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次の物語への糸口
 アルビオンにある才吉の屋敷にやって来た翌日、才人は才吉の領地見回りに付いていく事になった。屋敷にいてもあまりやることはないし、アルビオン大陸を直に歩いた事もなかったからだ。

 ちなみに、もはやあたりまえのこととなっているが、ご主人であるルイズも2人に付いて行く。

 一応領民へ威厳を示す意味から、才吉と才人は義勇軍の軍装に身を包み、そして3人とも爵位を示すマントも羽織っていく。才吉はウェールズより下賜された上質な公爵のマントを、才人とルイズもそれよりは劣るがそれぞれ男爵とシュバリエを示すマントを羽織っている。

「2人とも準備は出来たね?」

「「はい。」」

「それじゃあ出発しよう。」

 才吉を先頭にして馬に乗り込み、使用人たちに見送られて3人は屋敷を出発した。ルイズは公爵のお供という事で、多少なりと緊張しているようだった。また、才人と才吉はいつもどおりにしていたが、万が一に備えてそれぞれ拳銃と剣(才人の場合はデルフ)を持ち、警戒していく。この時期、敗存兵が野盗化しているというのがその理由だった。

 しかし、そんな野盗連中に遭遇する事もなく、才吉らは領地の中の村を1つずつ回っていく。行く先々で彼らは領民に迎えられたが、才吉や才人の謙虚な態度に彼らは大いに感服していた。

 そしてある村で食事ついでに小休止を取っていた時、才人は昨日の夜才吉と話し合ったことを思い出していた。




 あの時、地図を見せられ、ハルケギニアがヨーロッパに似ている点を言い当てた時、才吉は深く頷いた。

「その通りだ。それにな、実は繋がっている所は何も地形だけじゃない。人物や都市、軍艦の名前に共通点がある。」

 それは実際才人も気付いている事だった。トリステインの隣のゲルマニアなど独逸その物だし、教師のコルベールや謎の女シェフィールドは地球の軍艦や人物の名として確かに存在していた。都市の名も古いヨーロッパのものだった。

「それでな、地球にいる才蔵の友人の物理学者に連絡してみたんだが、結論としてこの星は別の地球ということらしい。」

「はあ!?」

 さすがにその言葉には才人も驚いた。

「けど曾爺ちゃん、月が2つあって、魔法があって、しかも竜みたいな見たこともない生物も沢山居るんだぜ。いくらなんでも地球とは思えないけどな。」

 有り得ないという表情をする才人に対して、才吉は冷静に言う。

「才人、月がどういう風に誕生したか知っているか?」

 才人は中学生のころに理科の授業でみたビデオの内容を思い出す。

「確か、原始の地球に小惑星がぶつかって、その小惑星と地球の削がれた部分が月になったんじゃなかったっけ?」

「その通りだ。しかし、その時何らかのはずみで月が2つに分裂したという可能性は無きにしもあらずだとは思わないか?」

 確かに言われてみればありえなくもなさそうである。

「月が2つになったことから、ワシらの地球とは少しばかり進化の過程に異常をきたしてしまった。そのために魔法が存在し、生物の進化も違うと考えればそれなりに筋が通る仮説にはなるぞ。」

「確かに、そう言われると信じたくなるような・・・」

「まああくまで仮説だからな。この世界じゃどうも歴史学や考古学の分野もあまり進んでいないらしいから、そういう研究はほとんどなされていないらしい。だから答えが出るまでには後数百年はかかるだろうさ。」

 そう言って、才吉は笑った。

「で、それを俺に教えてどうするのさ?」

「ああ、そうだった。それでだ。もしここハルケギニアが別次元の地球としたなら平行世界、つまりはパラレルワールドになるわけだ。」

「パラレルワールドって映画とかによく出てくるあれだろ?けど、普通は平行世界同士での行き来は出来ないんじゃなかったっけ?」

「まあ、それが通説だな。ただ気象現象の一致や、爆発とか大きなエネルギーに巻き込まれてこの世界に流れ着いた者が多い事を考えると、そこに何かしら一定の法則があるのかもしれん。」

 流石にそれは詳しく調査せねばわからないだろう。

「ところで曾爺ちゃん。」

「なんだ?」

「どうしてこっちの世界に流れ着いている人や者って昔の物ばかりなんだろう?過去からこれるなら、未来からも何か流れ着くことがあったっておかしくないんじゃ?」

「うーん・・・俺もさすがにそれはわからん。まあたとえジェット機がやってきたとしても高速すぎて使い道がないし、それに着陸する場所もないからな。」

 結局、それについては才吉と言えどよくわからないらしい。

「まあ、この話はこれくらいにしておこう。ああ、それともう1つあった。」

「何?」

「いや・・・待てよ、これはルイズさんと一緒の時に話したほうがいいな。」

 才吉は言うのをやめた。

「何だよ、途中まで言っておいてやめるなんて。」

「すまんすまん、まあ明日には必ず言うよ。」

 そう言って才吉はそこで会話を打ち切った。




「なあ曾爺ちゃん?昨日ルイズと一緒の時に言うって言ってた事って一体なんなのさ?」

 才人は才吉に聞いてみた。

「え!?私と一緒ってどういうことですか?」

 ルイズがいきなり自分の名前を出されたために、驚きの表情をする。

「ああ、今なら丁度いいな。」

 才吉は周りをキョロキョロ見回して、聞き耳を立てている人間が居ないか確認すると、2人にささやくように言った。

「実はだ・・・ウェールズ国王とアンリエッタ女王が結婚する事を正式に決めたらしい。」

「「ええ!!」」

 2人とも真面目に驚いた。少し離れた場所にいた村人が振り向いたぐらいだった。

「声が大きい!これはまだ内密のことだ、他言無用だからな。」

「「は、はい。」」

 しかし、2人とも本当にビックリである。確かに2人の仲は知っていたが、こうも電撃的な結婚を行なうなんて。

「けど、それじゃあどちらかの王位が空白になりますよね?それってまずいんじゃないですか?」

「ああ、それなら大丈夫、一応子供が出来たら空白になっている王位に就けるらしい。それとそれまでの間は傍系から摂政(代王)を立てるらしいから。だが、重要なのはここからだな。実は・・・・・・・・・・・だ。」

「「ええ!!」」

 2人が先ほどよりも大きな声を上げる。才吉の言った内容はそれほどまでにインパクトのあることだったのだ。

 才吉が一体この時伝えた衝撃の事実とは?また1ヵ月後に行なわれる観閲式はどうなるのか?そしてこの領地見回りの間に一体何が起きるのか?

 色々語る事はあるが、一端ここでこの物語は終わりとなる。次なる物語が一体どのような物となるのか?それを知る者はいない。
 第二部完結です。ここまで読んでいただいた読者の皆様、本当にありがとうございました。第3部も近々投稿予定ですのでおまちください。
 第3部は観閲式のシーンから始まりますが、もちろん原作では超有名な少女や、あの無能王も登場予定です。また、自分しか知らないような他作品のキャラも出ますのでよろしくお願いします。
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