60、新たな眷属
エクレールside
ここはいったいどこなんでしょう?
王宮にもないぐらい大きな浴室が私の前にあった。
美しい彫刻、湯気の立つ池のようなお風呂、青い空がある。
青い空ってお外ではありませんか?
ここで入浴するということは外で裸になれと?
しかも正面には壁すらないではありませんか?
「早く服を脱いで体を洗いなさい。主様の浴室をお借りしているのです。ボーとしているのではありません。それともひんむかれて強制的に洗われる方がお好みですか?」
そういってデッキブラシを取り出しました。
さすがにあれで洗われるのは遠慮したいです。
あわてて服を脱ぎました。
できれば見ないでいただきたいのですが、捕囚の身では言えませんね。
諦めて久々のお湯を楽しみましょう。
ゴスっ
いたいです。メイドが私の頭をデッキブラシで叩きました。
「そんな汚い体を洗わずに湯に浸かろうとは何事ですか!そちらで体を洗いなさい‼」
そういってデッキブラシで洗い場の方を差しました。
これは石鹸ですか?
昔使っていたものとは香りも泡立ちも全然違うのですが?
本当にここはいったいどこなんでしょう?
洗い場で体を洗っていると本当に体が汚れていたことに気づかされます。
水が真っ黒になるんですもの。
そして、体を洗い終わり湯船?につかると空しさと悲しさ、そして怒りが押し込めていた心のそこから湧いてきました。
どうしようもない感情が溢れて涙が止まりませんでした。
誰にも見られたくなくてお湯を中に顔を沈めて大泣きしてしまいました。
sideout
「さあ、こちらですよ。」
マイヤーにつれられて一人の少女が現れた。
なにゆえメイド服を着ているんだ?
俺の趣味だと思われるだろうが‼
しかもめちゃめちゃ緊張してるじゃねえか。
絶対(性的に)食われると勘違いしているぞ。
前世なら飛び付いたんだろうが、ダンジョンマスターになってから性欲があまりない気がする。
他のダンジョンマスターはどうなんだろうか?
おっと、彼女を放置していたな。
「マイヤーなぜ彼女はメイド服なのだ?」
「?」
「なぜ?なにいっているのって顔をしている。普通の服はなかったのか?」
「?」
「メイド服が趣味じゃなかったのか?て顔だな。」
「召喚されたとき与えられた服がこれだったんですが?」
「そういえばそうだったな。単なるイメージで渡したものがここで祟るとはな。服装のことは後で着替えさせろ、それより娘お前に与えられた選択肢は俺の眷属になる、隷属の首輪をはめる、肉体を奪われるだな。死と言う選択肢はないと思え、この場で自害をはかっても魔法で快復させるから無駄だ。」
「聞いてもよろしいですか?」
「なんだ?」
「あなたの目的と私の希望は一致するでしょうか?」
「ダンジョンを大きくすること、ダンジョンコアを守ることが目的だ。その邪魔をするものは排除する。排除するものも中にお前の目的のものがいるかもしれないな。」
「・・・・わかりました。眷属化をお願いします。」
「よかろう儀式に入る、そうだった名を聞いていなかったな。俺はネスだ。お前は?」
「エクレールともうします、マスターネス様。」
エクレールside
本当にこれでよかったのかしら?
悩んでも仕方ないわね。
どのみちろくな選択肢がなかったのだから。
でも、ネス様のお力があれば復讐はできそうね。
王さまには申し訳なかったけど、たぶんあのままだと私がもたなかったでしょうね。
見ていなさい‼皇太子にあの女、私が受けた屈辱を何倍にもして返してやるわ。
そのためにもここでの地位を高めないといけないわね。
まずは情報を集めて成り上がって見せますわ。
見ていなさい‼
オーほほほほほほ、ごほごほ!
久しぶりの高笑いは喉に負担が大きいわね。