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ある小説家になろうにおける効果的なタイトルの比較検証結果(参考情報)

作者: 検証してみた


 これは、2017/04/10〜2017/04/15の期間に、私が拙作を使って小説家になろうにおける効果的なタイトルを検証した結果です。

 小説家になろうにおいてタイトルは非常に重要と言われています。また一部では、文字数が長い小説の内容を説明するようなタイトルが効果的という意見があふれています。このような意見の真偽について参考になるデータを収集するために、本検証を行いました。その結果をここで皆さんにも公開したいと思います。

 この結果が、タイトルに悩む皆さんの一助になったらうれしいです。

 以下が検証結果になります。


-----------

▽本検証の概要

 小説家になろうで掲載する上で、多くの読者に読んで貰えるタイトルについて検証する。検証に当たってはA〜Dの4つのタイトル案を交互に掲載し、掲載時の日間総合順位の変動と第一話の閲覧ユニーク数を比較した。検証する小説は日間順位200〜300位くらいにいた拙作を用いた。本検証結果を参考にする上では、この検証小説のジャンルは「親子モノ+SFアクション」であり、小説家になろうではマイナージャンルであることに留意する必要がある。

 本検証から確定的な結論はもたらされなかったが、以下の事項について可能性を感じた。

  1)タイトルの長さは順位変動に関係ない。

  2)タイトルが同じでも順位変動は25くらいは普通にある。(200〜300位帯)

  3)長いタイトルの場合は、内容説明型(B案)が比較的良かった。


▽背景

 2017年4月15日時点で、小説家になろうのユーザーは、主にランキングページから自分の好みに合う小説を探していると思われる。PC版のランキングページには、各小説の「タイトル、あらすじ、タグ」が表示される。一方で、スマホ版の場合は「タイトル」のみが表示される仕様となっている。

 また、本検証時点で多くのユーザーはスマートフォンで視聴を行っている。今回の検証対象として「僕は、お父さんだから」のアクセス解析データを確認すると、2017年3月の読者ユーザーの内、62%がスマートフォンユーザーだった。よって、ランキングリストから62%のユーザーはタイトル情報のみで閲覧する小説を選び、タップ遷移した後に「あらすじ」を確認して読むかどうかを決定していると考えられる。

 ゆえに、読者の流入を増やすためにはタイトルが最も重要であると言える。


▽仮説

 小説家になろうにおけるタイトル論については諸説ある。

 もっとも有名なのが文字数が多く説明的なタイトルである。具体的には「トラック事故で死んだ俺が異世界に転成すれば、チート無双だった件について」などのタイトルがこれに該当する。各所で揶揄されがちなタイトルではあるが、小説家になろうのランキングでの情報表示がタイトルだけであることを考えると、作品の内容を説明するこのタイプのタイトルには一定の合理性がある。

 また、その亜流としてサブタイトルを用いるものがある。具体的には「高飛車庶民 〜もう一度やり直せるならジャンクフードを食べたいです〜」などである。一般的なタイトルに対して、サブタイトルで内容を補足するもので、これも読者に対してその作品の内容を説明する機能を持っている。

 最後に、ごく一般的なタイトルである。「巻き戻り人生」などがこれに該当する。小説家になろうでは受けないタイトルだとイメージが持たれているが、実際にはそんな事はない。現在の月間ランキングを確認すると、上位タイトルにはこのタイプは少なくない。しかし、日間や週間ランキングでは説明的なタイトルが多くいる印象である。


▽検証方法

 本検証では拙作「僕は、お父さんだから」にサブタイトルを追加した掲載と、本タイトルだけの掲載を交互に繰り返して、その期間の第1話の流入数とランキングの変動を観測する。


▽検証対象の小説

 拙作の「僕は、お父さんだから」を用いた。

 本作は検証期間中に日間総合ランキングで185〜300位を推移しているため、タイトルによる順位変動を確認しやすい。本作は「親子モノのSFアクション」という小説家になろうではマイナーな作品であることに留意する必要がある。

 また、本作は連載開始から二年間経過しており、ある程度の既存の読者さんが存在している。

 [検証対象の小説URL]http://ncode.syosetu.com/n0586cp/


▽検証タイトル

 A案)「僕は、お父さんだから」

 B案)「僕は、お父さんだから 〜迎えた養子が完璧すぎて、その子によく怒られるけれど〜」

 C案)「僕は、お父さんだから 〜ダメな僕と完璧な子どもの家族計画〜」

 D案)「僕は、お父さんだから 〜ウチの子は遺伝子組み換え〜」


 A案は基本形。B案は内容説明型サブタイトル。C案は中途半端型サブタイトル。D案は新奇性で目を引くサブタイトル。


▽検証期間と掲載タイトル

04/10 7:00 - 04/11 7:00  タイトル案B

04/11 7:00 - 04/12 7:00  タイトル案A

04/12 7:00 - 04/13 7:00  タイトル案C

04/13 7:00 - 04/14 7:00  タイトル案A

04/14 7:00 - 04/15 7:00  タイトル案D


 上記のように、A案だけ二回、他のタイトル案に挟むように掲載している。これは、タイトルの切り替え時のなんらかの影響をB〜D案の間で出来るだけ均一にしようという試みである(効果があるか分からないけど)。またタイトル案Aで掲載した二期間の指標値を比較することで、同じタイトルであっても生じてしまう変動を観測することが出来る。その変動以上に、タイトルが代わった時に変動があれば、タイトルによる影響によって変動した可能性が高くなるといえる。


▽その他条件や検証環境について

 期間中、 Twitterなどの広報は一切行わない。

 毎朝7:00に最新話を予約機能でアップする。(最新話更新時の流入増加要素をできるだけ均一にするため)

 検証期間の2017年4月10日から4月14日は月〜金曜日の平日である。休日を入れなかったのは、なるべく掲載曜日による影響を少なくするため。

 なろうでのランキング更新は、システム更新の時刻である4時~7時、11時~12時、18~19時である可能性が高い。このため7時でのタイトル切り替えで検証した。

 (参考)http://syosetu.com/bbstopic/top/topicid/3123/

 


▽比較指標

 ①第一話の流入数と第三話までの継続率

  そのタイトルが新しい読者を引き込み、その読者が物語りを読み続けてくれるか。

  ただし、流入数はその時の掲載順位に大きな影響を受けるため、これは参考値とする。  

 ②朝7時の順位からの日間総合順位の増減

  第一話の流入数は日間総合順位に大きく受ける。

  それに対し、順位変動は検証時のランキング位置の影響はある程度抑制されていると考えられる。

  本検証では、この日間総合順位を主な検証指標とする。


▽収集できた結果

 04/10 7:00 - 1話423人→2話347人(継続率82%) 日間順位217→185位(+13)

 04/11 7:00 - 1話286人→2話197人(継続率69%) 日間順位185→210位(-25)

 04/12 7:00 - 1話231人→2話192人(継続率83%) 日間順位210→213位(-3)

 04/13 7:00 - 1話167人→2話153人(継続率92%) 日間順位213→212位(+1)

 04/14 7:00 - 1話128人→2話119人(継続率93%) 日間順位212→圏外(300位以下)(-88以下)


▽考察

 総合的に最も良かった期間は04/10 7:00であり、このときのタイトルは「僕は、お父さんだから 〜迎えた養子が完璧すぎて、その子によく怒られるけれど〜」だった。逆に最も悪い期間は04/14 7:00であり、このときのタイトルは「僕は、お父さんだから 〜ウチの子は遺伝子組み換え〜」である。

 本検証では、同タイトル「僕は、お父さんだから」を04/11 7:00と04/13 7:00の2期間で掲載している。これは同じタイトルでの計測で指標値がどの程度ブレるか(分散するか)を確認するためである。同じタイトルでも日間順位の変動は-25から+1までの幅があることが分かった。つまり、タイトルが同じでもその他の要因で順位変動は25程度であれば起こる。逆に25以上の変動幅があった場合は、そのタイトルが要因になった可能性がある。

 順位変動をタイトルの有用性と仮説した場合、「僕は、お父さんだから 〜ウチの子は遺伝子組み換え〜」は88以上の順位下降になったため、このタイトルは有用ではない。

 また、本件検証中、本作は全体的に1話の流入読者数が減少傾向にある。これは、本作の新規読者が減少していることを表している可能性が高い。この要因が、個々のタイトルにあるのか、タイトルを連日変更したことにあるのか、それとも別の要因かは分からない。


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 検証結果としては上記のようになりました。

 結論として断定できることはほとんどありませんね。。。

 ただ、以下の三点については可能性を予感しました。(検証量不十分ですが)


  1)タイトルの長さは順位変動に関係ない。

  2)タイトルが同じでも順位変動は25くらいは普通にある。(200〜300位帯)

  3)長いタイトルの場合は、内容説明型(B案)が比較的良かった。


 本作はすでに既存の読者さんが存在していて、かつ、なろうではマイナーなジャンルです。(親子モノ駆け+SFアクション)

 それを考慮すると、かなり特殊な検証環境であると言えます。

 メジャージャンルでは、上記の検証結果が参考程度にしかならないでしょう。


 私はこの検証結果から最終的に『僕は、お父さんだから』(A案)にしました。理由はタイトルとしては一番スッキリして好きだったからです。多くの読者さんがこのタイトルが良いと言って頂いたことも大きいです。(わざわざ検証した意味なかったですね)


 それでは、これで検証報告を終えます。

 この検証結果が、皆さんのタイトルの参考になることを願っています。


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― 新着の感想 ―
[一言] 凄いですね。 いや、書いてる小説の内容から豊富な経済及び政治の知識を持っているとは思っていましたが、ここまでのことをするとは思っていませんでした。 僕はお父さんだからの方も頑張ってくださ…
[一言] 初めまして。 私もタイトルのこと気になりました。仮説の部分について、自分も殆ど変らない印象を持っています(小説家になろうだけではなく、ラノベ全般に対してです)。 タイトルがあらすじはやっぱり…
[良い点] やはりエッセイにして残すと色々学べる所が多いと思いました。 実験のようで面白かったです。 [一言] 私も「僕は、お父さんだから」がシンプルで好きです。   それに続く文が 1「〜迎えた養子…
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