姫と騎士と彼女と俺と(22/34)縦書き表示RDF


はい、誰もが予想してたでしょう。
10話更新して番外やったんだから20話いったらまたやるだろうと。
やりますよ〜!

ってなわけで、番外編の第2弾、制作しました。
内容は、球技大会の謎の仲良し3人組の仲直りです。

ではではっ、番外編をお楽しみください。
姫と騎士と彼女と俺と
作:アバウト



番外編2/球技大会の舞台裏


こんにちは、結衣です。
今日はお日柄も良く、絶好の球技大会日和となりました。
って、改まって挨拶をしてみたけど、もう球技大会は終盤を迎えています。

お兄ちゃんと彼方君の決勝戦が決まり、お兄ちゃんとの少し遅いランチを終えて…あ!お兄ちゃんがね、私の作った料理を「美味しい」って言ってくれたの♪
…あ、ごめん、どうでもいいよね。

って……ん?あれは…香奈ちゃん?

……………WHAT’S?

前方から、香奈ちゃんが泣きながら走ってきました。そして、到着するなり私に身を寄せてきます。

なんで?

「ごめ…結衣ちゃん、ごめんね…」

なんで!?

「ほんと…ごめんね」

だからなんで!?

とりあえず周りの人の視線が痛くて、人の居ない校舎裏に場所を移そう……としたけど、なぜだかお兄ちゃんが固まっていて動かないので、校舎裏は諦め、とりあえず中庭に行くことにした。
昼食の時間には少し外れているだけあって、人は思いのほか少なく、とりえず人目を避けることは成功です。

「じゃあ、訳を聞かせてくれる?」

「実はね………」



***



「ダメだよ〜、香奈ちゃん。そんなことしちゃ」

「やっぱり、そうだよね…。ごめんね、結衣ちゃん……」

要約して言うと、香奈ちゃんは何を血迷ったのか、お兄ちゃんに負けてください宣言をしてしまったみたい。
香奈ちゃん、考えすぎだよ。
桜ちゃんだってそんなことは絶対望んでないはずだし、逆に怒り出しそうなのもだもん。

お兄ちゃんに香奈ちゃんが話したことは、半分だけあってる。
今現在熱があるっていうか、そもそも最近の体調が悪くて、桜ちゃんはもう少ししたらまた検査と教養のために入院ということ。

きっと香奈ちゃんは、綺麗な気持ちで入院してほしかったんだと思う。
また昔の桜ちゃんに戻らないように…。

でも、お兄ちゃんは凄い優しい人だから、なんとかしないと本当にわざと負けちゃう。
どうしたものだろうと模索していると、香奈ちゃんはとても悲しそうな顔をしていた。
私ははっとして、難しい顔から笑顔に変える。

「私は大丈夫だよ。でも、お兄ちゃんが…」

「蓮さんが…?」

「お兄ちゃん、絶対自分より人を優先すると思うんだ。だからね、なんとかしないと絶対わざと負けちゃうよ」

「…」

私が言った「絶対」という言葉に、香奈ちゃんはちょっと驚いた様子。
あ、やっぱりそこまで考えてなかったかぁ。まぁ、普通は頼まれたってわざと負けたりしないと思うよね。
私も、相手がお兄ちゃんじゃなければそう思うと思うから。

「結衣ちゃん…本当にごめんね」

「桜ちゃんのこと、心から心配して言ったんだよね?元気になってほしかったんだよね?」

「…うん」

「なら、私は香奈ちゃんに怒ったりなんかしないよ」

少なくとも私はね。
でも正直、少しショックだったな…。

「結衣……」

また泣きそうな顔になる香奈ちゃん。もうカンベンしてよね。

「…よし!私、桜に謝ってくる!」

私はその答えに微笑んで応えた。

「それがいいよ」

私が考えるまでもなく、香奈ちゃんは自分で答えを見つけてくれた。
はい、じゃあ、桜ちゃんを探しに行こう!
結衣ちゃん、頑固だからなぁ…。

はぁ…。

今はもうすでに試合が始まっているので、おそらくはテニスコートにいると思う。





コートの周りを取り囲むギャラリーは、異様に静まりかえっていました。
その中の一人の桜ちゃんが、私たちに気付き、何やら血相変えて走ってきます。
理由は簡単。お兄ちゃんがわざと負けているんだと思う。

「結衣、香奈!なんか蓮兄が変なの!」

その一言で香奈ちゃんの体が一瞬止まった。

「そう…」

「うん……え?」

今度は香奈ちゃんの一言に桜ちゃんが固まる。
桜ちゃんはことの重大さを大きな声でジェスチャーまでつけて伝えてくれようとしたのに、あっさり肯定され、しかもかなり低リアクションだということで「あれ?リアクションは?」みたいな顔をしている。

「桜、ちょっと話したい…かも」

なんで曖昧なの?
ちょっとって使った上にかもって何よ。
早くしないとお兄ちゃんが負けちゃう!

「え?でも試合は?」

いいから付いていってよ桜ちゃん!という思いを込めて、私は桜ちゃんの背中を押した。もちろん、顔は笑っているが、目は笑っていない。

「わかったわよ」

桜ちゃんは溜息をついて答えた。






場所が変わり、今度はしっかりと校舎裏を陣取り、確実に誰かに聞かれる事は無いはず。

「さのね、桜…私」

「な、何?」

香奈ちゃんが暗い顔をしたのと同時に、桜ちゃんも動揺した。

「蓮さんにね、負けてって言っちゃった!」

動揺した桜ちゃんを見て何を思ったのか、明るくかる〜く香奈ちゃんが言った。
これでは桜ちゃん激怒は当たり前だと思う。
あ〜もう!

「ちょ…え!?はっ!?え!?」

言葉になってないよ桜ちゃん。とかなんとか、この状況で言えるはずも無く、私はただ成り行きを見守ってます。

「ごめんね……」

さっきとは打って変わって香奈ちゃんが口を押さえて涙目になってきたので、桜ちゃんは更に動揺した。
私に「HELP!」とアイコンタクトを送ってくるが、私はしっかりと目で返答しました。
「無理」って。

それから、香奈ちゃんが事情を話し始めた。






香奈ちゃんが事情を話し終えると、桜ちゃんは複雑な顔をしていた。
桜ちゃんだって、きっと香奈ちゃんの気持ちを分かってる。と思う。
自分が入院することも、香奈ちゃんがそれを誰よりも悲しんでたことも知ってる。

「あ〜もうッ!余計なことしてくれたよねッ!」

さっきの心の中の呟きは無かった方向でお願いします。

「2人とも!蓮兄の応援しなッ!」

「「え!?」」

その一言に私は少し意表をつかれた。っというかかなりですね。
お兄ちゃんの応援しろって…え?

「散々迷惑かけたでしょ!だから2人は蓮兄の応援するのッ!もちろん、私は彼方兄を応援するけど」

それだけ言って桜ちゃんは走り始めた。多分、気恥ずかしかったんだと思う。
香奈ちゃんも、心のつっかえがとれたんだろう、嬉しそうに「うん!」と応えた後、桜ちゃんに続いて走り始めたので、私も走った。
なんだか裏でごちゃごちゃしてたけど、以前よりキズナが深まった気がする。
全部終わったら、みんなでお兄ちゃんと彼方君に謝りに行こうと思う。

もちろん、詳細を教えること無いと思うけど、あのお兄ちゃんと彼方君なら多分聞かないでくれると思う。

あ、桜ちゃん走って大丈夫かな?

…………今日くらいいよね!



***



その後、私たち3人は精一杯応援しました。
お兄ちゃんはそれに応えるかのように派手はプレイばかりをし、彼方君と互角の戦いをし、お兄ちゃんはすでに4ゲームも落としていたのに、なんと追いついたんです。

そして、最後のゲームで、6対5とお兄ちゃんのマッチポイントで、すみれさんとの練習の成果を出し切り、勝利を収めました。

後になってすみれさんから聞いた話だと、お兄ちゃん、練習でもあんなに強くなかったんだって。

きっと、私たちの応援が伝わったんだよってすみれさんは言ってくれた。

それを聞いた私の顔が赤くなってたのは、ここだけの話。











読んでいただいてありがとうございました!

次回は、もとの本編に戻ります。







ネット小説ランキング>現代コミカル部門>「姫と騎士と彼女と俺と」に投票





ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう