63、帰還
エクレール達が旅だって19日目ダンジョンエリアにある村まで帰還した。
ほぼ滞在期間がないな、もう少しゆっくりしてきてもよかったんだが。
手元にあった金を半分ほど渡したのだが思った以上に相場が安かったようだな。
一頭引きの馬車2台に馬が5頭、満載の食糧と奴隷が7人を買って来た。
魔石も高く売れたようだ。
「マイヤー、エクレールたちと奴隷たちに風呂と食事でしたを与えてやってくれ。報告は明日でよいから今日の所とは休ませよ。」
「承りました。」
馬や馬車は想定の内だが7人もの奴隷は想定の外だったな。
12歳前後の子供が4人に17,8歳の青年が1人、30前後の男女か。
スキルを確認すると子供たちのうち1人は回復魔法をもっているようだがランクが表示されていないな。
素質ありだが使い方を知らないのだろう。
青年は斧術スキルDと筋力増加Eを持っているのでパーティー入りさせるか。
30前後の男女は簡易医術Eと製薬Dを持っているのでもと医者かなにかだったんだろう。
よく買えたものだな、彼らに子供たちを預け製薬を学ばした方がよいかな?
グレルンデの大森林は割りと薬草の類が多くあるからな。
そのままでは日持ちがしないが加工しておけば試用期間に余裕ができるから特産品として外貨を稼いでくれるだろう。
それにこの大森林を開拓するのには生傷が絶えないからな、医療知識があるものが来てくれたのはありがたい。
回復魔法を持ったパペットやコボルトもいるがもし来村者がいたとき見られるとやっかいだからな。
となると森からモンスターを出すのは難しいか?
マギドール以降のパペット系ならごまかせるかな?
少なくともハフジァの町までダンジョンコアの欠片をもちいて繋げたいのだが見つからずに敷設できるだろうか?
エクレールたちを使うと言う手もあるのだが他の仕事も回したいし、移動時に敷設させると時間がかかるだろう。
最悪ロスを覚悟で空からばらまくか?
とりあえず、手前の村までは夜間にパペットを使い敷設しておこう。
村を隷属化するかはモウス様子を見ておくか。
エリア内であれば誰が住んでいても現状ではさほど関係内からな。
通常のポイントにおける拡張は微々たるものだしな。
1日辺りおよそ半径を25メートルほど拡張速度ではあるのだが。
一点に拡張を集約出来ればもっと余裕ができるのだがな。
方針を考えるのは明日にするか。
エクレールたちの報告を聞いてから考えても遅くないか。
翌日、一休みしてスッキリとしたエクレールたちと新たに加わった奴隷たちをロイのダンジョンに集めた。
「まずは、無事帰還したことを喜ぼうか、よくかえって来た。」
エクレールが代表して、「帰還後すぐに報告できませんで申し訳ありません。」と詫びてきた。
「気にすることはない、休むように命じたのは俺なのだからな。」
「はい、ありがとうございます。」
「まずは、奴隷たちを眷属化しようか。そこの魔方陣の上にたたせよ。」
「全員一緒でよろしいのですか?」
「問題ない、一度で済ませよう。」
怯える奴隷を魔方陣の上に移動させて魔方陣を起動させた。
一瞬魔方陣が光り、奴隷達が首につけていた奴隷の首輪が外れた。
ダンジョンポイントで購入したものは無理だったが人が作ったものは効果を失うようだな。
「お前たち、気分はどうだ?」
「はい、清々しい気持ちです。」
代表して年配の男が発言した。
「お前には子供たちを任せるので薬師としての知識を与え薬を作ってもらう。」
「妻はどうなりますか?」
「共に仕事をしてくれ。ロイ」
「お呼びですか。」
「彼らのことは任せるのでつれて行ってくれ。」
「は、承りました。」
「そこの青年は残るように。」
「俺、いえ、私ですか?」
青年は戸惑ったようにいった。敬語はなれていないようだ。
「ウム、お前には別の仕事をしてもらうからしばしここにいろ。」
「わかっ、わかりました。」
少し怯えたように彼は答えた。