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切ないくらい。
作:CHE.R.RY



08:工藤新一に似た男












朝方。キッチンで工藤君と会い、そのまま部屋に戻りまたパソコンの前に座った


画面に並べられた化学式。それを見つめて、ため息をはいた。


化学式は簡単に出来上がるのに、人の気持ちって言うのは難しいものね…。


そのままパソコンの前に突っ伏して眠ってしまった。



それから2時間くらい眠っていたらしい。カーテンの隙間から洩れる光が顔に当たり目を覚ました。



「……、朝ね…」



…どれくらい熟睡していないだろうか…。もう随分と深い眠りには落ちていない…。



「…あの人達の朝食、用意しなきゃね…」



自分だけなら作らなくてもいいのに。面倒事ばかり持ち込んでくれるのね。


…でも、少し。ほんの少しだけ安心したのかもしれない。


そう思うと自然にキッチンへと足が向かった。

















「ふわあ〜〜…」



大きな欠伸をかましながら服部君が2階から降りて来た。



「ねーちゃん、おはよーさん」

「おはよう」

「よお眠れたか?」

「ええ、そうね」

「なんか手伝う事あらへんか?」

「なら、顔でも洗ってから工藤君起こして来てくれないかしら?」

「ああ、わかったで」



服部君がキッチンから出て行っている間に朝食の用意を済ます。


テーブルに並べて、珈琲を煎れる。



数分後、服部君が一人でキッチンに戻ってきた。



「朝食の準備出来ているわよ。工藤君は?」

「あかん…アイツ起きひん」

「…全く。しょうがないわね」



本当に寝起きが悪い事。だからワザワザ服部君にお願いしたと言うのに。



「今日は、和葉らと出かけるっちゅーに…ほんま約束をなんやと思っとるんやろ」

「あら、そうなの?だったらほっとく訳にはいかないわね」



起きない方が悪い、といつまでも寝かせておこうと思ったけど、彼女と出かけるならそうもいかないわね…


私は淡々と階段を上がり工藤君がいる部屋を開けた。



「工藤君、朝よ」

「ぐーー…」

「ちょっと工藤君。貴方、今日約束あるんでしょ?起きなさい」

「うーー…ん…」



いくら声をかけても彼は目を開けない。

ふう、と息を吐き寝ている彼を見た。


…寝ている時は可愛いのにね。


無邪気な寝顔はついこの間までの小学生の時の面影がしっかり残っている。



「本当、子供なんだから」



小学生でも高校生でも変わらないわね、と少し可笑しくなった。


同時に胸の中が切なくなった。


…バカね、私も。わかっていたはずなのに。


わかっていて此処にいるのに。…本当、バカね。


彼を見ていると幸せな気持ちになれるけど、辛くもある。…だけど彼が幸せならば私も幸せだと…彼が彼女と幸せになれるなら私も幸せだと思うようにした。


なのに、この人ったら何時まで経っても彼女に言っていないみたいね。…残酷な人。早く恋人になってくれればいいのにね。


だけど、ホッとしている自分がいる事も確かね。…本当に汚い人間ね、私は…。


彼女みたいに白くなれたら――…なんてね。私とは縁がない事ね。


ねえ?私はどうしたらいいのかしら?このまま灰原哀として此処で暮らしていくのか、宮野志保に戻り何処か…誰も知らない所へ行くべきなのか…。どちらの方が楽なのかしらね。


…―わからないの―…



「…『助けて』って言ったら貴方は助けてくれるのかしら…」



こんな事、絶対言えないわね。何から助けてもらうつもり?…私は私の気持ちから逃げたいだけなのに。


バカバカしい。こんな事に一々左右されて、無駄に胸を焦がせる…本当に人間てバカバカしい感情を持っているのね…。



「う…ん…?灰…原…?」

「あらやっと起きたの」

「…なぁ」

「なによ」

「…オメー俺に、助けてって言ったか…?」



……まさか、聞こえていたの?



「何寝ぼけているのよ。言うわけないじゃない」

「…そか…?」

「だいたい組織も潰れたのに一体、私が何から助けて欲しいって言うのかしら?」

「…そうだよな…夢、だったのかな」

「そうなんじゃない?それより貴方、今日出かける約束してるんでしょ?」

「…あ。そうだった」

「早く、朝食食べちゃって。服部君はもう下にいるわよ」

「あぁ、顔洗ったら行くよ」



よかった。どうやら本当に寝ぼけていたみたいね。


私は心の中で一息つき、リビングへ戻った。


そして工藤君と服部君とテーブルに着き、朝食を摂った。



「ん!美味いわ〜」

「それはどうも」

「いい嫁はんになれるで」

「くだらない事に関心してないで早く食べたら?彼女達、迎えに来るんじゃないの?」

「せやったな」

「灰原、博士今日帰ってくんだよな?」

「ええ。お昼頃こっちに着くそうよ」

「それまで一人で大丈夫か?」

「…あのねぇ…子供じゃないの、当たり前でしょ」

「子供、だろ?」

「貴方に言われたくないわね」

「…あんだと」

「見た目が子供、中身が子供…どちらが本当の子供なのかしらね」

「オイ…そりゃどーゆう意味だ?」

「あら探偵なんでしょ?それくらい推理したら?」

「こんなの推理でもなんでもねーっつーの」



ふて腐れながら工藤君は朝食を済ませた。


食事を終えた二人に珈琲を出し、私は食器を洗っていた。



――プルルルル、



けたたましく鳴る電話。私は手を拭き、受話器を取った。



「はい、阿笠…」

『哀君!』

「あぁ、博士。どうかしたの?」

『実はのぅ…急な事なんじゃが今日も泊まる事になってのぅ』

「そうなの」

『すまんが帰りは明日の夜になりそうじゃ…』

「わかったわ」

『すまんのぅ、留守ばかりさせてしもうて』

「気にしないで。私なら大丈夫よ」

『じゃが、やはり心配でのぅ…』

「大丈夫よ博士。工藤君が居てくれるみたいだから。だから安心して学会に集中してちょうだい」

『そうか…新一が居てくれるなら安心じゃの。じゃあ哀君、また連絡するからのぅ』

「ええ、それじゃあ」



ガチャと受話器を下ろすと工藤君が不思議そうにこっちを見ていた。



「博士か?」

「ええ、そうよ」

「何だって?」

「…お昼は食べて帰るから用意しなくていいからってだけよ」

「ふーん。そっか、ならいいけどよ…」



それからしばらくして、工藤君と服部君は出かけていった。


何かあったら連絡しろよ、と言い残し隣の家に入って行った。


それから暫くして、彼女達の楽しそうな声が聞こえて何処かへ行った。


そしてそれを見計らったかのように玄関のチャイムが鳴った。


…誰かしら。


不思議に思いながら玄関を開けると、見覚えのある顔があった。



「こんにちは」



そう言った彼は、さっきまで此処にいた工藤君に本当に似ていて…だけど知っている顔だった。



「…この姿では初めまして、だな。哀ちゃん」



そう言って笑った彼の顔を見て、誰だかがやっとわかった。



「黒羽君…貴方、なにしてるの?」.

「遊びに来たんだよ」

「何を考えているの?貴方、自分がしてる事わかっているの?」

「わかってるよ。哀ちゃんはキッドの事を心配してるんだよね」

「別に心配なんかしてないわ。ただ、リスクが高いんじゃないかしら?」

「それなら大丈夫。下調べに抜かりはないからさ!阿笠博士は明日の夜まで帰ってこないし、工藤新一と西の名探偵も彼女達と出かけた…でしょ?」

「…どうして知っているのよ」

「それよりさ、入れてくれないかな?俺の姿、見られたら面倒くさいでしょ?」

「…はあ、…入れば?」

「お邪魔しまーす」



突然の訪問者、黒羽君を中に入れてソファーに座る。



「それで?何故あなたが此処に居て、事情を知っているのかしら?」

「なんで此処にいるのかって…本当の姿で会いに来たんだ、事情を知ってるのは…キッド様だから当然なのでーす」

「理由になってないわよ」

「細かい事はいいじゃん」

「よくないんじゃなくて?」

「いいったらいいの!今日は俺、甘えに来たんだーつーわけで膝枕してよ」

「意味がわからないわ」

「最近疲れてて」

「だからって私の所まで来て甘える事はないんじゃないかしら?」

「最近あんま寝てねーし」

「だったらこんな所に来てないで家に帰って寝ればいいじゃない」

「…哀ちゃん…冷たい…」

「あら当然の反応じゃないかしら?突然現れてそんな事言われてもね」

「なんかさー哀ちゃんの前だとありのままでいれるってゆーか…安心して素を出せるってゆーか」

「そんなの、貴方の幼なじみの彼女にしてくれないかしら?」

「青子にこんな事言えないよ。引かれるって…だって俺、アイツの前じゃカッコつけてばっかだし…」



本当に子供のような事ばかり言う黒羽君。…一体、なんだって言うのよ。



「あら、女はね普段とは違うギャップに惹かれるものよ?」

「それでも無理〜」

「…さすがにそこまで駄々こねられると嫌われちゃうかもね」

「でしょー」

「よっぽど彼女に嫌われたくないのね」

「…そんなんじゃないけど、アイツの思い描く俺を壊せねーかなって」

「女には理解出来ないプライドってやつかしら」

「理解出来なくてもいーよ。わかってくれれば…」

「…勝手にしなさい」



どうして私がこんな大きな子供のお守りをしなきゃいけないのかしら…。

この歳で母親の体験なんてしたくないわよ。

…ま、いつもあの子達のお守りをしてるけど、どっちの方が子供かわかったもんじゃないわね。



「やったー膝枕〜」



そう言って黒羽君は私に近づいてきた。



「…って言いたい所だけど俺が哀ちゃんに膝枕してあげる」

「結構よ。どうしてそうなるのかしら」

「寝てないでしょ」

「何故そう思ったのかしら?」

「顔見りゃわかります〜」

「…そんなに酷い顔かしら?服部君には何も言われなかったけど…」

「俺をあんまり甘くみない方がいいよ、なんたって天下のキッド様だから」

「だからキッドだって事は理由にはならないんじゃないの?」

「そんな事ないよ〜ほらっ!いいから寝て」

「結構よ。眠くないもの」

「…見てる方が痛くなるからさ…眠ってくれない?」

「だから寝てるわよ。今日だってちゃんと…」

「ちゃんと寝た?ぐっすり?また朝方まで研究とかいって起きてたんじゃないの?」

「…貴方、ストーカーなの?笑えないわよ」

「ストーカーはひでぇ。ただ哀ちゃんが心配で…」

「それを人はストーカーって言うんじゃないかしら?」

「言いません〜哀ちゃんに迷惑はかけてません〜様子見に来てるだけです〜」



…だから、それがストーカーよ黒羽君。


まあ、いいわ。どうせ私が眠るまでしつこく同じ事を言うんでしょうから、寝てるフリでもしてあげようかしらね。


それで満足するでしょう。



「わかったわ。少し休むわ。でも膝枕は遠慮させてもらうわ」



そう言ってソファーに横になり目をつむって見せた。



「それは残念。だけど寝てくれるだけいっか!おやすみ哀ちゃん」

「はいはい、おやすみなさい」

「俺がちゃんと留守しとくからね」

「はいはい」

「強盗が来たら追い返すから安心して寝てね」

「…はいはい」

「携帯鳴らないように切っとくから熟睡してね」

「…………。」

「うるさいといけないからテレビも着けないから」



この人、本当に眠らせる気あるのかしら…?.

そんな調子で眠れるわけないでしょう。

それに私が寝ちゃったら暇になるのにね。

だけど、彼が暇になろうが私には関係ない事。

勝手に押しかけて来て勝手な事ばかり言う。

…本当、勝手な人しかいないのかしらね。

どっかの誰かさんのような――……。



ただ、目をつぶって横になっているだけのつもりだったのに、私はいつの間にか本当に眠ってしまっていた…。












□■□■□■





ソファーで横になり一応眠ってくれた。


俺はフゥ、と息をついた。ホントは甘えになんか来た訳じゃない。


本当に心配だったんだ。ここの所、研究に打ち込み眠らない日々を過ごしていたから。


いい加減、本気で身体壊しちまう…。


どっかの名探偵は近くにいるのに、そんな事にも気付かない。


だんだん腹が立ってくる。


口先ばかりで『心配だから』って言っても、そんなの伝わる訳ねぇんだよ。



俺は寝息をたてる小さな少女をジッと見つめた。



…貴女は、何を考えて眠らないんだろう。


あの組織の事?

お姉さんの事?

それとも…、あの名探偵の事?

それとも、全部?


眠るのが怖くて無理に研究に打ち込むなんて、よっぽどだ。


だから余計に腹が立つ。名探偵…今のお前には彼女を守る資格がないんだよ。


それにすら気付かないでただ優しくしてる。…なあ、名探偵…お前が1番彼女を傷つけてんだよ。


彼女が…志保ちゃんが弱音を吐かないから、強いからお前は好き勝手出来てるんじゃねーか。


志保ちゃんがお前を困らせないからいつまでも、青子に似てる幼なじみの子と天秤にかけてられんだろ。


それを『当たり前』だと思ってるお前が腹だたしいんだよ。



「…ヤベ、考えてたら余計ムカついてきた」



考えれば考える程、腹わたが煮え繰り返ってくる。


一発ガツンと言ってやりてぇけど…この姿で工藤新一に近づくのはリスクが高いし…



「あ、そうだ」



俺は煮え切らないこの気持ちをどうにか浄化したくてある事を思いついた。


志保ちゃんが工藤新一を困らせないなら、俺が困らせてやろう。


…勝負だ、名探偵。


俺は頭の中で広がる妄そ…じゃない、シュミレーションに思わず顔がニヤける。


見てろよ。














□■□■□■






「ねぇ、そろそろお昼にしない?」

「せやな!ウチお腹空いたわぁ」

「どっか入ろっか!何食べたい?和葉ちゃん」

「んー…パスタとかどうや!?」

「うん、いいかもね!」

「なーにがパスタや。お前はパスタって顔してへんで」

「どーゆう意味や!!平次ぃ!!」

「お前はラーメンとか庶民的な顔しとる言うてんねん」

「なんやとー!?平次なんか黒糖みたいな顔しとるくせにぃー!!」

「黒糖ってなんや!!やんのかコラァ!!」

「なにおう!?こてんぱんにしたるわ!!」

「やれるもんならやってみぃ〜バ和葉〜ハハハ」

「平次ぃぃぃ!!」

「ちょ、ちょっとちょっと、服部君、和葉ちゃん落ち着いて〜」



阿笠宅を出てから暫くして蘭達と合流した。


それからデパートへ行きぶらりとして歩いていたら、いつの間にかもう昼前。


どっか店に入りお昼を摂ろうとしているのだが、さっきから服部と遠山さんは痴話喧嘩を繰り広げている。


…道のド真ん中でな…。コイツらには羞恥心ってのがねーのか?



「ほっとけよ、蘭」

「そうもいかないでしょー?止めないと!新一も我関せずみたいな顔してないで何か言ってよね!!」



ほっときゃいいのに…。どうせすぐケロッとしてんだよ、コイツらは…。



「服部君!和葉ちゃん!二人とも落ち着いて!」

「蘭ちゃん!止めんとって!一発ギャフンと言わせな気ぃ済まんねん!!」

「一発たらギャフンたら…ほんま女のカケラもないやっちゃなー」

「もー許さへん!!待てぇー平次ぃ!!」

「捕まえれるもんなら捕まえてみぃ♪ホラッ」



ギャーギャーと追いかけっこをおっぱじめる二人に俺と蘭はため息をはいた。


その時、ポケットに入っていた携帯が音を鳴らした。



「新一、電話鳴ってるよ」

「お?おう」



携帯を取り出しディスプレイを見た。


“着信:博士”



「もしかして、事件じゃないでしょうねぇ?」



そう言って蘭はジト目で俺を見てくる。



「ちげーよ!博士からだっつーの」



んな顔で睨まなくてもいいだろ!なんで俺への着信=事件なんだよ。服部にしても蘭にしても。


俺はふて腐れながら通話ボタンを押した。



「博士?何かあったのか?」

『おお、新一!いや、そうじゃないんじゃが一応、新一にも謝っとかんといかんなと思ってのぅ』

「はあ?謝るって…何をだよ」

『いや、わしの都合で二日も留守番を頼んでしもうてのぅ』



……………は?



『哀君には今朝謝ったのじゃが、君に言うのを忘れとっての』



今朝?灰原?



『君も蘭君や服部君達と遊びに行きたいじゃろうに哀君と家に残ってくれて有り難う。君が居てくれるって聞いて安心したんじゃよ』



……なに言ってんだ?博士の言ってる事が全く…



『本当にスマンが明日の夜には帰るから頼んだぞぃ!!お土産は買っていくからのぅ〜。じゃあの』



――プツッ、ツーッツーッ



博士は一方的に喋り一方的に電話を切った。



「…何だったんだ?」

「新一?博士なんだって?」

「さ、さあ………はっ!!」



“明日の夜まで”
“今朝哀君には”
“留守”
“頼んだ”


もしかして、灰原の奴…。


博士は明日の夜には帰れると言った。…つまり今日は帰って来てないって事で…

今朝、そう言えば電話が鳴って灰原が出て…そん時、確か『昼は外で済ますから』って、灰原が言って…………あれは、嘘だったのか…

あと、博士は“新一が居てくれて安心…”って言ってたな。どういう意味だ?俺は何も………もしかして、灰原…博士にも嘘を言って…。

俺は蘭達と出かけるし、博士にそう言ったら心配するし…だから博士には俺が居る、と言い俺には博士が明日の夜まで帰ってこない事を言わなかったって事か。


…灰原の奴…。なんでなんでもかんでも一人で解決すんだよ…ったく。



「悪ィ蘭。灰原が家に一人らしいんだ。何かあったら大変だから俺、博士ん家行ってくる」

「え!?博士ん家!?…今お昼だよ?哀ちゃんなら一人でも大丈夫だと思うけど」

「なんやなんや?どうかしたんか?」



喧嘩に飽きたのか、服部と遠山さんが近づいてきた。



「新一がね、博士ん家に行くって言うのよ」

「なんでや?工藤」

「灰原が一人でいるからよ、何かあったら大変だしよ!オメーは蘭と遠山さんと楽しんで来いよ」

「え?なに言うてるん、阿笠のじーさん帰って来る時間やろ」

「博士は明日の夜まで帰ってこのーんだよ」

「え!?でもねーちゃん、そんな事言うてんかったやん!」

「ああ、嘘だ」

「嘘ついてたんか…ねーちゃんは」

「ああ、そーゆう訳だからオメーらは…」

「…でもまぁ…大丈夫なんちゃう?今は昼やし、一人でも全然大丈夫やと思うで?」

「……服部」

「工藤は考え過ぎやねん!過保護になりすぎたら嫌われるで〜」



服部はハハハと笑い俺の背中をバシバシと叩いた。


…痛ぇっつーの。…でも、確かにアイツだし大丈夫だな。ったく、博士が大袈裟に心配するから移っちまったぜ…。


俺はそうだな、と返事をして四人で歩き出した。


そして質より量だ、と服部が提案したバイキングの店に入った。.

席に座り適当に食べれそうな分だけ持ってきて食べていた時――。



「あ!蘭お姉さんだ!」



そう声をかけてきたのは、少し前まで同級生だった歩美ちゃんだった。



「歩美ちゃん」

「こんにちは、蘭お姉さん!!」

「こんにちは。歩美ちゃんお母さん達と?」

「うん!そうだよ!蘭お姉さんは……あれ?新一お兄さん?」

「こんにちは、歩美ちゃん。久しぶりだな」

「こんにちは!蘭お姉さんとデート?」

「いや……;大阪から来た友達と遊んでるだけだよ」

「そうなんだ〜。でも新一お兄さん、さっきと服が違うね」

「え…?」

「ほら!10時頃、哀ちゃん家に行ったでしょ?歩美、ママの車で通った時、玄関のところで哀ちゃんと喋ってる新一お兄さん見たもん!でも服が違うから…」



10時頃…?ちょうど蘭達とデパートに向かってた頃だ…。

灰原と玄関で喋ってなんかないぞ…。



「それから哀ちゃんが中に入れてたし…あれは新一お兄さんだったよ」



なんだよ、それ。あそこから出ては行ったけど入ってはない。



「歩美ちゃん…それ、ホントに10時頃?」

「うん!ラジオで10時のお知らせしてたから!」

「そっか」

「哀ちゃん、何してるの?遊びに誘ったんだけど留守番してなきゃって…」

「ああ、博士が遠出してるから灰ば……哀ちゃんが留守番してなきゃいけないんだ」

「えーっ!そうなの!?じゃあ歩美が哀ちゃんの家に遊びに行こう!哀ちゃんに明日行っていいか聞いてみよう!じゃあね、新一お兄さん、蘭お姉さん!」

「あぁ…じゃあな、歩美ちゃん」



歩美ちゃんは手を振りながら両親の所へ走っていった。


…歩美ちゃんは、俺が灰原と玄関で喋ってたと言った。でもそれは俺じゃない。

じゃあ誰だ?灰原が家の中に入れるって事は知り合いか…

でも歩美ちゃんは、俺だと言った。あの目は確信していて自信のある目だったし、歩美ちゃんは嘘を言う子でもない。

俺と誰かを見間違えた…でも見間違える程似ている奴なんかいないし…。

アイツの知り合いはだいたい俺つながりの奴ばっかだし、しかも高校生くらいの男の知り合いなんていただろうか?

……いや、いないな。服部くらいだろう。…だとしたら誰なんだ?


…まさか、家の中に入るために俺に扮装した誰かが…………。



――ガタン!!



「新一!?」

「悪ぃ!!俺やっぱり行くから!オメーらは楽しんでこい!」

「ちょっとぉー!!」



俺は勢いよく立ち上がり店を出て、走って阿笠宅へ向かった。


危ないかもしんねぇ…!!誰なんだよ!!もし、灰原は俺だと思い中に入れたとしたら………クソ!!


無事でいる事を願いながらスピードを緩める事なく走り、阿笠宅の玄関を思いっきり開けた。



――バンッ



「灰原ぁ!!」



予想していた通りカギが掛かっていなかった。

嫌な予感が一瞬頭を過ぎった。

それを掻き消しながらリビングに入った。



「灰ば………」

「…………。」



ソファーには知らない男が座っていた。

入ってきた俺と目が合い、目を見開いていた。



「―――――!?」

「…………。」



歩美ちゃんが見たのはコイツだ、とすぐにわかった。

俺に似ている。…ような気がする。



「…誰だ、オメーは」






.


ども〜!CHE.R.RYです(^V')☆今回は黒羽快斗君を登場させたのですが…。一つ謝罪を。黒羽快斗(キッド)のファンの方、すんまっせーーん!!(土下座)「快斗はあんな喋り方じゃない!」と思ってる方々は多いと思います!!でも理由……言い訳があるんです!!快斗を原作(まじっく快斗)通りに描くとどうしても工藤とかぶってしまう…!!と思ったので、新一と快斗の区別をつけたかったので、あんな感じになってしまいました…!!許してください!(スライディング土下座)PS.ドラマ版第二段見ました。あれは新志だった!!と胸キュンしたぜコノヤロー。志保ちゃんの役、ピッタリやったし幸せでしたーー!











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