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昔、書いてた奴のまとめ 作者:無職童貞

異世界召還もの

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003-5

第五話 いせかいちぃと、そんなのない!

「……すー君、頼む、お願いだ」
 鼻息を荒くして、俺は軍服を着込んだ二歳年上に迫る。
「タケ……俺が頼むよ、本当に」
 すー君も鼻息を荒くしてこちらに顔をむける。
「ちょっと……あ、あたしも混ぜなさいよ」
 ナッチーも鼻息が荒い。仮にも美少女と呼んでも過言じゃない女が鼻息を荒くするってどういうこと、とも思わないが、俺は気にしない。
 ここは密林。演習四日目。俺達は――
「頼むっ! この二人を差し出すから見逃してくれっ!」
「てめぇ!」
「こらあっ!」
 魔族の軍隊に土下座して、お願いした。



「「「ふげっ」」」
 俺達三人は仲良く捕虜となって牢屋にぶちこまれた。
「タケ、てめぇ! いきなり俺を売ろうとするたぁ、いい度胸じゃねぇか!」
「あんた、マジで一片、死になさいよ! どういう性根をしたら仲間を売ろうと思うわけ!?」
 二人が縄で繋がれた手足を器用に使って、俺を足蹴にしてくる。狭い檻の中で俺は亀のように丸まってダメージを減らす。
「うるせぇっ! 俺ぁ、自分の命を守るためなら、何だってする! 何だってだ!」
 かっこよく言い放っても二人は怒りが収まらないのか、ふーふーと鼻息を荒くしてこちらを睨んでくる。
「……どうしよう」
 二人はもう疲れたのかぺたりと座り込み、これからを考える。
「はい! すー君!」
 俺は手をあげられないので心意気だけは手をあげるつもりで元気よく声をあげる。
「何だよ、どうせ、ろくでもないんだろ」
「魔族に投降して、忠誠を誓うのはどうでしょうか!」
「あんたのそのクズ発言がすらすらと出るのは本当に脱帽よね」
 ナッチーが呆れた目をしている。
「いや、考えてもみてくれよ、二人共。俺達の命の価値と王国滅亡の危機、どっちに天秤は傾くと思う?」
 俺は真面目な顔をして、二人に尋ねる。
「断然、俺達の命だな」
「仕方ないわね……皆の冥福を祈りましょう」
 よかった! 二人が同レベルのクズ野郎アンドクズ女で!
「というわけで、俺達は今から魔族っす!」
 見張りの吸血族のお兄さん。マントや貴族っぽい服装がとても似合ってるお兄さんに尋ねる。
「……えぇー」
 俺達の話を聞いていたのか滅茶苦茶、ドン引きしていた。


「……さて、貴様らを生かした理由を知りたいかえ?」
 真っ赤な真紅のドレスローブを着た女性。頭から角が見えていることから竜種か鬼族の魔人さんだろう。おっぱいさんと呼ぼう。なぜ、そう呼ぶのかはお察し。
「お姉さんが俺に惚れたから?」
「よし、炙れ」
「ぎゃー! 嘘です! 嘘っ! あれでしょ!? 王都の内情は国家機密を探るためでしょ? へへっ、あっしら三人は魔族として生きていく覚悟がありやすから、何でもペラペラと喋らせてもらいやすぜ……」
 俺の顔を見て、隣の捕虜二人が「うわぁ……」とドン引きしている。おい、お前らもさっきまで同じくらいクズなのに引くなよ。
「う、うむ? そ、そうなのかえ?」
「いえ、違います」
 おっぱいさんの隣には青い服に学芸員の帽子のようなものを被った眼鏡っ娘さんが否定。秘書子さんと仮名。残念ながら戦闘力(乳力)は無い。
「貴方たちが魔族領に侵入してきたので、我々が捕らえただけです」
「「「……」」」
 俺達は三人顔を見合わせる。
「おい! 誰だよ、魔族との戦争が始まったって言った奴!」
「お前だよ! クソっ! この馬鹿の妄言を信じた俺が馬鹿だった」
「と、とりあえず、言い訳があります! 言い訳しまーすっ!」
 すー君とナッチーが俺を足蹴に……もう、今日何度目だよ。ボコボコにされながら、俺は事の成り行きを見つめる。




「本当に、私の部下が迷惑をかけた……」
 教官が魔族と人間の境界線、密林の野営地で深々と頭をさげていた。まったく、この二人と来たらいつもお世話になっている教官に迷惑をかけるたぁ、ふてぇ野郎だ。
「いえ、気になさるな。リルラート殿の武名は我が魔国にも轟いている。ただ「ひゃっはー、モンスター狩りじゃあああああああ」と大声で密林を闊歩されると、その、困る……」
「すまない、本当にすまない」
「いや、その、うむ……」
 おっぱいさんは居たたまれない表情をしている。全く、相手にも見方にも迷惑をかけるなんて本当に常識知らずなパーティーメンバーがいて、困ります。
 ちなみに魔族も昔は「モンスター」と呼ばれていて、今でも人間国の一部は彼らをそう呼んでいる。盗賊達も「モンスター狩り」といって魔人の人々を奴隷狩りしているそうだ。俺達をそんな盗賊と間違えるなんて、まったくふてぇ奴らだぜ。
「黒目の者達……もしや、彼らが王国の持つ一騎当千の兵、異界兵かえ?」
 おっぱいさんは俺達の事が気になるのかちらちらと見てくる。あれは、俺に惚れたのかもわからんね。
「き、機密なので」
「そ、そうであろう、す、すまぬ。いつか、我も手合わせを願っているのでな、気になって……」
「か、勘違いしないで頂きたいのは異界からの人間は本当に力を持っている、アレらを基準と思ってもらっては、ほ、本当に困る」
「い、いやいや、我らは戦争を起こすつもりはない故、そこまで彼らを貶める」
 あぁん、これ? 舐められてませんか?
「おい、ちょっと、そこのおっぱい!」
「お、おっぱい!?」
 おっぱいさんは俺の方を見て、驚くような顔をする。
「そう、てめーだ、あんま俺達を舐めたこというんじゃねぇぞ! ここにおられるお二方は完全無敵の異界人様だ、図がたけぇんだよ!」
 俺はそそくさと二人を指す。
「こちらに居られる須賀健太郎様はな、それはもう、誰にも気づかれずに背後をとれる凄腕の暗殺術をお持ちだ! さらに、ここに居られるナッチー様は魔法を全ての属性使える魔術のスペシャリストだ!」
 魔人の軍勢にどよめきが走る。俺はさらに好機を逃さない。
「おうおうおうおう、あんたら、よくも俺達を豚箱なんざにつめてくれたなぁ、えぇ、おい! 俺はこう見えてもユニークスキル二つも持ってるんだぜ? あぁん?」
 リルラート教官が小声で「おい、やめろ……」と言った気がした。そんなことよりもスー君とナッチーを見る。俺の意をくんだのか。
「そうだぜー、魔族さんよぉ。どうお詫びくれんだよ!!」
「そうよそうよ! ふざけないでよ!」
 おっぱいさんは涙目になってガタガタと震え始めた。
「へへっ、別に俺はその二つの水袋でサービスしてもらうだけでいいんだぜ?」
「俺はそこの眼鏡っこと一晩、楽しませてもらえば文句ねぇよ……」
「とりあえず、若い男を二十人連れてきなさいよ!」
 俺達三人は「げへへへへへ」と笑いながら一歩、また一歩と近づく。
「やめろぉぉぉぉぉぉ、この馬鹿者共がああああああああああああああ!」
 光の速度で動いた教官の拳骨をいれられて、俺達三人は地に沈む。



 異界兵。それは異界召還された俺達の名前。
 王国が滅亡の危機に立たされた二年前の悪神戦役の際に活躍した百二十八名に贈られる称号の一つ。一人一人が一騎当千、万夫不当の力を持つといわれている。
 そういう意味では他国が現在、王国に攻め入らない……攻め入れない最たる理由の一つである。
 チートスキルと呼ばれるものが一人につき一つから二つほど与えられていている。無論、俺達も例外じゃない……筈だった。
 スー君も本来なら暗殺者として凄腕の実力を秘めたスキルを持っているし、ナッチーなど全属性適正などというチートらしいスキルを持っている。
 そして、俺なんか二十人もいないダブルスキルの担い手である。
 悪かったのは、そう、めぐり合わせ……

 ナッチーこと金堂七海は「理の開放」という唯一ユニークチートを持っている。
 これは如何なる魔術であっても使用が可能であるという魔術師ならば足を向けて眠れやしないほど凄いスキルなのである。

 が……! そんな彼女に襲い掛かったのは圧倒的な魔力不足。そして、知力不足。魔力と知力が足りないけれどもどんな魔法でも使える。
 この悲劇がもたらしたのは圧倒的な「威力不足」
 能力値が常人を百とするなら、ナッチーは二十くらいしか脳味噌が無い。流石は頭が空っぽの女である。
 その結果、圧倒的なアドバンテージのユニークチートは完全な宝の持ち腐れと化した。

 そして、須賀健太郎などもっとひどい。
 ユニークチートたる「見得不みえず隠不かくれず」という何者にも気づかれずに行動することが可能となる。
 そんな技を「ストーンハート」というスキルに合成してしまった。
 不親切なこの世界はスキル同士を合成することが可能であり、初めに覚えたスキル同士を組み合わせた結果、取り返しのつかない結果を引き起こす。

 故にスー君のストーンハートは亜種であり、ユニークスキルでもある。誰にも気づかれずに、その場に佇む……「路傍ノ石」というスキル。

 効果は身体が石のように固くなり、誰にも気づかれなくなる……無論、解除すれば気づかれる。そう完全に意味のないスキルと化した……行動不能状態時に相手に気づかれない。移動も出来ない、動けもしない。
 こうして、スー君は自分からエリートの道を外れたのであった。


 そんな俺のスキルは語るも涙の代物である。また、別の機会にしようか……


「「「本当にさーせんしたああああああああああああ」」」

 俺達は魔族の人たちに土下座させられた。教官が「こいつら好きにしていいですよ? もう、私は疲れました」とか言ったので、俺達はいさぎよく白旗をあげた――
これ百話近くストック書いてたはずなのに消えてた……なので、見つけたら再投稿します
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