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掌編小説集8 (351話~400話)

最新型のロケット

作者: 蹴沢缶九郎

誰もが見惚れる程のデザインをした最新型の宇宙探索ロケットが完成した。外観の銀色をした流線型には、一切の無駄がなくスマートであり、優雅な雰囲気さえ漂っている。

勿論見た目だけでなく、乗組員の健康面を管理するメディカルマシン、最新の推進エンジン、もしもの時の破壊ミサイル、様々な観測装置等、搭載された機能や設備も一流であった。

搭乗する隊員達も厳しい試験をクリアした精鋭で、隊員達はそんな最新のロケットに搭乗出来る事を誇りに感じていた。


打ち上げの日、これからロケットに乗り込もうとする隊員達を前に、宇宙探索作戦の総責任者が言った。


「君達は重大な宇宙探索の任務を帯びた選ばれし者達だ。必ずや素晴らしい成果をもたらしてくれると信じているぞ」


探索隊の隊長は胸を張ってそれに答える。


「お任せください。きっとご期待に応えてみせます」


そうして、探索隊を乗せた最新型のロケットは、力強くも美しく、地球を飛び立っていった。

地球を旅立ち数時間、一人の隊員が首を傾げ隊長に報告した。


「隊長、私の勘違いなら良いのですが…」


「どうした?」


「地球を出発して三時間程が経過しますが、太陽の大きさが変わっていない気がするのです」


優秀である隊員のまさかの報告に、隊長は思わず声を荒げた。


「そんなバカな事があるわけないだろ!! そろそろ太陽系を脱しようというのだぞ!!」


しかし、ロケットの窓から宇宙空間を見て、地球を出た時と変わらぬ大きさの太陽を認め、隊員の報告が嘘でない事がわかる。念の為、隊長は隊員達に計器類の確認を命じるが、ロケットは最新の技術が集約されており、当たり前に故障の箇所など見つかるはずもなかった。ロケットは順調に、搭載した最新の推進エンジンで真っ暗な宇宙空間を美しく進んでいた。


「太陽の大きさが変わらないとは、これは一体どういう事だ」


茫然とする隊長を余所(よそ)に、隊員の一人が誰にも聞こえない程の声で呟いた。


「まるで、このロケットの美しさに見惚れた太陽が後を付いてきているようだ…」

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