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×××(kiss・kiss・kiss)
作:月姫



(6)お礼


やっぱり男手あると助かるわぁ。
アタシは改めてそう思った。

アタシんトコはお父ちゃんと二人暮し。
いつもならお父ちゃんが居る時に行くんやけど、何やかやと時間が合わんくて、平次にピンチヒッターを頼んだ。

こんな事は時々……って言うか、結構ある。

平次は横でぶつぶつ言うてるけど、別に大した事頼んだワケやないんよ?
ちょっと買い物に付き合うてもろただけ。

まあ、その場所が、主婦で賑わうスーパーやったってだけで。
……時間的に、丁度混んどったりしたけどな。
…………学校帰りで制服のままやったから、ちょお浮いてたかもしれんけど。

それだって、そう珍しい事やない。

「いつもの事やん?」
「……買い物付き合わされたんを、どうこう言うてるんとちゃうわ」
「じゃあ、何なん?」
「オマエ確か、野菜買いたいけど一人やとあんま持てんから、手伝うてくれ言うてたよな?」
「うん」
「で、それが何でこうなるんや?」

アタシの前に回りこんだ平次が、足を止めて荷物を突き出して来た。

平次の右手には、宣言通りに野菜の詰まったスーパーの袋。
根菜が多いから、ちょお重いかもしれない。

アタシの右手にも、スーパーの袋。
こっちは葉ものの野菜やから、そんなに重くない。

「野菜やん?」
「こっちや、こっち」

意識して見ないようにしてた平次の左手には、お米の袋。
それも10キロ入りのヤツ。

「それ、美味しいんよ?なかなか見つからないんやけど、珍しく出てたから」
「…………」
「代わりに鞄持ったげてるやん?」
「当然やろ」
「お礼に、明日そのお米でお弁当作ったげるし」

やっぱり不満そうな平次。
大きなため息ついて、右手の荷物を左手に引っ掛けたなと思ったら、後頭部を押さえ付けられた。

「お礼言うたら、普通コッチやろ?」

あっさりそう言ってのけた平次は、また荷物を両手に持ち直して歩き出した。

……そんな、お約束のベタなネタ、今やらなくてもええやん!
天下の公道やねんで!
こんなトコでキスやなんて、恥ずかしいやんかぁ!

言いたい事は山ほどあったけど、アタシの口からは何一つ出てこなかった。

「さっさと帰んで!」

少し先で振り返った平次は、何故だか笑ってた。

……アタシ、もしかして遊ばれとるん?

めっちゃびっくりしたのに、卵が入ってるから気合で落とさずにいた荷物を握り締めて、ちょっとだけ考え込んでしまった。














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「『お礼言うたら、普通コッチやろ?』って、何?」(和葉)

『キスにまつわる20の御題』(http://tw.skr.jp/kiss/)












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