生徒会のお仕事 act1-3
無機質な廊下を葵と白髪の少女は歩いて行く。第九ブロックは一般生徒はもちろん、教師ですら立ち入りを禁止しているため、人の気配は皆無だ。
気まずい雰囲気に耐えられず、葵は少女に話しかけた。
「えと、もしかしてあなたも生徒会の人?」
「いいえ」
少女は葵の方を見ることもなく、返事を返す。
「じゃあどうしてこのブロックに?」
この第九ブロックには生徒会関係者か極一部の特別な関係者しか入室できないようになっている。少女が生徒会の関係者でないのなら――。
「わたしは特務科に所属してるから」
「と、特務科?」
葵は思わず立ち止まってしまう。
総合特務科、通称特務科。あらゆる意味で特別な存在の生徒だけが所属する科だ。そこに所属しているということはすなわち、少女はこの学園における最高幹部の一人ということである。
少女が扉の前で立ち止まり、タッチパネルを操作する。
その横顔は幼いながらも、どこか運命を達観したような強さがうかがえる。
「これから辛いこともあるかもしれないけど」
やがて扉が開く。少女は絶句して立ち止まったままの葵へ視線だけを向ける。
「あなたには期待している。がんばって、葵さん」
そう言って扉の向こうへと消えた。
期待している。
落ちこぼれの烙印を押された葵に向けられた言葉。それは何を意味しているのか。
今の葵には、まだその本当の意味はわからなかった。
再びルーフからアラーム音が鳴り響く。
「……完全に遅刻しちゃった」
はぁー、と一つ溜息をつき、葵は走り出した。
これから葵のすべてを変えることになる生徒会室へと向かって。
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