(14)寂しいの
和葉の様子がおかしい。
多分、誰も気付いとらんけれど。
父親と二人暮しの和葉が、おっちゃんが帰れない日にオレん家に来るのは、よくある事。
大抵はオカンが呼んどるけど、ごくたまに自分から泊まりたいと言って来る。
特に、冬の近づいて来たこんな季節には。
にわか四人家族の晩メシの後は、オレの部屋でだらだら過ごす。
オレはベッドで読書。
和葉はベッドに寄っ掛かってゲーム。
いつもの事やのに、和葉の様子がおかしい。
理由は多分………。
ベッドの上をごそごそ動いて和葉の後ろに陣取って、しっぽをくいっと引っ張った。
「何すんの!?」
「オマエ、何さっきから同じトコで躓いとんねん」
「……ほっとき」
「考え事しながらやっとるからやろ?」
「…………」
黙り込んだ和葉を、緩く抱き締める。
「我慢せんでもええんやで?」
うつ伏せに寝そべった体勢で和葉抱き込むんは、ちょっと背中に負担が掛かるけど、今オレが出来るのはこんな事だけやから。
「オマエの気持ち、ちゃんと言ってみ?」
「…………」
意地っ張りな和葉。
こんな時は、ただ問い詰めても口を割らんから、長期戦覚悟でオレも黙り込んだ。
和葉が口を開いたのは、ゲームのオープニング・デモ画面が3回目に入った時。
「………いん」
「ん?」
「寂しいんよ……」
「大丈夫や。オレがずっと傍に居ったるから」
やっと本音を吐いた和葉の、微かに震えるしっぽにキスを一つ。
オレはその原因を取り除いてはやれんけど、傍に居てやる事は出来るから。
「オマエが逃げ出したなるくらい、傍に居る」
ゆっくりと、言い聞かせるように囁いて、目の前に晒されてる白い項にキスをした。
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「オマエの気持ち、ちゃんと言ってみ?」(平次)
『キスにまつわる20の御題』(http://tw.skr.jp/kiss/)
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