57、職人の心意気
サンガと共に土中の店に向かいつつ彼のダンジョンの話を聞いた。
彼は、辺境系のダンジョンマスターであり、辺境で力をためて生き残ることを第一に考えている。
俺と同じ辺境系か、生き残れるかな?
地上には偵察隊位しか出していないようだ。
どうしておれが食材を確保できるのか聞いて来たがはぐらかして答えるつもりはない。
いずれ誰からか聞くだろうが、他と差をつけるつもりは今のところない、まあ、できたものが好みに合えば多少割引をしてもよいだろう。
潰れてもらっては困るからな。
潰れてもらっては困る理由は他にもある。
彼のダンジョンはかなり北にあるようで割りと近くに海があるそうだ。
レッサーギルマンを何体か格安で売ってもいいかな?
いや、ただでやっても問題ないか。
目的は昆布だ。
俺のダンジョンはかなり南にあるから、昆布系を出し材は手に入らない。
彼にレッサーギルマンを預けることにより北方海産物が手に入るだろう。
ある程度の依存が欲しいから渡すギルマンはすべて雄だがな。
いずれガチャで水棲人形モンスターを引くまでは問題なかろう。
そんな話をしていると土中の店についたようだな。
「おとといきゃやがれ。」ブゥン
オワ、アブね~。?
土中店からハンマーが飛んできて俺の目の前のなにかに当たって落ちた。
どう言うことだ?
サンガが俺の腕をとり扉の横に引っ張った。
「サンガどうした?俺は男と腕を組む趣味はないぞ?」
「私もありませんよ‼それより彼らが見えないんですか?」
「?.どんなやつらだ?」
「オーガとオークとゴブリンの三人組ですよ。」
「ああ、そいつらは認識除外しているから見えないな。」
あいつらか。こう言うときには認識できないのは困るが、認識されるよりはましか。
絶対突っかかって来るのは目に見えているからな。
「店をする気ならあいつらとは関わらない方がよいと思うぞ。うちの店でも暴れていたからな。あいつらが去ったらサンガも認識除外しておいた方がよいぞ。」
「そうなんですか?わかりました。後で認識除外しておきます。あ!」
「どうした?」
「多分ですがこの店のダンジョンマスターが認識除外したようです。店が消えたと騒いでいます。」
「じゃあ俺たちは店に入るか、いくぞ。土中邪魔するぞ。」
「誰じゃ‼なんじゃネスじゃないか。」
「荒れているな、さっきの連中のせいか?」
「訳のわからん連中じゃて、いきなり商品を金も払わずよこせと言いやがったんじゃよ。」
「うちにも来たぞ、速攻認識除外してたったがな。」
「主らしいじゃの。で、何のようじゃ?後、そいつは誰じゃ?」
「ああ、こいつはサンガって言うんだがちょっと相談に乗ってやって欲しいんだが?」
「サンガです。よろしくお願いいたします。」
「相談とはなんじゃ?」
「はい、道具をどうにかしたいとネスさんに相談したらここにつれてきていただきました。」
「で、なにが欲しいんじゃ?」
一気に職人の顔になったな。さすがは生粋職人だな。
「厨房器具をお願いしたいんですが。」
「厨房器具じゃと?」
「こいつは、ラーメン屋をしたいんだと、ポイントで買えるのでは満足出来ないみたいでな、なんとかしてやってくれないか?」
「ダメじゃな。」
「なぜですか?」
「お前さん、店をやった経験ないじゃろう。そんなやつの道具を作る気にはなれんのじゃ。」
「そこをなんとかしていただけないでしょうか?」
「熱意だけあってもの、そうじゃ、購入できるもので作ってみよ。ワシが認める味を出せればなんでも作ってやるわい。」
「わかりました。認められるものを作って持ってきます。」
「いっておくが、あくまでも商品としてじゃよ。採算を考えるのじゃな。採算を取れてこそ料理人と言えるのじゃ。お主も下手なてを出すんじゃないぞ。」
「ああ、わかったよ、サンガ、少しはサービスしてやろうと思っていたんだが、正規で店で買ってくれ。」
「わかりました。失礼します。」
そういってサンガは店を出ていった。
「それじゃぁ俺も失礼するかな?エリーゼの店の様子も見ておきたいしな。」
「もう帰るのかのう、忙しいやつじゃて。エリーゼの所はやめておくんじゃな、3時間待ちの行列ができておったは。」
「そうなのか?それじゃいくだけ無駄だな。帰るわ。邪魔したな。」
「今度来るときは酒でも持ってこい。」
「気が向いたらな。」
そういって店をでた。
騒がしい街になったもんだな。
ダンジョンに引き上げるか。