2.出会い
冷たいコンクリートに囲まれた密室。それは廃屋のビルの中だった。
どこからか隙間風が来て髪を揺らす。寒さを感じ、唯は無意識に手を擦り合わせた。
「ごめんなさい・・・呉さん」
唯は『一人だけ仲間』に呉を選んだ。警部の肩書きを持つ、見た目は二十代半ばの呉は唯に薄い笑みを向けた。
能力は役に立たない。使えるのは頭脳のみということになる。呉は『仲間』の中で誰よりも信頼されていた。伶香でさえも懐いている。今、力になれるのは他の誰でもない、呉だけだった。
「気にしないで。ただ気になるのは・・・」
「僕の情報が少なすぎること?」
二人が顔を見合わせた瞬間、本当に一瞬で少年は現れた。
「ハジメマシテ唯、呉さん」
真ん中に置かれた木製の椅子に少年は座っていた。
黒一色に統一された体。肌だけが白く、目を引いた。少年は闇を含んだ瞳を細め、唯を睨んだ。
「流石だね。呉さんを選んで正解だよ。ゲームには有利だ」
「一体何がしたいの?」
「ゲームだよ、ゲーム。全ては君に懸かっているんだ」
「さあ、ゲームの内容を聞かせてもらえる?」
「ふーん・・・乗り気なんだ? さては零だね。彼が君に言ったんだね? さしずめ『彩は君に何かを望んでいる』ってところかな」
唯は微動だにせず、彩の言葉を聞いていた。まったくその通り、零は「その言葉」を言った。そしてそう言われるとも言っていた。何処まで二人は似ているのだろう、と疑問に思う。
呉は無言で二人のやり取りを聞いていた。その呉に、彩は一瞬だけ視線を移した。その行動に意味はなかったはずだったのだが、呉の頭の中には残った。
まるで誰かと重なる。すぐに思い立った人物は彩の血縁で、彩は出会った頃の彼に似ていたのだった。
椅子から立ち上がった彩は腕を組んで、二人に対峙した。
唯は隣に呉がいるため少し緊張は解れ、表情を緩めた。自然と口調が柔らかくなっていた。
「・・・本当に何かを私に望んでいるの?」
「さあね。僕は伶香のようなテレパスじゃない。答えを知るのはゲーム終了の時さ」 |