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昔、書いてた奴のまとめ 作者:無職童貞

こそばゆい学園恋愛もの感(だいたい、あってる)

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001-5

第四話 男子管理委員会発足という名ばかりの妄想回

(前回までのあらすじ。超絶イケメンが部屋に入ってきたかと思えば先日の半裸の変態だった。半裸の変態と生徒会の二人は激しい口論の後に、何をとちくるったのかわからない、我らが生徒会長・姫宮 龍華様が唐突に「パンツを見せなさい」と言い放つ。そして、そんな生徒会長に対して、イケメンはこう答えた――断る。ですよねー!)

 大体、合ってる。

 生徒会長はもしやポンコツではないのだろうかという疑問をアヒルは胸に抱きつつ、様子を眺めていた。

「な、何故ッ! あなたがパンツを見せれば、エロのカリスマでは無いと証明できる筈! にも関わらず――やはり、あなたがエロのカリスマだったというわけね……伏見 聖ッ!」

「……ふぅ、やれやれ。では、こうしましょう。私があなたの仰るパンツではないことを証明する為に男子を呼びましょう」

「何故?」

「何故も何も私は女性にパンツを見せて喜ぶ性癖は持ち合わせていないのですよ。ふふふふふ」

 アヒルは絶対に「嘘だッ!」と思った。昨日、半裸で高笑いをあげながら走っていたじゃないか、と。けれど、口には出さない。何故なら、今の私は背景だから。そう心にぎゅっと釘をさし、沈黙を守り続ける。

「……確かに、私たちに直接見せるのは抵抗があるかも知れませんね」

 しかし、姫宮 龍華は納得が出来なかった。男手を呼ぶ、即ち――男子生徒を呼ぶのが納得できない。男子生徒。今年になって共学となり入学してきた未知なる異物。

 彼らの立ち位置。いや、地位は決して高くない。女の園で彼らは珍獣のような扱いを受け続けている。龍華自身も知っているし、気にはしていた。

 だが、どの勢力図に組み分けられているのか。把握は非常に難しい。例えば、現在居る伏見 聖は「サロン」のグループなのかは不明である。由緒正しき家系は当たり前のように属するグループであり、家柄家格共に申し分なし。

 しかし、彼は男である。サロンのお茶会に出席したという情報は未だない。

 ならば高校編入組みの生徒会側か、運動部、文化部。どのようなグループに属するのか。いや、そうだ。先日のことを思い出してみれば目の前の男は「新たな勢力」を名乗ったではないか……?

 龍華はそこまで思い出し、目の前の男の手がどこまで伸びているのか恐れた。

 平和ボケをしていたことは否めない。サロンとの争いも久しく起きていない。小規模な小競り合いがあった程度だ。

(男子の全てを味方にでもしているとでも言うの……?)

 いや、有り得ない。龍華はくびを振る。一人だけ、彼の派閥に属さない人間を知っている。初日に生徒会に挨拶をしにきて、生徒会に忠誠を誓わせた男子の一人を思い出し、彼を呼ぶことに決めた。

「大倉を呼びなさい」

「はっ!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 大倉 大仁。

 そこそこに大きな会社の令息にあたる。入学初日に姫宮 龍華にお目通りをし、生徒会の役に立ちたいと志願してきた男である。

 男嫌いな二ノ宮はともかく、龍華は今後できうるであろう男子の派閥の中に紛れ込ませるスパイにはもってこいだと考えていた。無論、自分に絶対の自信を持っている龍華は大倉のことをそこまで信用していなかったが。

 では、大倉はどうであろうか。

 大倉 大仁はメンクイである。絶世の美少女である姫宮 龍華にほれ込んだ。一目惚れだった。生徒手帳に短パン体操服姿の姫宮 龍華のプロマイド(非合法)を挟む程度には心酔していた。

 故に彼女にお呼びがかかった時、何としてでも役に立ちたいと思った。どうやら、何やら大きな事件が学内で起きているようだ。多分、昼のAVのことだろう。もしも、これを俺の手で解決すれば、そこまで想像し大倉は妄想を膨らませていく。国民的アニメ番組で言う擬音であるならば、ぽわんぽわんぽわん、ぽわわわわわぁんってところ。

【以下妄想】

『大倉くん……いえ、大仁くんて呼んでいいかしら?』

『そ、そんな恐れ多いですよ……』

『いえ、私があなたをそう呼びたいの……』

『光栄です……』

『あなたのおかげで、無事、この事件を解決することが出来たわ。でもね、一つだけ解決できていないことがあるの』

『……?』

『あなたを見ていると、この、そう。胸が痛いの……あなたが他の女子とお話をしている姿を見ていても、ちくちくと痛みが走るの……』

『会長……』

『龍華って呼んで』

『え?』

『龍華……それが、私の名前』

『龍華……さん』

『大仁……く……ん。んっ』

『な、何を』

『あ、あなたの顔を見ていると、どうしてもしたくなったの……こんな、はしたない女はいやかしら……?』

『俺は……一目見た時から、あなたが好きでした。龍華さん……いえ、龍華っ!』

『えっ……嘘……』

『俺は君が欲しい! 君が好きだッ!』

 この後、滅茶苦茶〇〇〇した。

【妄想終了】

「ぐふっ、ぐふふふふっ、ぐふふふふふっ」

 廊下を笑いながら歩く姿を見かけたお嬢様は気持ち悪さのあまり気分が悪くなった。この日から大倉の悪評が広まるのではあるが、自業自得である。


~~~~~~~~~~~~~~

 コンコン。ノックが室内に響く。

「入りなさい」

「はっ! 一年進学科 大倉 大仁、失礼いたしますッ!」

 アヒルは同じクラスの男子を見て、思った。

(うわぁ、比較対象がいると伏見くん、伏見さん? いや、伏見様のイケメンっぷりが輝くわぁ……)

 のっぺり日本人顔。中の下評価の大倉。短く切りそろえられた黒髪ににきび顔。パーツ自体は悪くはないものの、全体のバランスがよくない。アヒルが下した評価は『大分、妥協しなければ付き合えない』とのこと。何様であろうか、こいつは。

「ぬやっ!? き、貴様はッ!」

 大倉は聖を見た瞬間、驚きとまどう。聖の方は小首をかしげるだけ。

「忘れもせぬぞ、伏見 聖……我がライバルッ……」

 アヒルは突っ込んだ、おい、と。心の中で。

「……」

「学年の入試では負けたが、次のテストでは負けぬ! 顔は俺の方が若干、上ではあるが――体育テストでは俺の負けだ。二対一。今回は貴様の勝ちを俺は認めよう」

(おい……おいっ!)

 あまりのいちゃもんにぶっ飛ばしたくなるアヒル。小動物であり、小物なアヒルは同じ小物属性の大蔵にたいして強く出ることが出来る。割と最低な女ではある。

「ふふっ、そうですか。では、次もいい勝負をしましょう」

「あぁ!」

(こんな小物の戯言に付き合うなんて、伏見様、マジイケメン……っていうか、この人、普通にしてたら王子さまなのに、どうしてあんなことしちゃったのかなぁ、ストレスかなぁ。現代社会に蔓延る社会の闇なのかなぁ……)

「大倉、そこの男と馴れ合うのは辞めろ。貴様も生徒会に忠誠を誓った身ならば、な」

 祥子の鋭い言葉に震え上がる大倉。その姿にどこか親近感が湧いて、ほっこりするアヒル。

「は、はい! 勿論です! こんな男と仲良くなんて一切、致しません!」

 敬礼をしながら、告げる大倉にふんっと鼻を鳴らしながら祥子は黙り込む。

「大倉、ここへ呼んだのは他でもありません。伏見 聖。彼のパンツが何色なのかを調べなさい」

「……は?」

「……」

「え? えっ? はぁ?」

「大倉、聞こえなかったのかしら? それとも、もう一度、私に説明させる程度にはお前は無能なの?」

「えっ、でも、いや、パンツって……」

(ひぃぃぃっ、怖い……事情を知っているから大蔵のきょとんとする理由もわかるけどぉ! 空気を読んで! エア・リーディング! 黙って従えッ! っていうか、生徒会こわっ! さっきまでポンコツとか思ってごめんなさいっ! ひぃぃぃぃぃぃぃっ!)

 関係の無いアヒルが一番、怯えていた。そんな中、聖は柔和な微笑を浮かべているだけ。

「聞こえなかったのか、大倉ァッ!」

 祥子の声に涙目になる大蔵。

「ぱ、パンツを調べるのですね! わ、わかりました!」

「えぇ。では、伏見 聖くん。隣の部屋へ。まさか、検査を断るなんて致しませんよね?」

 先ほどのポンコツっぷりはどこへやら。威圧感たっぷりに脅しをかける龍華。

「……」

 そして、この日、初めて。初めて、聖が返事をしなかった。

「あら、どうしたの? 返事がないから心配してしまうわ?」

 鬼の首を獲ったとばかりに、にっこり。満面の笑みを浮かべる龍華。笑顔が恐ろしすぎるアヒルは唯、背景として震えていた。

「えぇ、勿論。かまいませんよ」

「そう、それは良かったわ」

 そして、大倉と聖が隣の部屋に入っていく。そして、その後ろ姿を見送った瞬間、姫宮 龍華は口からもれ出る笑いを堪えることは出来なかった。

「ふ、ふふふふ、うふふふふふっ! 勝ったわ! これは私の勝ちよ! 変態のくせによくも、まぁ、手こずらせてくれたもの!」

「お見事です、姫様」

「ふふっ、祥子、それよりもお手柄がいるでしょう」

「えぇ。自由ヶ丘様なくして、今回の事件は解決できなかったでしょう」

(わ、私の『知られざる英雄』が通用しないッ!? 背景と化さないっていうの!?)

 急に名前を呼ばれてびくりと肩を震わせる。

「い、いえいえ、私なんて何もしていませんよ……ほら、ちょっと思ったことを口に出しただけというか。解決したのは全て、生徒会長の姫宮様の手腕ですよぉ……」

「自由ヶ丘 あひるさん。いえ、名前で呼ばせてもらうわね。あひるさん、謙遜も時には嫌味になるわ。あなたには力がある――もし、よろしかったら委員会に入らない?」

「え?」

「今回の件。大きな問題が見えたわ。それは男という異物に対して、私たちはあまりにも知識が乏しい。だからこそ、今日のような凄惨な事件が起きたの。そこで、男女の知識が豊富な人間を中心に新たな生徒会下部組織を作るつもりよ」

「新たな生徒会下部組織……?」

「男子管理委員よ」

 アヒルは恐れた。名前からしてろくな予感しかしない、と。そして、私はまだ誰とも付き合ったこともないし、知識も豊富じゃないと。とんだ言いがかりである、と。

「うふふっ。何も思いつきで言っているわけじゃないわ。男子の入学が決まってから組織については幾つかの腹案が提案されていたの。けれども、必要性の有無が緊急では無かったが為に先延ばしになっていたのよ」

「男など下賎な存在を自由にさせておいてはなりませんからね」

「うわぁ……」

 二人の本気っぷりに若干、どんびくアヒル。

「主な活動は男子生徒管理ね。持物検査や寮内検査の特権にある程度は男子に対しての自由な命令権、罰則を与える裁量権が与えられるわ」

「自由な命令権……? 罰則を与える裁量権……」

 アヒルはボソリと呟き。想像する。擬音はおなじみにの『ぽわわわわーん』である。噴出しがあれば雲。トンボの周りは黒。

【以下、自由ヶ丘 あひるの妄想タイム】

『伏見くん、罰則を加えられたくなければ、言うことを聞く。判る?』

『くっ……私に何をさせようというのですかっ……』

『舐めなさい』

『……伏見家の令息たる私に、あなたの足を舐めろ……と』

『いやならいいけど』

『くッ……』

『ふふっ、いい子ね、聖くん……』

ピチャ……チュパッ……

『んっ、上手よ……変態の癖に』

『わ、私は変態では……』

『へぇ、あんな恰好してたくせに。それに、人の足を舐めながら大きくしてるくせに変態じゃないって言うんだぁ』

『ッ~~~~~』

『あはっ、顔を真っ赤にしちゃって。それにぃー』

『……』

『もっと、上手に舐めたらご褒美、あげるよ……?』

『ご……ほう、び?』

『そっ、とっても気持ちいいこと』

『そ、そんなの、私は、別に……』

 さすり。さすりさすり。

『くっ……』

『あれ? 軽く足で撫でただけなのに、とろけるような表情をして。どうかしたの、伏見くん?』

『くぅっ』

『ほら、したくない? キモチイイコト』

『気持ち……いいこと』

『ほら、もっとぺろぺろして』

『んっ、ぴちゅっ、ぴちゅっ、ちゅっ』

 この後、滅茶苦茶、舐めさせた。

【妄想終了】

「悪くないですね!」

 自由ヶ丘 アヒル。権力とかご褒美に弱い。あとイケメンにも弱い。

「そうでしょう。それでアヒルさん、どうかしら?」

「あー、いや、でもぉー」

 問われてアヒルは言葉を濁す。そして、想像を張り巡らせ始めた。

悪くない。さっきの超絶イケメンである伏見様――いや、伏見に命令できるなら、全然悪くない! と考えるあたり欲望に忠実である。しかしながら、それとは別にメンド臭さや自分に能力があるか、いざという時は助けてくれる後ろ盾はあるかなど考えてみれば即決するには至らない。むしろ、リスク管理から言えばアヒルは断る前提で考えはじめる。

 イケメンはいい。イケメンは正義だ。あんなイケメン見たことない! あんなイケメンを調教して彼氏として地元で紹介すればゆっこちゃん達に自慢できる。いけ好かなかったぶりっ子斉藤の悔しがる顔が安易に想像できる。

 けど、それとこれとは話が別だ。

 学園でそんなたち位置になればサロンの人達に目をつけられる。そこそこ要領のいい女で有名な私であっても、お嬢様との戦いになれば負けるのは必死。中流階級舐めんな。親に滅茶苦茶無理して金を出してもらった手前、退学なんて出来るわけがない。私は今後、お年玉無い宣言が発令されたのだ。

 さて、整理しよう。

 第一に考えなければならないのは退学にならないこと。大学は国公立を目指す。流石に睡蓮をエスカレータは厳しい。つまり、勉強の時間はある程度必要である。

 それでも高卒同時に就職は無しではない。睡蓮出身という肩書きは決して悪いものではない。その中でも特待生……いや、Dランクの雑魚ではあるが。それでも睡蓮特待生といえばかなりの箔がついている。

 それに結婚という観点から考えても睡蓮出身はかなりのプラスである。性的魅力は確かに身体的にいえば厳しい。身長は中学二年から伸び悩み、胸? なにそれ、脂肪でしょと言いきる程度の体型である。

 が、世の中には需要がある。ロリ枠。私はロリ枠なのだ、睡蓮出身のロリ枠。好物件。問題は太らないか否か、ただのチビデブ、いわゆるチデブになってしまわないかではあるが。家系的に太りにくい体質である。歴史が証明している。歴史って偉大。

 好きな人と恋愛をしたい。確かにそれはある。しかしながら、一生を添い遂げる相手を恋愛で選ぶかと聞かれれば答えはNOだ。結婚相手はATM、心の標語にしておこう。それに合コンとかでも睡蓮といえばきっと目の色を変えてくる。チヤホヤされたい。チヤホヤ大好き。結婚相手も睡蓮出身であれば困ることはきっとない。

 つまり、睡蓮を卒業できればある程度の人生は保障されている。そして、問題は男子管理委員なんてものに入れば間違いなく面倒が起きる。その中に学校生活をまともに送れなくなる可能性は存在している。

――この間、僅か二秒。

 自由ヶ丘アヒルは男子管理委員会に入った時のデメリットを洗い出す。そして、更に考える。デメリットを超えたメリットがあるか、否かを。

 伏見に命令できる権利。非常に魅力的である、が。ここで問題点が一つ。そんな命令を出来るわけがない。妄想でしかないという点だ。そう、あくまで妄想。バター犬『ふしみ』はあくまで妄想の産物。

しかしながら、伏見のような超絶イケメンと今後、関われることがあるか否か。まず無い。私が男子管理委員に入らなければきっと彼との接点は消えるであろう。それくらいは想像に容易い。

 一目惚れしたといっても過言ではないほどのイケメン。付き合えるのならば生涯、自慢レベル出来るほどのイケメン。変態という部分があっても尚、許せるレベルのイケメンなのだ。むしろ、五年後に黒歴史で枕に顔をうずめ「うあああああっ」と悶える姿を眺めながらホッペをつんつんして「NDK(ねぇどんな気持ち)」と問いかけてやりながら、いちゃいちゃしたいレベルのイケメンなのである。

 その上、金持ちであり、文武両道であるらしい。

 完璧じゃないか! と思う。アプローチをかけたい。粉をかけたい。むしろ、色々とかけられたい。かけさせあいっこしたい。

 そんなイケメンと接点が得られ、付き合える可能性が微レ存在する。

――この間、僅か三秒。

 自由ヶ丘 アヒルは僅か五秒でメリットとデメリットを洗い流す。そして、天秤は傾く。

「わかりました。役員の件、お引きうけします」

「本当、助かるわ。アヒルさん」

 自由ヶ丘 アヒル。男子管理委員に所属する腹を括る。もっと言えば大抵の問題は委員長に押し付ければいっかーとゲスイ発想の下、欲望には抗えずッ!

 しかし、アヒルの目論見は全て崩れ去る。書類を取り出し、名前をかくように言われて、さらさらと名前を書いた後。満面の笑みで頷く龍華。祥子も「何かお手伝いできることがあれば、この二ノ宮をお使いくださいませ」と実に頼りになる言葉を頂く。

「では、男子管理委員会・会長の自由ヶ丘 アヒルを承認っと」

 姫宮 龍華。生徒会長、姫宮家の龍華ちゃんの誰に対して言ったわけでもない、ただの確認の為に呟いた一言にアヒルは笑顔のまま固まった。そのまま、ソラミミカナーと逃避したくなったが、もし空耳じゃなかったら大変だなーと思い、尋ねる。

「あ、あの、姫宮様」

「うふふ、アヒルさん。同じ委員会なのだら、龍華とお呼びになって。生徒会と委員会は団結力がウリなの。お互いを下の名前で呼び合うことは暗黙の了解なのよ」

「そ、そーですかー。で、では龍華様」

「何かしら?」

「そ、その、わたくしめ下賎なる雌豚風情が恐れ多くも男子管理委員なる崇高なる目的の為に作られた組織の長だと聞こえたのですが、間違いですよね」

「いいえ」

「ですよねー。そうですよねー。私が委員長だなんて、一年のしかもDラン雑魚特待生が委員長が――はわぁっ!?」

 この女、のりのりである、と思わざるを得ないかのようなノリ突っ込み。しかしながら、アヒル本人はいたって真面目。

「い、委員長だなんて大任、無理、無理無理かたつむりですよっ!」

 意外に余裕がありそうな女である。しかしながら、アヒルの魂が口から半分飛び出る程度には焦っていた。完全に計算外の出来事。

「いえ、できるわ。アヒルさん。あなたには私達とは異なる何かがある。私と祥子は確かにあなたの可能性を感じたの」

「えぇ。アヒル様ならば、必ずや男子を撲滅できると信じております」

 あかん(白目)とアヒル。最早、退路は無い。生徒会長自身がここまで推して断るようなことをすれば人生はお先が真っ暗。

アヒルの脳裏に二匹のアヒル。一人は天使、一人は悪魔。脳内天使アヒルは「高校編入組Dラン雑魚生徒が生徒会に喧嘩売る? なにそれ、自殺でもするんですかー?」と微笑みを浮かべる。

 悪魔アヒルは「ここは承諾して、生徒会に後ろ盾になってもらいましょう。少なくとも最悪には程遠いです。そもそもが委員長に全てを押し付けるなんて甘い考えがいけないのですよ。そのような悪行を考えていた罰とでも思いましょう」と説法してきた。あくまの癖にっ……とアヒルは脳内の悪魔(自分)に文句をつけながら渋々と言った態度をおくびにも出さず。

「わかりました。謹んで大任をお受けいたします」

「そう、良かったわ……他のメンバーはこちらで集めてみるから」

「はい」

「正式に委員会の発足を通知するのは今週末になると思うわ。それまでにアヒルさんもティンと来る人材がいたらスカウトしてね」

「社長になればいいんですね。わかります」

「……へ?」

「すいません、緊張して間違えました」

「うふふ、おかしなアヒルさん」

「えっへへー」

 人なつっこい笑みを浮かべて失敗、失敗と頭をこづくアヒル。この女、実にあざとい。

「……それにしても遅いわね」

「えぇ、そうですね」

 そんな話を始めていると――ようやく、隣の部屋。生徒会室客間から二人が現れた。伏見 聖はいつもの余裕を浮かべ。大倉 大仁はまるでわけがわからないとばかりに疑問符ばかりを浮かべて。

「姫宮会長、終わりました」

「そう、ご苦労。では、大倉。彼のパンツは何色だったの?」

 アヒルは「再度、聞いても変な質問だなぁ」と事情をなんとなく察しているが口にすることなく事の成り行きを眺める。

「……言えません」

【悲報】自由ヶ丘 アヒル、生徒会室からまだ解放されない模様【既に三時間】
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