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正義の学園
作:枕源氏



妖霊万来 「黒蛇」その十一


 白い蛇は幽介と瑠璃へおじぎをするようなしぐさをし、そのまま森の中へと帰って行った。

 やいこはそれを見届けると、幽介と瑠璃の方へと向きなおり、やはりおじぎをした。

「ありがとうございました。この近辺の霊的磁場も、元の強さに戻ったようです」

 神社を覆うように張りつめていた霊気は薄まり、いつもどおりの、ほんの少しだけ威厳を感じさせるような強さへと落ち着いたようだ。

「ま、おれは大したことはしてないんだけどな。それより、携帯の電話番号を……」

 瑠璃が渾身の力をこめて幽介のつま先を踏む。うずくまる幽介。

「最後のそれがいつも余計ですー。それより、あの蛇が原因なのはわかりましたけど、なんであんなに黒くでっかくなったんですかー?」
「それは私も気になります。わたしが前にあの蛇を見た時は、もっと小さかったはずです」

 まだ痛みに冷や汗をかきながらも、幽介は立ち上がる。

「あー、それはわかんねぇな。なんか『黒いなにか』が取りついてたみたいだけど」

 三人が首をかしげていると、式神・颯が何かをくわえて幽介の肩へとまった。

『原因はこれだと思われる』

 颯はそう言うと、くわえていたものをぽいっと投げる。

 それは、黒い塊だった。毛玉のようにふわふわとしたみかけだが、その色は墨のようにまっ黒だ。

「颯、これは?」
『黒き蛇が白き蛇に戻った際、黒き妖気が一点に集まり、それになったようだ』
「じゃあ、これがあの蛇に取りついてたんですねー」
「でも、一体なんでしょう? 妖怪の類でしょうか?」

 黒い塊はつついてみても何の反応もない。だが、わずかに霊力が感じられるので、ただの塊ではないようだ。

「とりあえず、これはゆうくんが持って帰って調べてください」
「なんでおれが」
「暇なんですよねー?」
「暇で暇で忙しいんだ」
「私は家の用事があるんですー。だからゆうくんが持って帰って報告とかしないといけないんですー」
「いやだ」
「直球で断ってもだめですー」

 二人がぐだぐだと言い合っていると、式神の太郎がとことこと近づき、その黒い塊をくわえた。

『幽介。この塊、持ち帰ろう』
「太郎まで言うか……」
『この塊、妙に気になる。なに、苦労はしても損はしないさ。おそらくな』
「あー、わかったよ。持ってかえりゃいいんだろ」

 幽介は口論をあきらめ、黒い塊を札でくるみ、懐に入れる。

「さーて、とりあえずは一件落着だ。お茶菓子を食うぐらいの時間はあるんだろ、るり?」
「そうですねー。それぐらいはありますね」
「ふふ。では、お茶にしましょう。父が隠してある、いいお菓子があるんですよ」

 三人は和やかにその場を後にしたのだった。












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