全力で嫌な予感がする。

「まぁまぁ愛情たっぷりの料理を食べて」

と由ノ先輩に背中を押されて座らされる俺と烈火。
目の前には見た感じは普通のカレー・・・・・・・・・・・匂いがすごい・・・・・・

「・・・・・これを食べろと?」

烈火が顔をしかめながら聞く。
すると女性陣三人組は満面の笑みで答えた。

「味見はしたのか?」

「疑い深いね〜。ちゃんと先に食べたって・・・・・・・・カップメン」

「え?最期のほうが小さくて聴こえ「気にしない!いいから食べて!」・・・・・」

俺の質問に曖昧に答える由ノ先輩を横目に烈火とアイコンタクトをとる。

(これを食べろってか?)

(空斗、気がついたんだが由ノさんと薗さん、伊理須はお店では料理はしたことがない。いつもウェイトレスをしている)

(というと?)

(これはもしかして初めての料理?)

(・・・・・・で、でも見た目はいいよな)

(まぁ・・・・・・な)

(姉さんとグライよりかは美味いと思う。・・・・・・たぶん)

(・・・・・・・)

(・・・・・・・)

(・・・・・・・食べるぞ)

(お、おお)

スプーンを手にとってカレーをすくう。
口元まで持っていくが匂いがすごいので一瞬とまる。

烈火ともう一度顔を見合わせ肯く。

決心を決めて口の中に同時に放り込んだ。

うげ!

口の中に広がる生臭さ、硬くごつごつした感触、こりこりしたのもある。ぷにゅぷにゅしている物あればいがいがする物もある。

・・・・・もう駄目。

そのあとの記憶がなくなってしまった。




気がつくと俺の部屋に烈火が寝ており俺と同じように腹痛を訴える重症となり、また数日学校を休んでしまった。
後日伊理須に何を入れたか烈火が聞いてみると、

「カレーのルー、卵、にんじん、ジャガイモ、トマト、しいたけ、たけのこ、ピーマン、ふきのとう、ほうれん草、チョコレートに片栗粉、すっぽんに砂糖に唐辛子、マグロにアジ、車えび、にぼし、生クリーム、チョコレートクリーム、カスタードクリーム、牛乳、麦茶、コーヒーに紅茶、プリン、ゼリー、パイナップルとキウイ、豆腐と黒ごま、コショウ、それと・・・・・」

「もう言うな・・・・・・・・」
作者「今回はすごいめにあったな・・・・・」
空斗「なんで・・・・休養するはずなのに」
作者「人生色々」
空斗「お前のせいだろうが!!」


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