28、置いていったものとドワーフ
エリーゼが置いていったものを確認したら、驚いた。
なんっ~もんおいていくねん?
思わず関西弁風の感想が出てしまう。
まさに宝と言っても過言ではないものだった。
「これは、種籾なのか?」
量はさほど多くはない、精米すれば1合あるかないか位だろうか。
しかしよく種籾のまま置いていってくれたものだ‼
これで栽培できる。
当面は、ダンジョン内で育てよう。
あまり量がないので今はよいが田んぼを作るとなると場所が足りないな。
どうしたものか?
他のものの生産量を減らすかな?
地上部の生産はもう少し時間がかかるし、新階層を作るポイントはない。
収穫できるようになるまでにいいアイデアが思い付けばよいかな?
それにしても人が来ないな?
こちらからいってみるか?
「マイヤー、外に出てくる、店番を頼むぞ。」
「お待ち下さい、できますならばお供をさせていただきたいのですが。」
「う~ん、まあいいだろう。ロッテかテンを呼んでおいてくれ。まだウットドールだがミクがいれば大丈夫だろう。」
「ありがとうございます。至急呼んで参ります。」
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「じゃ、あとは頼んだよ。ロッテ、ミク」
「いってらっしゃいですぅ~。」
さてなにがあるかな?
店を出ても相変わらず人がいないな。
総人口80位だとこんなのもだろうか?
まずは、隣から順に見ていくかな?
・・閉まっている、次も、その次も、その次の次も…………開いている店はないのか?
ウチみたいに店番をするものがいなければやはりこうなるかな?
お、ここは開いている。
「ごめん下さい?」
「おお、客じゃ、よう来た、こっちこい。」
ドワーフのような髭ズラのおっさんがカウンターの中から出てきた。
「失礼します。」
「ワシは、土中じゃよろしゅの。」
「俺はネスです。こっちは俺のマギドールのマイヤーです。」
「ほー、マギドールかの、一時期オークションに出ていたウットパペットの出品者はお主だの?」
「ええ、そうですよ。」
「ワシにも一体売ってくれんかのう?」
いきなりパペットを売れってか?売ってもいいんだがいくらにするかな?
「パペットで500だな、スキルは2つ選んでいいよ。ただし、クラスチェンジはできないぞ。」
「構わんよ、2体構わんか?」
「スキルはなんにする?あ、魔法系は無理だぞ。」
「ふむ、では一体を家事と料理、もう一体を鍛冶と木工でよいかな?」
「1体目が掃除とかの家事、2体目が金属加工の鍛冶ということでよいかな?」
「有無、それで頼む。」
「パペット召喚」
俺はそれぞれスキルをつけて召喚した。
「これでよいかな?」
「うむ、1000ポイントであったな。助かるぞ。」
「取り引き成立だな。ところでここは何を売っている?」
「ワシンとこは、武器屋じゃな。」
「他の店が何を売っているか知っているか?ほとんど閉まっていたんでわからんのだよ。」
「ほとんどが、モンスターや奴隷の冒険者、冒険者どもの武器じゃな、女どもは味見済みで有ろう。」
冒険者かそのうち買うかな?
情報源や労働力に使えるか?
山の向こう側に拠点を作った時にカモフラージュに使うこともできる。
その内に考えよう。
「‥い、‥‥と…か。ネス、聞いとるか?」
「すまんな、ちと、考え事をしていた。」
「これだから近頃の若いもんは‼」
「お互いに生後半年だろうが‼でなんだ?」
「お主の店は何を売っているんじゃと聞いておる。」
「ウチか?基本的には、食材や調味料に酒かな?」
「なんじゃと‼酒があるのか、よこせ!いくらじゃ。買うぞ‼はよ持ってこい、酒じゃ酒持ってこい。」
このおっさんはアル中か?ドンだけ酒がほしいんだ?
「少し落ち着け、欲しければ家の店まで来いよ。エールとリンゴ酒ならあるから。ちなみに2リットルの瓶で10ポイントだ。」
「よし行こう、すぐ行こう、はよ行こう。」
やっぱりこいつドワーフじゃないのか?
おい、引っ張るな‼おっさん‥とこの武器はまだ、見ていないぞ。
飲まさんといけないか。
とりあえず固定客にはなりそうだ。
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ドワーフもとい土中に引っ張られて帰宅しました。
他の店の確認したかったのですが・・・・。
まあ、ある程度の情報は土中から聞いたのでそんなに大きな問題ではないのだが、なんかしっくり来ないものがあるな。
「さあ、早く酒を飲ませろ、さあ、さあ、さあ!!!!」
はぁ、ドンだけ酒がほしいんだ。
とえいあえず、エールの壺(1リットル)を出してやるか?
お試しということで一壺位サービスしてやろう。
パペットも買ってもらったしな。
アイテムボックスからエールの壺を取り出して渡してやる。
「ほらよ、これはサービスだが次は買えよ。」
「酒じゃ‼」ごきゅ!ごきゅ!!ごきゅ!!!ぷはー‼
「おかわりじゃ。」
はやっ!!イッキかよ‼
「おかわりはいいがポイントを払え。5ポイントだ。払えば精算台から出てくるように設定した。」
「うむ、こうじゃな。」ごきゅ‼ごきゅ‼ごきゅ‼ぷはー‼
「もう一杯、ポチ」ごきゅ‼ごきゅ‼ごきゅ‼ぷはー‼
「もう一杯、ポチ」ごきゅ‼ごきゅ‼ごきゅ‼ぷはー‼
「もっとじゃ、ポチ」ごきゅ!!ごきゅ‼ごきゅ‼ぷはー‼
こいついったいドンだけ飲むんだろうか?
まあ、好きなだけ飲んでくれ。
こっちはポイントがうはうはだから問題ないし、俺はエールが苦手だから飲み干されてもいいだろう。
「ぷはー、飲んだ、飲んだ、久しぶりの酒じゃ。しかし、酸味が強くていまいちじゃったな。」
「・・・・こんだけ飲んでそれを言うか?」
壺がひい、ふう、みいの10?いや後ろにもう2つあるから12個か?
合計12リットルもどこに入ったんだ?
酔った形跡も無いな、どうなっていやがる?
「イヤー、ガハハハ、久しぶり過ぎて歯止めが利かんかった。」
「まあ、ポイントさえ払ってくれれば問題ないが。ん、どうした?」
土中が何やら思案しているようだが、何か問題でもあったか?
「うむ、味はともかくとして、ちと、酒が弱い気がしての、もっときつい酒はないのか?」
エールじゃアルコールが弱いか、アルコールの高いものか?リンゴ酒もあるが多分気に入らんだろうな。あれは、かなり甘口出しな、葡萄酒は寝かしが足らないからまだ出せないし、どうするか?
そうだ、錬金術で水分量を減らしてみるか?
「ちょっと待っていろ、試してみたいことがある、《錬金》これでどんな感じかな?」
壺の中身が1/4位になったが濃いアルコールの匂いがする。
単純に考えてエールが6%位だったから25%前後まで強くなったはずだな。
次にするときは盥の中に壺を置いてやろう。酒から抜いた水分で回りがびちょびになってしまった。
「きつい匂いじゃが、味はどうじゃ?ごきゅ‼ごきゅ‼ぷはー‼」
「イッキ飲みするんじゃない。で、どうだ?」
「強くはなったんじゃが、炭酸がきついのとエール自体の苦味や雑味が強くなりすぎじゃ、逆にアルコールだけ取り出して水を混ぜた方がまだましのような気もするのぅ。」
「そっちの方がうまいか?樽にいれて何年か寝かしてみるかな?すぐには飲めないだろうが、試してみるかな?」
「ところで頼みがあるんじゃがの。」
「なんだ?」
「エールを定期的に譲ってくれんか?」
「どのぐらいだ?いっておくがまだ生産力がそんなに高くないから多くは出せないぞ。」
「週50壺位なんとかならんかのぅ。」
それぐらいならなんとかなるかな?
いや、それだと他に回す分が少なくなりすぎるだろうし、蒸留酒を作らせたいのでちょっと無理だな。
半分位なら回せるか?そのぐらいが妥当な線か。
「今のところ25だな、出せるのは。」
「・・・・・・。仕方ないか。それでよいわ。でだ、もうちと安くはならんか?」
「無理だな、こっちも生産するのに、結構コストがかさんでいるんでね、増産設備に投資する必要もあるし。」
「そうか、では仕方ないの。」
バタン!!!
「お願いです‼助けて下さい。」
いきなり扉が開いて現れたのは、エリーゼだった。