生徒会のお仕事 act1-6
「――とまあ、大まかな説明はこんなところかな」
一時間弱の生徒会の説明を聞き終え、葵は軽く息を吐く。
時刻はすでに午後五時をまわっている。
「今日はこの辺にしておこうか。本格的な説明は明日からということにしよう」
涼はルーフを閉じ、メンバーを見渡す。
「そういえば、まだメンバー同士の自己紹介がまだだったね。明日から生徒会として一緒にやっていくわけだから、自己紹介ぐらいしておかないとね。じゃあまずは……」
「はい、はーい!」
「ん、じゃあ小宮さんからお願いしようかな」
「はーい!」
元気に手をあげたのは、先が二股に分かれた帽子をかぶった小さな女の子だ。
「小宮すぐる(こみやすぐる)、魔法研究科初等部四年生の九歳です! 好きな食べ物はショートケーキで、嫌いなのは唐辛子。趣味はお散歩で、特技は魔法陣を書くことです! 書記を任されてドキドキだけど、精一杯頑張ります! よろしくです!」
ぺこり、と可愛くお辞儀をしてすぐるは自己紹介を終える。
「うん、実に自己紹介らしい自己紹介だ。じゃあ次は隣の大河原さん、いってみようか」
「はい」
すぐるの隣に座っていた少女がゆっくりと立ち上がる。すらりとした高身長に、抜群のスタイル。かなりの美少女だ。
「大河原美咲といいます。ACL(地球外生命体対応科)の高等部三年生です。好きな物は和菓子全般です。嫌いなものは……特にないかしら。趣味特技は音楽関連ですね。私で会計が務まるか不安だけど、どうかよろしくお願いしますね」
聖女のような笑みを浮かべ、美咲は自己紹介を終えた。
「大河原さんはこの中では一番の年長者みたいだから、色々とお願いしますね」
「はい」
「さて、次は日向さんかな」
「は、はい」
「日向葵、OGC(オーバーテクノロジー研究学科)の中等部四年生です。好きな食べ物は果物とかで、嫌いなのはねばねばした物です。えーと、趣味は読書で、特技は……うー、特にないです……。副会長っていう、なんだか大変そうな役職だけど、頑張っていこうと思います。よろしくお願いします」
人見知りな葵にとっては自己紹介も辛いものだったが、なんとか終えることができた。残るは生徒会長だけだ。
(どんな人なんだろう。怖い人じゃないといいな……)
涼に促され、残る生徒会長が立ち上がる。
「芝原宗司。SCT(特殊戦闘員養成科)高等部一年。好き嫌い特になし、趣味特技特になしだ」
小さな眼鏡をかけた少年はそれだけ言って席に座る。
緊張の解けかけた空気が、一変して重くなる。
(怖い人……なのかな)
宗司と名乗った生徒会長は腕を組みじっと黙している。
(私、この人とやっていけるのかな)
生徒会は三年間の活動を行う。つまり、三年間はこのメンバーでやっていかなければならない。それがどんなに相性の悪い間柄であってもだ。
「うーん、なるほど」
涼が口を開いた。
「どうやら芝原君はツンデレのようだね」
「誰がツンデレだ! 誰が!」
宗司が鋭い突っ込みを放つ。
一瞬、さっきとは違う意味で場が静まる。
「……あ」
宗司は周りの視線に気づき、再び席に着く。
「とにかく、俺はツンデレとかじゃない」
「わー! これが本物のツンデレなんだねっ!」
「私初めて見ました。感動です!」
「だから違うと言ってるだろーがっ!」
すぐると美咲がからかい、宗司はそれにも突っ込む。
涼の言うように、ツンデレであり、あるいはいじられキャラなのかもしれない。
三人の愉快なやり取りに、葵は思わずクスリと笑みをこぼす。
(この人となら、やっていけるかもしれない)
これからの生徒会。
なんだか楽しくなりそうな予感がする葵だった。
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