54、トンネル開通
コンコン
「失礼いたします。ネス様、今、お時間よろしいでしょうか?ご報告がございます。」
そう言いながら俺の執務室にある左側の扉からマネが入って来た。
現在ダンジョンの最初に開いた入り口の上に築いた城を生活の拠点としている。
執務室の両隣は大部屋になっており右側の部屋は各階層に繋がる転移陣があり、左側の部屋には各ダンジョンに繋がる転移陣がある。
小型の転移陣であり、俺と名付モンスター以外は許可がないと使用できないものだ。
転移陣は他に物資のみ転移可能なものもありダンジョン間の輸送に役だっている。
設置するためには、その場所に一度いかないといけないのが難点か。
また、大人数を転移可能なものもあるのだが、制限をかけることが出来ないため敵の進入路として使われる可能性があるので設置していない。
「マネか。何の報告だ。」
「ハイ、3件ご報告させていただきます。まず一つ目ですが大トンネルが貫通いたしました。これより拡張工事に取りかかります。」
「ふむ、予定より早く完成したな。砦の建設準備は問題ないか?」
「物資の準備は問題ありませんが、運搬にはやはり転移陣を設置していただきたいと愚考いたします。また、大トンネルの出口が予定地よりも伸びた関係で砦建設予定地がエリア外に出てしまいましたのでパペットの行動が制限されております。」
う~んどうしようか?
工事現場の場所の確保だけだとダンジョンコアの欠片を利用して広げる手もあるが転移陣のことも考えるとダンジョンの設置した方がよいか?
先に残りの報告を聞いてからにするか。
他との兼ね合いがあるからな。
「その件はしばし待て、先に他の報告を聞こう。」
「わかりました。報告を続けさせていただきます。ネス様が御命じになられた方形エリアの拡大ですが、作業しているパペットが人族の痕跡を発見いたしました。配下モンスターに調査させたところ村を作っておりました。」
「村?」
「ハイ、まだ作りかけの様ですので新規開拓の一環だろうと思われます。」
「規模と戦闘員の数はわかるか?」
「およそ20人ほどで十数匹のゴブリンの群れをなんとか撃退できる程度でした。特に強者と言うべき者はおりませんでした。」
「森の外との交流はどうだ?」
「森を切り開いた馬車道がありましたが使用頻度は決して高くないと推察いたします。馬車が月一回程度の交易馬車ではと愚考いたします。」
「しばらく様子を見ておこうか。エリア拡張は左右に広げていくことにしよう。人族は放置しておこう。最後はなんだ?」
「パペットが何体かゴブリンにやられております。このままでは拡張作業に支障をきたします。」
「報告は以上か?」
「ハイ、以上です。」
さてどうしようか?
人族にかんしてはしばらく様子をみることにしておくとして、一番面倒なのはやはりゴブリンか。
オークやコボルド等もこの森のなかに生息しているのだったな。
今回は全滅させるつもりはないがある程度の数を減らすべきか?
何ヵ所か、方形の中をダンジョンコアの欠片でエリアを埋めてレッサートレントやスリープフラワー等で進入出来ない場所を作って移動を制限させよう。
やはり先に下位ダンジョンを設置した方がよいな。
来光をダンジョンマスターにして周辺の統轄させよう。
とりあえず配下にいるコボルド種のうち150体を預けておこう。
召喚権限のランクFは下位ダンジョンに移行してあるため自分でやってもらおうか。
砦の建設はパペットを応援に回しておこう、砦側からも大トンネルの拡張工事をさせる分も含めないといけないかな。
さて、各員に通達を出しておくことにしよう。
来光をつれてダンジョンと転移陣の設置にいくことにしようか。