第3話 図書塔へ行こう!!
翌朝、朝食を済ませた後ジールとリサは、街に出かけた。
「今日は市場にはいかないのだろ? どこに行くのだ?」
彼に尋ねるリサは昨日買った服を完璧に着こなしていた。
白をベースにした服なので淡い蒼色の髪と良くあっている。
「今日は、魔道図書搭だな。調べたい事とかあるからな」
目に少しかかっていた髪をどかしながら、彼は言葉を続ける。
「図書塔ってのは…説明しなくてもわかるだろうが本を読んだり貸し出したりするところだ そして、魔道って二文字が頭につくからには魔法(魔術)について詳しい本や文献があるとこ ろなんだけどな」
話しながらリサのやわらかい髪をいじりる。
(触り心地が、かなり気持ちいいな)
リサはジールに髪をいじられて擽ったそうしながらも。
「そうか、私は行ったことが無いので楽しみだ」
と、笑顔で言った。
リサと歩くこと数分、立派な搭の前につく。
「ついたぞ」
「デカいな…」
塔を見上げながらリサは感嘆の声を漏らしている。
それもそうだろう。何しろこの図書搭は、今いる大陸で三番目に大きな図書搭なのだ。
外観は赤茶色レンガの落ち着いた感じだが初見なら13階もある高さに圧倒的される。
そして、その隣にはこれまた大きな、『魔道・武道総合鍛錬場』
随分と堅苦しい名前だ…まあ、簡単に言えば個室で魔導や武術の練習や模擬戦が出来ると言う場所だ。こちらはツルツルとしていそうな白い岩を素材として作られている。
「ジール、どうした? 早く入るぞ」
「はいはい」
急かすリサに押されてそのまま中に入る。
内装は壁一面が本、本、本。
さらに普通に本棚が所々に置かれている。そのすべてが13階の天井まである。
一生、本を読んで暮らせそうだな…
一面本の光景に唖然としているリサを一時的に放っておいて、案内所で目当ての本の名前を告げる。
「『始まりの魔道・白の書、音の終わり』って本在ります?」
俺を見て、訝しげに眉を寄せる女性。彼女の手元に一冊の本が一瞬で現れる。
「この本をアナタが?」
その本は白表紙に金の糸で文字が丁寧に書かれている。
「先輩が読むんですよ」
愛想笑いを浮かべながら適当に言っておく。
女性は怪訝な顔をしながらも
「この本は貸し出しも、書き写しも禁止ですからね。では、どうぞ」
本を渡してくれた。
歩きながら思考の中に意識が沈む。
女性が俺にした対応には訳がある、彼女はこの本で学ぶような実力が俺に無いと思ったのだろう。俺の魔力は意識して抑えてるし実力があるようには感じられない。
どれくらい魔力を抑えているかと言うと、始めたて初心者魔道師ぐらいかな。
だから、「アナタみたいな人が本当にこんな超上級者が読む魔導書を?」と、でも彼女は思っているのだろう。
それも、いつもの事。
今の人のはまだいい方だったな、悪いときは魔法をやるのを諦めろ。
と脅されたときもあるしな。
思い出して苦笑しながら本を片手に空いていた席に座る。
座り心地の良い椅子は黙読するのにもってこいだ。
5ページほど読んだところで前をチラリと見る。そこにはいつの間にかリサが居た。
俺の方を結構見ているが、これもいつもの事なので無視。
黙々と本を読み進める。そして1ページ1ページを速読で直ぐに読み終わらせた。
もう行こうかと思って、本を閉て、リサの方を見ると、にやにやした2人組の男が近寄ってきたのが視界に入った。 そいつらはリサの後ろに行くと俺を指差しながら
「なあ、こんな地味なヤツとじゃ無くて俺らと一緒に遊ばないか」
ニヤニヤした笑みを崩さずにそのままリサの肩に手をかける野郎2人。
1人はチャラチャラした感じの茶髪の男、腰には剣が一本おさめられている。2人目はいかにも頭がいいみたいな感じにメガネをかけて杖を持った男。
はあぁ〜また、ナンパかよ…つか、未だにこんなナンパする奴いたんだ…
おもわず溜め息がもれる。
幸せが逃げるな…気をつけよ。
話が逸れたな。
まあ、リサはかなりの確率でナンパされやすい。
そりゃ美人だから当然と言えば当然か… だけど面倒だな。
このナンパ野郎達をどう諦めさせるかな…
「触るな、クズが」
ぼ〜と考えていると、普段より、殺気が籠もった分低めの声で言葉を吐き出し。リサが肩にかけられた手を払いのけて彼らを鋭く睨んでいた。
「なっ…テメェー」
茶髪が怒りに拳を振り下ろす。
結構な速度、当たれば多少は痛いだろう。
これがリサに当たる…
あ、死んだな茶髪
しかし、俺の考えとは裏腹に、拳はリサにとどかず。
「おいたが過ぎますよ、お客さん。他の人に迷惑です」
変わりに先程のカウンターの女性が片手で拳を止めていた。
今のを止めるとは…この人、結構強いな
「アンタ邪魔すんじゃねーよ」
茶髪の睨みをものともせずに彼女は髪をかきあげると
「邪魔はしません。やるなら隣でやってください」
言いながら鍛錬場への扉を指差していた。
「フン」
さっきまで黙っていたメガネ男の視線を急にレンズ越しに感じる。
はぁ〜 茶髪よりコイツの方が強いかな、しかしヤル気満々だな。
「いいだろう、隣に行くぞ」
茶髪がずんずんと歩いて行ってしまい、それに続くメガネ。
無視しても良いけど…リサがご立腹だし。しゃあないけど、久々にやりますか。
茶髪達の後を追いかけてリサと一緒に図書塔を出た。
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