33、食材神(笑)
本日は2話です。
街に着いたがあえて連絡せずにエリーゼを驚かそうか。
となると魚を運ばないとな。
パペットに運ばせようか、魚を箱に入れてまとめて運ぶかな。
他にバーベキューコンロや七輪、鍋に調理道具、調味料なんかも持って行こうか。
ついてから転送させようか。
パペット4体にそれらを持たせてマイヤーと共にエリーゼの店に向かうことにする。
エリーゼの店は、街が出来てから店の設定に変更したため中央部ではなく、裏通りの端にあるのだが、随分と人が並んでいるな。
流行っているようで何よりだ。
しかしダンジョンマスターは、行列を作るほど暇なのかな?
なかにはダンジョンマスターではないものも並んでいる。
気配が違うんだよな。
捕獲された冒険者だろうか。
割りとキレイなものが多い。
さてと、エリーゼを呼び持って来た魚を渡そうと行列を素通りして店に入ろうとすると肩を捕まれた。
「おい、なに行列を素通りして店に入ろうとしていやがる。」
種族は鬼系だろうか?大柄の男が怒気をはらんだ声でいって来た。
「いや、客ではなく俺はエリーゼに用があってだな。」
「エリーゼだと‼我らが女神を呼び捨てにするとは‼野郎ども!!」
「「「「おう!!」」」」
なんだ?色違いの鬼がぞろぞろ出て来たぞ。
「我らが女神を守るため!!」
「我らの食事を守るため!!」
「ラブリーチャミーな欠食児童!!」
「世のため、人のため、空腹のため!!」
「この腹の虫を恐れぬならば‼」
「「「「「かかって来い!!!!!」」」」」
ドカーン!!
・・・・え~と?なにこれ?どこぞの戦隊?
「礼儀を知らぬお主に我らの女神に会う資格はない、それでも会うと言うならば我らを倒してゆけ!!」
これは、どうしたらよいんだ?
「ネス様、お下がりください。ここは我らにお任せを!!」
よくわからんが任せて見るか。
「わかった任せるぞ、マイヤー。」
「そのふざけた食欲をぶち壊して差し上げましょう。さあ、目を見開いてこれをご覧なさい‼」
マイヤーは運んで来た木箱を開けた。
「な!!まさかそれは!!」「存在していたのか?」「嘘だろう?」「偽物じゃないのか?」「く、なんだその物体は!!」
「ええぃ!!控えおろう、この箱の中身をなんだと心得る、恐れ多くもネス様がお取りになった海産物であるぞ。頭が高い、控えおろう。」
「「「「「ハ、ハァァァ」」」」」
一斉に平伏する鬼たち・・・・・・・なにこの茶番劇は?
この空気は、どうしたらいいんだろうか?
「もう!!店の前で騒がないでよ‼・・・・・?なにこのカオスな状況は?」
店からエリーゼが出てきたが状況が飲み込めず困惑している。
どうしたらいいかわからずおろおろしている俺、ふんぞり反っているマイヤー、平伏鬼たち、あ、回りで見ていた連中も平伏している。
「え~と?ネ、ネスさんお久しぶり、今日はどうしたの。」
見ていないふりしやがったな、しかし、この空気から逃げるには、よし乗った‼
「久し振りだな、魚がとれたので宣伝も兼ねて客に出してやって欲しくてな。」
「まあ、お魚うれしいわぁ、ホホホッ。」
「そうか、それはよかった、ハハハハ。」
早く立てよ‼いつまでも平伏しているんじゃない。
「バーベキューコンロを持って来たから焼いて食おう。今日は悪いが店仕舞いしてくれ。」
「う~ん。まあいいかな?お魚代は要らないんでしょ。」
「ああ、好きに使ってくれ。お前らも早く立てよ。食わせてやるから。」
「マジ!」「おい、他の連中も呼んで来い。」「魚だ‼魚だ‼」「ヤフー」「あんな暴言はいたのに。」「そういや、あのマギドール食材屋にいたぞ」「あいつ食材屋か」「食材の神だ」「食材神だ」「食材神万歳」
おいおい誰が食材神だよ‼
「マイヤー、調理を頼む。俺は疲れたからかえる。」
「食材神万歳!!」「食材神万歳!!」
鳴り止まない万歳の声に打ちのめされてダッシュで俺は逃げるしかないのだった。
【おめでとうございます。ダンジョンマスターネスは称号《食材神(笑)を得ました。》】
えッ?
ちと暴走してしまった。