第2話:生徒会3人娘編〜女子高生探偵・瀬川泉の事件簿『前編』
ここは白皇学院。
小中高一貫教育の学校で、よほどの事がない限り落第しないレベルの高い学校である。
この学校の時計塔に、桂ヒナギクら生徒会役員達が集まる生徒会室がある。
生徒会長の桂ヒナギクは成績は抜群で男女問わず人気者だが、高所恐怖症という弱点を持つため、ベランダにだけは近づく事ができない。
副会長の霞愛歌は見た目はお淑やかだが、カワイイ人を見つけるとイジメずにはいられないという極S少女であり、いつも弱点帳を持っている。
書記の春風千桜は普段はクールですましているが、ひとたびバイトの日が来れば容姿真逆のカワイらしい格好に早変わりする、弾けタップリのメイドキャラである。
風紀委員の朝風理沙は家が神社で実は巫女さんだが、鷺之宮伊澄のように特にこれといった特殊能力はなく、いつも何を考えているかわからない謎キャラである。
副委員長の花菱美希はヒナギクに良く助けられており、どこまでもヒナギクにカッコ良さを求めたまにヒナギクを困らせる初代内閣総理大臣の孫娘である。
委員長の瀬川泉はいつもニコニコ笑っているが、ハヤテに爆弾発言をしてしまった事から一瞬にしてMキャラになってしまった有名電気会社の孫娘である。
そしてこの泉、現在は綾崎ハヤテとつき合っている。
その影響なのか、いつも仕事をサボっている3人組の1人であった泉もマジメに仕事をするようになってしまったのだ。
これには、美希と理沙も困ってしまった。
何しろ、3人でいるからこそヒナギクにバレた時でも手分けして逃げられるのだ。
だが、泉がヒナギク側に移ってしまった今、いくら2人で逃げようと泉経由ですぐヒナギク達に居場所がバレてしまう。
そのため、理沙と美希は困っていたのである。
理沙
「なぁ、泉・・・本当に逃がしてくれないのか?」
理沙は泣きそうな顔になりながら、泉に聞いた。
泉
「ダメだよ?理沙ちん達を逃がしたら、ヒナちゃんとハヤテ君に怒られちゃうもん!」
泉は強気で言った。
美希
「どうやら泉、ハヤ太君とつき合ってるというのは本当のようね?」
理沙
「それにハヤ太君はヒナに頭が上がらないからな。悪く言えば買収か?」
泉
「失礼な!とにかく、2人を逃がすワケにはいかないよ!あーちゃん、ちーちゃん!」
泉が叫ぶと、春風千桜と霞愛歌が現れた。
あーちゃんというのは、愛歌のニックネームである(千桜のニックネームが『ちーちゃん』であるため)。
理沙
「春風さんはともかく、霞さんはちとキツいな・・・」
美希
「ええ。弱点帳に書かれたら最後だからね。」
愛歌
「わかってるなら、おとなしくした方が良いのでは?」
美希
「ぐぅ・・・」
美希と理沙は、おとなしく従った。
その夕方、美希と理沙は2人で帰っていた。
理沙
「クソ、悔しいな・・・」
美希
「何とか、泉をギャフンと言わせる方法はないものかしらね・・・」
理沙
「そうだな・・・そうだ!この作戦はどうだ?」
理沙は美希に耳打ちした。
美希
「それ、良いわね!」
美希は笑顔になった。
美希と理沙は、泉を出し抜くためにある作戦を考えた。
しかしこの時、2人を監視していた人物がいた事に彼女達は気づいていなかった・・・
翌日 放課後
泉は昨日と同じく、美希と理沙に話しかけた。
泉
「美希ちゃん、理沙ちん!今日もまた仕事手伝ってもらうよ!」
美希
「ええ、もちろん手伝うわ。その前に、トイレに行きたいんだけど良いかしら?」
理沙
「あ、私も。」
泉
「?別に良いよ?」
泉はアッサリ許可した。
美希
「じゃあ、トイレ行ったら戻って来るから。」
泉
「ちゃんと戻って来てよ?」
泉が言うと、2人は『うん』と返事した。
美希と理沙は教室を出ると、足早に走り出した。
美希
「アッハッハ、うまくいったわね理沙〜!」
理沙
「全くだな美希!まさかあんなに簡単にだまされるなんてな〜!」
美希と理沙は、笑いながら道を歩いている。
そう、2人は戻る気など最初からなかった。
最初からサボるつもりだったのだ。
理沙
「さて、今からどこで時間つぶす?」
美希
「そうねぇ・・・」
美希と理沙は、相談をしながら歩いていた。
そのせいなのか、彼女達は後ろから来ている影に気づかなかった。
「(おい、やるぞ。)」
「(はい、兄貴。)」
2つの影は頷き合う。
そして、行動を起こした。
ます右側の男が、美希の口をハンカチで塞いだ。
ガバッ!
美希
「んぐっ!!」
理沙
「!?」
美希のうめき声に、理沙は彼女の方を向いた。
理沙
「ど、どうした美希!?」
そう叫ぶ理沙も、ほどなく口を塞がれた。
ガバッ!
理沙
「むぐっ!?」
2人は必死にもがいたが、やがて目がトロンとなっていった。
美希・理沙
「うぅ・・・」
美希と理沙は気を失った。
2人と襲った2人組はニヤリとすると、彼女達を近くに止めてあった車の後部座席に押し込んだ。
そしてそのまま、何事もなかったように走り出した。
その様子を、ある少女が目撃していた・・・
その後も泉は美希と理沙が戻って来るのを待っていたが、一向に2人は戻って来ない。
泉
「どうなってるの・・・?全然戻って来ないじゃない!2人共!!」
泉はいつもの笑顔ではなく、とても怒っていた。
愛歌
「やられましたね。まさか、トイレを口実に逃げられるとは・・・」
千桜
「どこの中学生ですか、あの2人は・・・」
泉を呼びに来た愛歌と千桜も、ため息をついている。
ハヤテ
「で、どうします泉さん?」
ハヤテが泉に聞いた。
泉
「そんなの決まってるよ!あーちゃん、ちーちゃん、ハヤテ君!今から4人で手分けして美希ちゃんと理沙ちんを・・・」
泉がそこまで言った時、急に教室のドアが開いた。
入って来た人物に、ハヤテは見覚えがあった。
ハヤテ
「あなたはシスター!」
そう、ハヤテが以前執事とらのあなでお世話になったシスター、ソニアである。
ハヤテ
「どうしたんです?白皇に来て。」
ソニア
「た、大変ですハヤテ君!水色の髪の女の子と黒髪の女の子が、怪しい2人組にさらわれたんです!!」
ハヤテ
「ええっ!!」
ハヤテは驚いた。
千桜
「水髪と黒髪の女の子って・・・」
愛歌
「ま、まさか・・・」
泉
「美希ちゃんと理沙ちん!?」
泉達も、顔が真っ青になった。
その頃、理沙は薄暗い部屋で目を覚ました。
理沙
「う・・・ここはどこだ?」
理沙は立ち上がろうとしたが、なぜか体が動かない。
仕方がないので辺りを見回すと、理沙の後ろに美希の顔が見えた。
スヤスヤと寝ている。
理沙
「おい、美希!起きろ!!」
理沙が叫ぶと、美希が目を覚ました。
美希
「ん・・・理沙?」
理沙
「良かった、気がついたか。」
美希
「理沙、私達一体どうなったの?頭はクラクラするし、体は金縛りにあったみたいに動かないし・・・」
理沙
「それは・・・」
理沙が答えようとした時、部屋が明るくなった。
誰かが電気を点けたのだろう。
「目が覚めたようだな、お嬢ちゃん達。」
美希と理沙が声のした方を見ると、怪しげな2人組が立っていた。
ここでようやく、美希と理沙は自分達の手足と体がロープで縛られている事に気づいた。
理沙
「金縛りみたいに動けない原因はこれだったのか・・・」
美希
「私達を誘拐してどうするつもりなの?」
美希が2人組をにらみながら言った。
「お嬢ちゃん達の親から金をいただく。」
要するに、身代金目的の誘拐だ。
美希
「あなた達、見覚えがあると思ったら、以前三千院ナギちゃんを誘拐しようとしたヤツらね?私のメモ帳に載っているわ。」
理沙
「呆れたヤツらだ。性懲りもなくまたこんな事をしようとするとはな。」
「どうとでも言え。オレ達には金が必要なんだよ。」
「とにかく、しばらく黙っていてもらうぞ。」
男はそう言うと、ガムテープを取り出した。
テープをビリッと切ると、理沙の口に貼った。
ペタッ。
理沙
「ん〜!!」
美希
「理沙!!」
「オマエには話させる事がある。携帯の場所を教えてもらおう。」
美希
「わ、わかったわ・・・」
美希はおとなしく携帯の場所を教えた。
泉達は教室で、深刻な雰囲気になっていた。
ハヤテ
「朝風さん達が誘拐されたなんて・・・」
泉
「どうしよう、ヒナちゃん?」
ヒナギク
「落ち着いて!きっと犯人から電話がかかってくるハズよ!」
愛歌
「電話してきた時が勝負ですよ、泉さん。」
泉
「うん!」
泉が元気良く返事すると同時に、泉の携帯電話が鳴った。
ピリリ、ピリリ・・・
泉
「ヒャア!電話?」
電話の主は、美希だった。
泉
「美希ちゃんから電話だ!」
ハヤテ
「泉さん、できるだけ会話を引き延ばしてください。」
泉
「わかった。」
泉は恐る恐る電話を押した。
泉
「もしもし?」
「オマエが瀬川泉か?」
泉
「はい、そうです。あなたが誘拐犯ですか?」
「フフフ、そうだ。」
泉
「目的は身代金ですか?」
「話が早いな。そうだ。2人を助けたければ、4500万円用意しろ。」
泉
「わかりました。それより、美希ちゃん達は無事ですか?」
「ああ、無事だ。黒髪の子は口を塞いでいるがね。」
泉
「美希ちゃんの声を聞かせてください!」
「良いだろう。」
男は美希の顔に携帯を近づけた。
美希
「い、泉・・・」
泉
「美希ちゃん、無事?」
美希
「ええ、何とか無事よ。ゴメンね、泉。仕事サボっちゃって・・・」
泉
「そんな事今はどうでも良いよ!」
泉は強気で言った。
「お嬢ちゃん、君が身代金を持って来い。」
泉
「え?」
泉はキョトンとした。
「君が持って来るんだ。そうすれば、2人は解放しよう。」
泉はしばらく考え込んだが、ほどなく答えた。
泉
「わかりました。私、行きます。」
ヒナギク・千桜・愛歌・ハヤテ・ソニア
「な!?」
泉の返事を聞いたハヤテ達は、驚いた。
美希
「ダ、ダメよ泉!これはあなたを誘い寄せる罠よ!来ちゃダメェ!!」
「うるさい!」
男は叫ぶ美希の口を手で塞いだ。
美希
「う〜っ!!」
泉
「美希ちゃん!?」
「持って行く場所は後で言う。良いか、警察には知らせるなよ!」
男はそう言うと、電話を切った。
泉
「美希ちゃ〜ん!!」
「ったく、うるさいお嬢ちゃんだ。」
男はそう言うと、美希の口にもガムテープを貼った。
ペタッ!
美希
「ん〜!!」
電話が切れると、泉達は再び深刻な顔になった。
ヒナギク
「犯人は、泉を名指しで指名してきた・・・」
愛歌
「泉さんがソニーの孫娘だと知っているって事ですね・・・」
千桜
「泉さん、どうするんです?これは罠かもしれません。」
泉
「たとえ罠だとしても、私が行かなきゃ美希ちゃん達は助けられない!行くしかないよ!!」
泉の瞳は真剣だ。
ハヤテ
「そうですね・・・泉さん、くれぐれも気をつけてくださいね。」
ハヤテは泉の手を握った。
泉
「大丈夫だよハヤテ君。心配しないで♪」
泉はそう言うと、真剣な顔つきになった。
泉
「待ってて!美希ちゃん、理沙ちん!私が必ず助けてあげるからね!!」
泉は美希と理沙の救出を強く決意した。
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