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蒼き鋼の鳥 中
 アメリカ人と自称する男、グルー大尉は才人の言葉を聞いても表情一つ変えなかった。

「なんでそれを知っているんだ?・・・まあこの辺りを治めている領主にはそう説明してきたからな、多分そこから漏れたんだろう。それで、君はそれを調べてどうする気なんだ?」

「はい。実は・・・」

 才人は彼に、今回才吉に頼まれて地球から漂流してきた人や物を探していることを告げた。

「ほう。で、見つけたら使う気かね?あのゼロのように?」

「い!?」

 その質問に才人はどう答えていいものか困った。アルビオンとの戦争が始まることを考えれば、地球製の兵器、または兵器じゃなくても物品は貴重である。実際のところ欲しい。しかし、かつて佐々木少尉がゼロ戦を『龍の羽衣』と呼称して大切にしていたように、彼も『蒼き鋼の鳥』と呼ぶ物を大切にしているかもしれない。

「ええ、なんと答えればよいのか・・・」

 才人が答えに窮していると、グルーも才人の気持ちを察したらしい。

「まあ良いよ。どうせもう我々には使いようが無い物だ。そっちで責任を持って運んで、使ってくれるなら譲っても良いよ。」

 グルーの言葉で、才人の表情は明るくなる。

「ありがとうございます。」

 すると、ルイズが声をかける。

「才人、実物も見てないのに貰う気?」

「あ!」

 才人のせっかちに、ルイズだけでなくグルーも笑った。

「来たまえ、隠してある場所まで案内しよう。」

 そして2人はグルーに案内されて一端村から出て獣道とも思えるような道を歩いていった。グルーは歩きなれているようで苦も無く歩いていたが、才人とルイズは時折こけたり躓いたりと、悪戦苦闘しながら進んだ。

「しかし不思議だな。」

 歩いている途中でグルーが才人に向かって言った。

「何がですか?」

「君と俺が話せることだよ。俺には君が英語を喋っているようにしか聞こえない。というよりも、この世界で会った全ての人間と何故か喋る事が出来る。」

 確かにそうだ。才人はこちらの世界で使われている文字は読めないが、言葉は来た時からわかる。さらに、以前来た佐々木少尉やロケットランチャーを持ちこんだ兵士もこちらの世界で会話していたようである。

 そして、本来アメリカ人で英語を喋っている筈のグルーの言葉も、才人には日本語で話しているようにしか聞こえず、しっかりわかる。

「確かにそうですね。けどなんでこうなるかは全く予想がつきませんよ。」

「まあ俺みたいな人間の考えが及ばないことなんだろうな。さ、着いたぞ。」

 村を出ておよそ5分。話している内に目的の場所に着いていた。そこは森の中に建てられた大きな掘建て小屋だった。造りは粗末だが、かなり大きな物だった。

 グルーはその小屋の前にある扉を開けて入り、2人を案内した。中は灯りが無いために真っ暗であった。もちろん、電気などは無いから、彼は壁につけられているランプに火をつけた。

 その光に照らされた物体に、才人は息を飲んだ。

「こいつは・・・」

 そこには3機の飛行機が置かれていた。いずれも第2次大戦中の機体だ。アメリカ海軍特有の青い塗料で塗装され、胴体には白い星のマークが鮮やかに書かれている。翼を根元の部分で折り畳み、でっぷり太った胴体と、風防後部の銃塔が特徴的である。

「TBFアベンジャー・・・アメリカ海軍の雷撃機じゃねえか。」

 TBFアベンジャー。復讐者の名の通り、太平洋戦争後期に活躍したアメリカの雷撃機だ。性能的には平凡だったが、頑丈な機体で扱いやすく、戦艦「大和」や「武蔵」といった日本の艦船を数多く屠った。

「その通りだ。これは我々があの日、バミューダ海域での訓練飛行中にここへ一緒に飛ばされて来た物だ。」

 才人はその言葉を聞いて、思い当たる事件があった。たまにテレビで取り上げられる、バミューダトライアングルの謎で良く紹介される飛行機が行方不明になった事件だ。

「1946年、バミューダ海域・・・もしかして、これエアグループ9の機体ですか?」

 すると、今度はグルーが驚いた。

「その通りだ。よく知っているね。そして私がその隊長だった。」

「そうだったんですか。それにしても驚いたな、こんな所でお目にかかれるなんて。これ飛ぶんですか?」

「ああ、燃料が無い以外は32年前のままだ。こっちに着いた時は5機あったが、予算の都合で3機しか固定化の魔法を掛けてもらえなくてね。仕方ないから2機は解体して部品取りにしたよ。」

 才人は色めきたった。これが飛ばせられれば、一気に戦力倍増となる。しかも、雷撃機であるから戦闘機であるゼロ戦と違って、重い爆弾を抱える事も可能となる。翼の下に吊り下げられるロケットの数も多く出来る。

 一方、ルイズはというと、一応ゼロ戦という飛行機が空を飛ぶ機械である事はわかっていて、才人の反応から察してこれもその同類のような物だろうということはわかった。しかし、太った胴体に翼を折り畳んでいるためか、どうしてもゼロ戦と同じ飛行機という機械であると思えなかった。

「ねえ、才人。これ本当に飛ぶの?」

 疑り深い目で見てくるルイズに対し、才人は自信満々で言う。

「もちろんさ。まあゼロ戦のように龍との格闘戦には使えないけど、偵察や爆撃に使うなら充分すぎるほどだぜ。」

「ふーん・・・」

 ルイズは尚も疑り深い目を解かなかった。

「しかし燃料が無いぞ。ここに飛んでくるまでに使い切ったからな。」

 グルーが冷たく言い放つが、才人が落胆するはずもなかった。

「それは大丈夫です。俺の曾爺ちゃんがこっちの世界の人と協力してトリスタニアにガソリンの精製工場を作りましたから。時間は掛かりますけど、なんとかここまで持ってくることは可能でしょう。」

 すると、再びグルーが仰天する。

「なんだって!こっちの世界でガソリンの精製に・・・ううむ。そんなことを成功させた人間がいるなんて。それにしても、こちらの世界、ハルケギニアには随分と地球から人間が流れ着いているようだな。」

「ええ、しかも何故か武器と一緒にというケースが多いんですよ。ところで、あなたはどのようにこちらの世界に?」

 すると、グルーは自分の身に起きた体験を語り始めた。
 御意見・御感想・要請等お待ちしています。
 なお、作者としては今後次のような兵器等を出そうと考えています。

 呂501、巡洋艦「畝傍」、四式中戦車、紫電改、フェアリー・ソードフィッシュ他

 この他にも出して欲しい兵器や物がありましたら、評価欄、ならびに作者ページのメールでお報せ下さい。


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