26、狐娘は泣いている
あれから10日、開店の日だ。
【開店一時間前だ。ダンジョンマスターは端末を見ろ。】
いきなりだな。ビックリするだろうが‼
【ハハハァ!!驚いたかね。気にするな‼少し説明をさせてもらう。端末にA、B、Cと出ているだろう。Aは商品が揃い開店できるもの、Bは商品はないがいずれ店をしたいもの、Cは店をする気のないものだ。開店時の場所決めになる。】
【ただし、Aは直ぐに販売可能であること、Bは3ヶ月以内に販売準備を終えることが条件であり、できなかったものは、罰則ペナルティをかすから気お付けたまえ、以上健闘を祈る。】
当然Aだな。
開店準備は整っている。
早く時間にならないかな?
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さて時間だ‼
まずは、外に出て見るか。
片側ざっと20件位か?
通りの奧は行き止まりの様だな。木材で封鎖されている。
まん中に十字路があり、俺の店の裏にも建物がある様だが後で確認するか?
「ミク、マップはないか?」
「え~と、端末に表示できますよぉ~。」
「こうか?」
端末を操作するとマップが表示された。
王の字のように道があり、それにそって建物があるようだ。
拡張を予定しているような街の作りだが、ひょっとしてダンジョンマスターは増えるのか?
「ミク、このエリアは拡張されるのか?」
「え~と、この〔ドゴーン〕は、〔ピーー〕様が作られたので〔禁則事項です。〕なのですぅ~。」
「フム、よくわからんな?まあいつものことか。各店の商品はわかるか?」
「各店主が端末に表示設定をすれば表示されますぅ。」
「そうか、とりあえずのぼりをたてておくかな?客引きする気は今のところないし、通りに人影もない。しばらく店の中で様子みかな?マイヤー、お茶をいれてくれ。」
「畏まりました。いつもの緑茶でよろしいですか?」
「それでいい。あと摘まめるものも頼む。」
マネのところで茶の木が見つかったんだよな。
そんなに大きな木ではないからそんなに量は取れないし、挿し木で増やそうと育てさせてはいるが育つまで数年は必要だろう。
俺の分は充分あるし紅茶や烏龍茶の研究もさせている。
コーヒーの木はないかな?
「ネス様、お茶とクッキーをオモチしました。」
「ん、ありがとう。」
「あの~、私にもぉ~くれまでんかぁ~。」
「仕方ない、一枚だけ分けてやる。」
「わーいですぅ~。」
さて客は来るのかね?
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コンコン
「失礼します。やっていますか?」
おや?だれか来たようだ?
「やってますよ、どうぞ、お入りください。」
「失礼しますね。」
そういって入って来たのは、狐の獣人の女性だった。
ちょっと不安そうだな?狐耳が少し垂れている。
あれ?種族は変えられたっけ?
まあいいか?初めてのお客さんだ、おもてなしをしてあげよう。
「いらっしゃい。どうぞ、こちらに。マイヤー、お茶を頼む。」
「畏まりました。」
「あ、お構い無く。」
「お気に為さらずに、初めてのお客さんなのでサービスだと思ってください。」
「ありがとうございます。え~と、ここは、何を売っているんですか?のぼりには、サンドイッチやホットドックなんかが書いてありましたが?」
ちょっと怪訝そうだな。食品を売っているのが不思議そうだな。
「家の商品のメインは、野菜や果物ですよ、調味料なんかもありますよ。後ろの棚にありますが?」
「食材や調味料ですかぁ!!みせてもらいますね‼」
「どっどうぞ。」
えらい食い付きだな。しっぽが残像を残しそうなほどふっているよ。
「大根にニンジン、おいもに……こっちにはチーズが!あ、お醤油に味噌も、………………グズ。」
おいおい泣き出したよ‼どうしよう?
「と、とりあえず落ち着いてください。お茶でものんで。」
「あ、すいません…………緑茶…………グズ」
あーまた、泣き出したよ、しばらく、放置するしかないか?
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「落ち着いたか?」
「すいません、ご迷惑をおかけしました。」
まだ、泣き腫らした目で見つめてくる。
俺が泣かしたような罪悪感を感じるな。
「とりあえず自己紹介をしようか、俺はネス、こいつがナビピクシーのミク、後ろがマギドールのマイヤーだ。」
「ミクですぅ。よろしくですぅ。」
「マイヤーと、もうします。」
「あ、すいません、私は、エリーゼと申します。よろしくお願いいたします。」
「よろしく、で、どうして急に泣き出したんだ?」
「実は・・・・・・・。」