(20)それは反則!!
いつの間にかオレより小さなってた和葉。
ずっと同じ目線で話してたのに、少しずつ見下ろすようになって、今ではもう頭半分以上、オレの方がデカくなった。
多分、もう少し差が出来ると思う。
まあ、それは仕方ない事やねんけど、和葉に見上げられるようになって、問題が1つ出て来た。
秋晴れの日曜日、新しいマフラーが欲しい言う和葉と、デートを兼ねて買い物に出た。
あちこち回って散々迷った和葉が、ここで決める言うて店に入って30分、ようやく気に入ったモンを見つけたんか、紙袋片手に戻って来た。
「お待たせ!」
「おう、待ったで」
「こーゆう時は『早かったな』言うんが、彼氏の基本やで?」
「残念ながら、今のオレは『幼馴染』なんや」
「なら『お姉さま』の命令は絶対やん?」
「誰が『お姉さま』やねん?」
「アタシ}
上機嫌な和葉が、腕を絡めてくる。
「お茶しよ?」
オレを見上げるようにして、にっこり笑う。
その表情があんまりにも無防備で、眩暈がした。
「どうしたん?」
反応の薄いオレを不審に思ったんか、ちょっと首を傾げて覗き込んできた。
つり目ぎみの、猫みたいな大きな瞳には、何の警戒の色もない。
………それは反則やろ。
和葉は絶対そんな気はない言うやろうし、本当に無意識なんやろうけど、あの瞳は誘っとるようにしか見えん。
それに、無意識やからタチが悪い。
他のオトコにも、あの瞳を向けかねんのやから。
……オレ、育て方間違えたんやろか?
いや、オレが育てたワケやないけどな、もおちょおオトコに対する警戒心いうんを教えとくべきやったかもしれん。
せやからて、コレを意識して出来るようになられても困るんやけどな。
和葉を見下ろしたまま、小さく息を付く。
まあ、しゃーないか。
オレが気ぃ付けとればええ事やし。
「平次?」
「……誘うんは、オレだけにしとけよ?」
意味が掴めないらしい和葉が、訝しげに眉を寄せる。
オレの目の前には、和葉のおでこ。
お誘いを受けた事やし、これくらいはええやろと、ちゅーを落とした。
***************
keyword
「誘惑の自覚も無い瞳は、心臓に悪い」(平次)
『キスにまつわる20の御題』(http://tw.skr.jp/kiss/)
|