(19)告白した
オレが海で仕掛けた小さな悪戯。その成果は今、和葉の背中に綺麗に残っとる。
「何なん?」
ベッドの上に雑誌を広げてうつ伏せに寝っ転がっとる和葉が、不意に顔を上げた。
「何や、背中に視線感じるんやけど……」
「気のせいやろ?」
ちょっとばかり不審気に眉を寄せる和葉に軽く返して、携帯を手に椅子から立ち上がる。
今日の和葉の服は、ホルダーネックとか言うヤツで、綺麗な肩甲骨が剥き出しになっとって、オレの悪戯の跡がよう見える。
メールチェックしとるフリしながら、さり気なく和葉の後ろに回って、ベストポジションを探した。
うん、こんなモンやろ。
合成されたシャッター音と共に、携帯の画面に目当てのものが写った。
「何しとるん!?」
その音に飛び起きた和葉が、くるっと振り返る。
「何で背中ばっか見とるん?」
「知りたいか?」
「やっぱり、背中見てたんやん!」
「見とったで?」
携帯を操作しながらにやっと笑ってやったら、探るような瞳を向けられた。
何か企んどるとでも思っとるんやろう。
……いや、企んどらん言うたらウソになるけどな。
「あ、メール。これって平次の……っきゃぁっ!」
和葉の意識が逸れたんを逃さずに、ベッドに上がり込んで後ろから抱き付いた。
なるべく反撃受けんように、二の腕の上から押さえ込む。
「オマエの背中見てた理由やで、ソレ」
抗議の声を上げる和葉にそう言ってやる。
一応大人しくなった和葉の、携帯を持った手元を覗き込むと、丁度画像が現れた所。
小さな液晶に映し出されたんは、和葉の首筋から右の肩甲骨にかけて。
殆ど日焼けしとらん白い肌ん中、肩甲骨の上にだけ小さなハート型の日焼けがある。
「っ!?」
「可愛えやろ?」
一瞬固まった和葉は、次の瞬間、耳まで赤くして暴れ始めた。
気に入らんかったらしい。
「平次のスケベ!変態!シミんなったらどうしてくれるん!?」
ぎゃいぎゃいと騒ぐ声は取り敢えず無視を決め込んで、オレの腕から逃れようと和葉がもがいたおかげで、エエ塩梅に目の前に現れた小さなハートに、ちゅーを一つ。
そしたら、ますます抗議が激しくなった。
「恥ずかしいやんかあ!」
ちょっと泣きが入ってきとる。
……さて、どうやって宥めたモンか。
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「最近オレがオマエの背中にキスしとるわけ」(平次)
『キスにまつわる20の御題』(http://tw.skr.jp/kiss/)
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