52、新人が来る前に
二人のダンジョンの様子を聞いて「どっちも悪辣だな。」と言ったら、モーブまで一緒に「「「お前の方が悪辣だ(じゃ、よ)」」」と声を会わせて言われてしまった。なぜ?
「え~。ダンジョンマスターのことはよくわかった。消費の面はどうだ?」
「行きなり話を変えたっすね。」
「自覚はあるようじゃの。」
「ダンジョンマスターの食糧を握っている魔王よね。」
「やかましい!」
確かに他のダンジョンは、モンスターの数が増えすぎた時にモンスターの一部を外に出すだけだが、うちは人間の生活エリアを浸食しようとしているからな。
どっちが人間にとって有害かは一目瞭然かな。
しかし攻略は可能なダンジョンでもある。
上位モンスターはいない、罠もせいぜいスリープフラワーとかの植物系モンスターがいるくらいだしな。
中級以上の冒険者がある程度集まれば実際落とされる可能性がある。
発見されるまでいかに戦力をためるかが勝負の分かれ目だな。
しかし今はそんなことを考えている場合じゃない。
「ともかく、今後来る新たなダンジョンマスターをどう扱うかそのための現状把握だ。」
「おう。」「わかっておるよ。」「はーい‼」
「まずは食糧の消費だが、マイヤー!!」
「ハイ、お側に‼」
「現在の食料は、どのぐらい出ている?食数で教えてくれ?」
「ハイ、一月平均で1日辺り300食分に相当する食料が売れています。ダンジョンマスターの人数からいっても過剰な消費です。」
「300?約三倍じゃないか?」
「200はエリーゼ様のお店に、100は直接食材を買いにこられます。」
「エリーゼ、店の様子はどうだ?」
「うちの店ですか?そうですね?最近はダンジョン以外のお客さんも増えましたね。半分は隷属の首輪をしていましたよ。あとはお使いに来たモンスターもいましたね。」
そうか、ダンジョンマスター以外にも食料のいるものも多くのいるわけだ。
自分で食料を用意できるものやモンスター用の食料をポイントで買っているものもいるからな。
食料を必要とするものはもっと多くなるだろうな。
「エリーゼ、新しく来る連中の分の調理はできるか?」
「無理ですね。頑張って後100食もできたらいい方ですね。」
「それは困るっす。俺の分がなくなるっす。」
「そうじゃの、儂らのように飯を作れんものは、これ以上増えてもらっては困るの。まあ、内にはパペットがおるからなんとかなるのじゃが。」
「ネスさん、俺にもパペットを売ってくださいっす。」
「鍛冶の方はどうだ?土中?」
「いや、無視しないでほしいっす。」
「なんとも言えんが現状では材料自体が不足気味じゃからな。80%といったところじゃな。」
「土中さんもっすか。」
「無理をしても増えた分は賄えないですねぇ。」
「エリーゼさんまで、、、(泣)」
「まあ、200人もくるんだ、その内何人かは生産系に回ってくれるだろう。それに期待するしかないな。食料生産に関してはなんとか賄えるように用意しておこう。」
「パペットを少し回してくれません?そうしたらもう少し増やせますよ?」
「そおっすね。俺も余裕ができた者の中から生産系に回ってくれるものを探しておくっす。」
「儂らのところはこれ以上は無理じゃよ、人手を増やしても品質が下がっては意味がないからの。」
「あとはダンジョンマスターの街の秩序を守ることだが、いざと言う時の仲介役は誰かいるか?」
「それは任せてほしいっす。なんにんか手伝ってくれるのもいるっすから、安心してほしいっす。」
若干不安はあるけど他に頼むやつもいないしな。
モーブに任せておくか。
「ところで3日後位に宴会をしたいんだが協力してくれないか?酒や食材は俺が出すから。」
「「「ネス(さん)最高っす(じゃ)(です)!!」」」
「じゃあこっちの準備と伝達は任せる。」
「料理の準備は任せて!」
「通達は儂とモーブでやるかのう。」
「土中さん、了解っす。」
「後は任せたよ。」
「「「了解っす(じゃ)(です)!!」」」