51、突破不可能ダンジョン
「ネスさんどうしたんですか?こんな所でボーとして?」
エリーゼがかけてきた声で思考の海から帰還した。
「あれについて少し考え事をな…」
立て札を指差しながらエリーゼに答える。
「ああ、あれですか、新人さんに関してはですか?」
「それもあるが制限のほうかな。」
「え?そっちですか?」
「ン?違うのか?制限のほうが厳しくないか。」
「え~。スキルも下位のモンスターも十分ありますよ。上位モンスターはまだ足らないと思いますけど。」
どうも意見が食い違うな、ああ、そうかダンジョンのつくり方が違うと言うかうちのダンジョンが異様なんだな。
うちのダンジョンは俺がガチャを回して得たものの中から選択してモンスターの権限移譲をしていたからな。
多くの種類が必要だったが他のダンジョンにはそんなに種類が必要ないな。
スキルだって戦闘を意識してさらに汎用性を持たせようと考えなければ今まで取得済のスキルでこと足りるか。
「んー、もう、また考えこんでいる‼」
「ああ。すまない。ところで今後新たに増えるダンジョンマスターについて協議したいんだが、全員集める訳にはいかないだろうから人数を絞りたいんだが誰がよいと思う?」
「え?え~と、やっぱり食糧生産を一手に引き受けているネスさんは当然として、同じく武器生産している土中さん、それなりにみんなをまとめているモーブさんでしようか?」
「あとはお前だな。二人はうちのパペットに呼びにいかせよう。とりあえずうちの店にいくぞ。」
「え?私もですか?ちょっと待ってください。待ってくださいよ。」
ちょっと、こいつを入れるのは抵抗があるが料理部門が他にいないから仕方ないか。
あとはモーブと土中か、元々親交がある連中だから問題ないが、それにしてもモーブがまとめ役とはな。
他に人材がいないのか?いないんだろうな、生き残りダンジョンマスターは30ほどだし、俺みたいにたまにしか来ないの者いるだろうからな。
さてマイヤーにお茶を頼んで二人が来るのを待とうか。
しばらくするとパペットにつれられて二人がやって来た。
「のう、なんのようじゃ?せめてしゃべれるのを寄越してほしいものじゃ。こんなプラカードを持たせて人を呼びつけるとはの。」
「そおっす、しかも(すぐ来い‼byネス)て意味がわかんないっすよ‼」
マイヤーに頼んだのが間違いだったか?
もう少しなんとかならなかったのかよ。
「すまないな。パペットに頼んだらそうなったんだ、次は気を付けるよ。とりあえず座ってくれ。マイヤーみんなにお茶を出してくれ。」
座るように促して、茶の用意を頼んだ。
「これからは気を付けるんじゃな。でだ、呼んだのは例の件じゃな?」
「ああ、とりあえず、生産に関係している者に声をかけた訳だが、他のダンジョンマスターたちの状況を詳しく知っているか?」
「ダンジョンマスターたちの状況っすか?え~と、全員で32名っすよ。その内、戦況が厳しい状況のダンジョンが6、余裕があるの11、引きこもりが5、辺境10ってとこっすね。」
「引きこもりってなんだよ?」
「攻略が不可能に近い階層を作っている連中っす。」
「儂やエリーゼもその分類では引きこもりじゃな。その呼び方は嫌じゃがな。」
「そうですよ。その呼び方には断固抗議します‼」
土中は憮然として、エリーゼは尻尾を毛羽立たせて抗議の声をあげる。
「へー、二土中はどんなふうな階層を作っているんだ?」
「儂か?いくつかの立体を置いて合計の体積を答えないと開かない扉をつけただけじゃが?まあ、入れば入り口が閉まり6時間ほどで水が一杯になるがな。時間がかかるとあれじゃから同じ部屋を3つ作っておるよ。」
クイズ系トラップか、酷いな。冒険者に答えられる訳がない。
しかも情報をもって帰ることも出来ないとは悪辣過ぎないか?
「酷い罠ですね、冒険者さんがかわいそうです。」
「そう言うお前はどうなんじゃ?」
「私のところですか?階層全部を細い通路にしているだけですよ?膝まで水を入れて階層の気温を5度にしているだけですよ?」
こっちも酷いんじゃないか?
階層全部を最低の幅で通路を作ると800キロ?
突破は絶対に無理じゃね?