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  相互不認知 作者:
エロ注意。シナリオには最後の部分以外関係ありません。
二十七粒
 オニギリは塩味で、ごま油の香りがして美味しかった。具は甘く蜂蜜でつけた梅干。
 僕のお米でべとべとになった指を彼女は音を立ててしゃぶった。
「ぷはっ……どうしたのかしら? 顔が赤いわよ」
「あの……そ、の、桐生さん」
「呉葉、でいいわよ」
「呉葉さん、お風呂とか……ないんですか?」
「あら、お風呂に入ってしまうの? わたし、あなたの汗の臭い、凄く好きなのだけど」
 そういってスンスンと鼻を鳴らして鎖骨を舐める。うっと僕は震えて、身を引いた。
 後ろは壁でもう逃げる場所はない。
 彼女は四つんばいで僕に近づく。月明かりが彼女を照らし、生々しい曲線と微笑を僕に見せた。
 そしてそっと僕の耳に囁く。
「あるわよ。お風呂」
「できれば……使わせて欲しいです」
「そうね、こんなにも女の匂いと白子の匂いをプンプンさせてたら、明日笑われてしまうものね」
 急に彼女は立ち上がり、僕の手を引っ張って無理やり立たせると、どこかに向かった。夜目が利くらしく、真っ直ぐ進む。
 モザイク調のガラス戸を引く。そこには洗面所で洗濯機が置いてあって、どうやら脱衣所のようだった。とすると右手の小さな扉はトイレか。
 彼女は雑に服を脱ぎ捨て、僕を風呂場へと引き込む。
「ちょっと、一緒に入るなんて……」
「嫌なら、外の川で体を洗ってらっしゃい。夜だから涼しいでしょうね」
「そ、それは……」
 虫とかに刺されそうだし、何より人に見られたら僕はどう言い訳すればいいんだ。
 川で体を洗ってました。
 これじゃ変態の言い訳だ。
「それに今更裸なんかを恥ずかしがってどうするの。それ以上のことをしたというのに」
「…………でも」
 僕が言葉に詰まっているをおかしそうに笑い、手を引っ張った。彼女のは正論で僕は反論できなかった。
 大きな檜の風呂。壁はタイル張り。既にお湯が張ってあるらしく、蓋から湯気が零れている。
「甚六、仕事が速いわね」
 そう彼女はいうと風呂桶で風呂のお湯をすくう。僕に風呂椅子に座るようにいうとざあっと頭から流した。
 もう一度すくい、流す。またすくうと今度は自分にかけた。肌をお湯が滑る。
 彼女は堂々としているが僕は酷く恥ずかしい。
 濡れた髪を掻き上げ、彼女は大きな鏡の水滴を吹く。
「ほら、亮平さんの体にいっぱい印がついてる」
 赤い虫刺されのようなキスマーク。首から始まり胸、そして下半身へとそれは続いている。
「あらあら、そんなに恥ずかしそうにして。私にもついているんですよ? あなたがつけた印」
 ほらといって彼女は自分の胸についた赤い印を僕に近づけた。僕はそっぽを向いて、垢をこするためのタオルを探す。
 しかし、見つからない。
「あの……」
「これを探しているのかしら」
 彼女はそれ泡立て、にっこり微笑む。僕は彼女の体を目に入れない様に下を向いた。
「貸して、もらえませんか……」
「私がやりますよ」
「一人でできます」
「二人でもできますよ」
「そういう問題じゃ……」
「私にやらせてくれないのならこの体をスポンジ代わりにしようかしら」
「ううっ……」
 僕は大人しく椅子に座る。無駄な足掻きと思いながら目を瞑った。
 彼女は絶妙な力加減で僕の体を擦っていく。意外にまともで少し驚いた。
 途中で止まる。何でだろうと思って彼女の顔を見た。
「ごめんなさい、ほら。中からあなたのが漏れてきちゃった」
 彼女の股を濁った液体がつうっと伝っている。ごぽっという音と共にまた沢山のそれが溢れた。
「ずっと締めていたんですけど、漏れてしまいましたね」
「君は……っ!」
「うふふ、洗って下さる?」
 鏡に映る僕は顔を赤くして、羞恥に打ち震えていて、彼女はそんな僕を嬉しそうに眺めていた。

 結局僕らは交代で、洗うことにした僕は殆ど終わっていたので残りを全て終わらせるのに十分も掛からなかった。
 湯に浸かって肺の中を吐き出す。芯から温まる気がした。
 彼女も少しして湯船に浸かる。悲しいことに風呂場は広くて、湯船も人が四、五人は入る余裕があった。
 そのまま僕にしな垂れかかる。
「これほど充実した日は今まで生きてきて初めてかもしれないわ。見て、肌がつるつる。あなたとしたおかげかしら」
「知りません」
 知りたくも無い。
「……ここにいるのは嫌? ここが嫌い? 私が嫌い?」
「イヤです。嫌いです」
「それは元の場所よりも、元の人たちよりも?」
「……………………嫌いです」
「そう」
 彼女は笑い、背筋を伸ばす。当然、答えるまでに間があったのなんて彼女は気がついているだろう。
 考えてみればここは僕を知っている人間はいなくて、僕を否定する人間もいなくて、僕を虐めようとする人間もいない。
 僕の両親のことを知っている人はいるのだろうか。もしも、知らなかったらそれはまさにゼロからのスタートだ。
 この桐生呉葉という少女さえいなければここは最高の環境になるのかもしれない。
 少なくとも僕を殴って無理やり犯そうとする人間はいないだろうし。
「どうしたんですか? 少し顔が嬉しそうね」
「何でもないです」
 明日周りの反応を見よう。
 蔑まれてきた僕は他人の視線には敏感だ。もしも相手が僕のことを知っていて、そういう目で見るのなら直ぐに逃げ出そう。
 じゃあ、そうでなかったら?
 そうじゃなかったらお前はどうするんだ?
 さあ、分からない。
 でもそれを嬉しいと、ありがたいと感じるかもしれない。
お風呂はお約束だと思うんです。
今日のは文章が酷いので後日修正予定。


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