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序章(二)「?」
「はあ・・・・はあ・・・・」

 息が切れて肩で息をする。もう指先一本動かすのも重い。
 手で汗を拭う。汗はネチャネチャとなんだかベッタリしている。
 誰かが俺にしがみついてくる。もうやめて、と俺に叫ぶ。しかし、今の俺には言葉の意味はわからない。
 そいつを押して払いのける。そいつの髪は長かった。

「君も・・・あの怪物と同じように、俺を殺そうとしてるんだな? お前は怪物の味方なんだな!?」

 俺は手に持っている凶器を振り上げる。
 彼女は泣きながら俺に何かを訴えている。命乞いをしているのだろうか。でももう遅い。振り下ろした刀を止めることなど出来ない。
 瞬間、彼女の声が聞こえなくなる。彼女から赤い液体が水道の蛇口を捻るように出てくる。その液体は俺の体全体にかかる。
 その赤い液体を拭う。ネチャネチャとベッタリしていた。・・・ああ、あれは汗じゃなくて血だったのか。

 涙がこぼれ落ちる。なんでだろう。今は涙を流しているときじゃない。命を守るために戦うときだ。
 それでもこの涙は止めることは出来なかった。その理由はわかっている。

 彼女を殺してしまったからだ。

 暴れるように手に持つ刀を振り回しながら、悟る。俺が彼女を殺して涙する理由。その理由は簡単だ・・・。


 ・・・・俺は、彼女のことが好きだったんだ。


 だけれども、殺してしまった。だから泣いているのだ。でも仕方がない。自分の命を守るために彼女は犠牲になってしまったんだ。
 でも大丈夫。もうすぐ終わるから。これが終わったら、きっと君に会いに行く。だから、大丈夫。
 あの怪物たちを殺す。そのために、刀を振り下ろす。
 そうして、最後の一振りが振り下ろされた。


 ・・・最後に。もう一度君に会えて、嬉しかった。

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