75話 魔王「俺は世界を破壊する」
~ストーリー~
先代の魔王の手によって、長きの間、封印され眠りについてた魔王の息子が、久々に目を覚ますと、父親である魔王が勇者に討たれた10年後の世界だった。
さらにその事情を教えてくれた、かつて先代魔王の右腕だった参謀から、魔王を討たれ力を無くした魔族は、人間に無条件降伏したと、驚くべき事実を伝えられる。
しかし驚く事はそれだけでは無く、人間側は、無条件降伏を締結させるにあたって、魔王の息子である自分を、新魔王として即位させる事を条件の一つとして言ってた来たと言うのだった。
~今回のあらすじ~
一連の事件の黒幕は信用していた創造神だった。
しかし創造神が言うには、それは世界を滅ぼさないようにするためだと言うが、今その真相よりも襲われている街を救わないと思った矢先、魔王の姿が消える。
女勇者たちと創造神は魔王が行った先と思われる、荒れ果ての地の街へと向かう。
登場キャラ
魔王
前魔王の息子で、人間の国の要請で新しい魔王に就任した。
前魔王と違って花や動物を愛する優しさと高圧的な者には強く出れない気弱い性格。
年齢も人間換算で15歳。
そして魔王の系譜らしくとてつもない魔力の持ち主だが、その力を恐れた前魔王に自分は弱いと洗脳されている。
後妹がいる。
女勇者
口も性格も悪い外道勇者。
気は強いが逆境に弱く、泣いてしまう事もある。
また火に対し強いトラウマを持っている。理由は不明。
見た目は胸は小さく金髪ツインテール。
神官妹
聖職者だが計算高く、自分が助かるためなら平気で仲間を見殺しにする汚い性格をしている。
また性癖が年上思考で、大臣を愛している。
元勇者のパーティーで僧侶をやっていた時期もある。
神官姉
神官妹の姉。
喋る事が不得意で話す言葉が訥々になりがちになる。
そんな風だから引っ込み思案に見えるが意外に自分の意志を通す。
性癖は年下思考で子供が好き。
その事から見た目が子供な魔王が好き。
後ちょっとMっ気もあるかも知れない。
魔法使い
エルフで魔王軍に娘を殺された事から、その恨みを晴らす為魔法使いになった。
性格は真面目で固い印象があるが、子供を慈しむような優しい一面もある。
女勇者とは魔王討伐の為パーティーを組んでいた時期もあったが、女勇者の心無い言葉を言われ現在はとても嫌っている。
・魔族の子供たち
魔族子供♀
魔族の少女、少し控えめだが仲間思いの優しい子
魔族子供1
ヤンチャな性格で、すぐに無茶な行動するトラブルメーカー。
魔族子供2・3
魔族子供1の子分のような存在
魔族っ子幼
魔族の幼女。
戦魔将軍を父と呼んでいた戦災孤児。
何事も疑いなく信じてしまう無邪気な性格、後まだ喋るのになれていない。
呪族の幼女
魔族とは違い、呪いの力を使う一族の生き残りで元その女王。
前の戦いで覚醒魔王に力を根こそぎ奪われ封印されてしまい、幼女の姿になってしまう。
幼女になった当初は喋るのに慣れず舌足らずだったが、だんだん慣れてきている。
わらわなど、昔の日本のお姫様のいような喋り方をし、その喋り方通り高飛車な性格をしており、さらに呪いの一族らしく恨みがましく陰湿な性格もしている。
また性癖が同性愛者な事から若い女が好きで、見てくれが美しい女勇者が好き。
参謀
前魔王の片腕だった魔族。
魔王を復活させて今の状態を作ってしまった張本人。
行動では魔王につき従っているフリをしているが、内心では魔王を利用して魔界の再建を狙っている。
そのように表の態度とは裏腹にいつも何か隠している感じの油断のならない性格をしている。
商人
姫の専属アドバイザーとして仕えている商人。
姫に頼まれ魔王をおとしめる為にやってきた。
口が上手く、人の心をつかむのが上手いが、その反面いつも何か隠しているようにも見える胡散臭い人物。
姫
王国の姫。
常に上から目線で物を言う高飛車で傲慢な性格しており、利権など金になる物や自分が面白いと感じた物に目が無い。
今回も魔界の利権を狙ってやってきた。
メイド
大臣たちが魔界視察に来た時についてきたメイド。
いつの間にか魔王城に住み込み生活をしている。
メイドらしく引っ込み思案な気弱な性格。
また女勇者に拾われてメイドになったらしい。
その過去には何か色々ある様子。
戦魔将軍
元旧魔王軍の七魔将軍の一人。
戦魔名前のごとく力で全ての物事を解決しようとする戦士系タイプの魔族。
ミノタウロスがさらにマッチョになったような容姿をしており、正々堂々をモットーとする豪快で武人のような性格をしている。
ただ認めた主にないがしろにされるのは苦手で、よく魔王の言葉に素でショックを受けていたりする
また語尾にござるを付ける。
戦魔副長
戦魔将軍の右腕的存在で、柔らかい考えに冷静に場を見れる事から、頭の悪い戦魔将軍の代わりに色々考えてくれたりする。
性格も平和主義者と言うほどでもないが、むやみに喧嘩をして敵を作る事は良しとはしない性格。
妖魔将軍
魔王軍七魔将軍の一人で、戦魔将軍の弟。
家族が泣き叫ぶ顔見ながらその家族を食い殺す、魔族でも嫌悪するヘルムシュヴァイセンと言う料理を好んだり、そんな残虐な事を好む救いようない外道魔族。
戦中に女勇者によって拷問されて殺された筈だが、何故か甦って再び勇者の前に現れる。
法王
創造神教の最高トップ。
ヒップホップ系の変なしゃべり方をするグラサンをかけたデブ。
普通の喋り方も出来る。
チッパイが好き。
魔王姫
魔王の妹、魔王を死ぬほど敬愛しており、魔王のためなら命投げ出す事もいとわない。
体は「過剰魔力体質」の負荷で神経がやられているため不自由。
そのためゴーレムのような憑代を移動手段や普段の生活するための体にする。
戦士
かつての勇者パーティーの一人。
狂信的な勇者像を持ち、それを女勇者に押し付けすぎる為、本人から凄い嫌われている。
剣の腕前は勇者に引けを取らない。
かつて妖魔将軍に囚われていた女勇者を助けたのも戦士。
創造神
この世界の万物の神にして唯一神的存在。
神らしい言動をするが、予想外の言葉を振られると言葉に詰まる。
裏で妖魔将軍や戦士などを操り、何かをやっていた。
神官妹「世界が滅ぶって…魔王が醜い争いを見て邪神が復活すると言う奴ですか?」
魔法使い「や、やはり創造神様は何かお考えがあって…」
神官妹「…」スッ(魔法使いを牽制する)
魔法使い「…神官妹?」
神官妹「女勇者も前々から言ってましたが、それ本当何ですか?」
創造神「…」
魔法使い「な、何を言っている創造神が嘘をつくことなど…」
神官妹「妖魔将軍何か生き返らせてる自体で色々とおかしいでしょ!」
魔法使い「だ、だからそれは何かお考えがあって…」
神官妹「お考えも何も、魔王に醜い争い事を見せてはいけないのに、なんであんな奴を甦らせるの?」
神官妹「争い事になるに決まってるじゃない…どう考えてもおかしいのよ!」
魔法使い「そ、それは…」
神官妹「何で頭の良い貴方がそこに気づかないの?」
魔法使い「確かに…おかしいような…でも創造神様が嘘をつくわけが…そ、そうお考えがあるのだ…お考えが」
神官妹「ちょっと魔法使いしっかりしてよ!」
創造神「…彼女を責めないでください、それがエルフであり、役割なのです」
神官妹「役割…?」
神官妹「…それは一体どう言う事かしら」
女勇者「そんな事はどうでも良い! 早く荒れ果ての地の街にアタシたちを飛ばしてくれ!」
神官妹「お、女勇者…そ、そうねとりあえずこの騒ぎを止めないと…」
魔王「うあああああああああっっっっ!!!」
一同「!」
女勇者「ま、魔王?」
魔王「臭い臭い臭い臭い!! この匂いは嫌だあああっっっっ!!!」
魔王「あああああああっっっっ!!!」シュン!
一同「!」
女勇者「消えた…?」
創造神「く…追いかけます!」
一同「え?」
創造神「…!」シュン!
荒れ果ての地の街
魔王「…」
下級魔族「止めて助けてー!」
兵士「ひゃはははは」ズバズバ!
下級魔族「ぎゃああああ!」
兵士「燃えろ燃えろ!」
下級魔族「せっかく建てた私の建物が!」
姫「ふん…」
戦士「不機嫌そうだな?」
姫「当たり前じゃろう、せっかく出来た街を焼き討ちにしてしまうのだからな」
姫「魔族など、どうでも良いが…それだけがちと勿体無くての」
戦士「確かに」
姫「まあどうせわらわの手には入らなかったのじゃ」
姫「ならばいっそ壊してしまって方がスッキリして良いかも知れん」
戦士「そりゃ恐ろしい…くく」
姫「…それより本当なのじゃろうな? こうすれば世界を救う事が出来ると言うのは」
戦士「ああ…本当だ、ただし世界を救うんじゃねえ…俺たちが世界から解放されるんだ」
姫「わらわたちが世界から解放…?」
姫「なんじゃ意味が分からん」
戦士「まあ…分かるさ、その時が来ればな」
戦士「この世界の真実って奴がな…」
魔王「…」シュン!
戦士「…! 来た」
戦士「よーし姫さん、もっと兵士を暴れさせろ…」
戦士「もっと人間が醜いところをみせるんだ、くく人間のな」
姫「わ、分かった…おいもっと派手に兵士を暴れさせろ」
団長「はっ!」
兵士「オラオラ!」グサグサ!
兵士「死ね死ね!」グサグサ!
下級魔族「ぎゃああああ!」
魔王「…!」
魔王(酷い…酷いよ)
魔王(何で人間さんは…人間は)
魔王 (こんなことをするんだ…うう)
魔王(うう…凄い臭い…何だこの匂いは?)
魔王(これは…この…渦巻く激流のような)
魔王(激しい流れ…これはこれは…人間の…心?)
魔王(世界にいる人間の心?)
魔王(救いようの無い…恐ろしい狂気の感情…それが世界を腐らせている?)
魔王(その臭いなのか…?)
創造神「着きました!」
女勇者「く…」タタタ。
神官妹「あ、女勇者お待ちなさい!」
魔王(勇者さん!?)
魔王(一体どこへ…あの先は…!)
魔王(魔族子供♀さんのお店…)
女勇者「魔族子供♀ーーーっ!!!」
女勇者「…!」
魔王(…! く…)
魔族子供♀「…」
女勇者「…」フラ…。
兵士「すげえ金があるぞここ!?」
兵士「ああ魔族のガキ一人しか居なかったから、大した事無いと思ってたけど…大当りだったな俺たち!」
兵士「ああ!」
兵士「…ん?」
兵士「あれ、女勇者様?」
兵士「本当だ、何でこんなところに」
女勇者「魔族子供♀…」ペチペチ。
魔族子供♀「…」
魔王(勇…者さん)
兵士「何だ? あの魔族の死体の頬を叩いて…」
兵士「さあ? 勇者だから死んでも魔族には容赦無いんじゃ無いか? すげー魔族が嫌いって言ってたし!」
兵士「そっか…流石勇者様だな」
兵士「だな! 殺した時の話をすれば勇者様に褒めて貰えるかも知れないから話してみようぜ!」
兵士「いいなそれ! もしかしたら女勇者様に取り入れるかも知れないぞ!」
兵士「勇者様!」
女勇者「…え」
兵士「その魔族を殺したのは俺達です!」
女勇者「あ…?」
兵士「いやーガキの癖に最後まで抵抗して来て本当に生意気でしたよ」
兵士「ここはお姉ちゃんの店だからとか何とかしつこくて…」
兵士「もー俺ら魔族の癖にってすげえ頭に来たから、いつもより多く刺しておきましたよ!」
兵士「あれは傑作だったよな!」
女勇者「…」ガタガタ。
兵士「あれー? 女勇者様どうしました」
兵士「それよりこいつの姉もどっかにいるんだろ? そいつも見つけ出して殺さないとな?」
兵士「いやーもうどっかで他の誰かに殺されてるでしょ」
兵士「だな!」
兵士「「ひゃはははは」」
女勇者「…黙れ」
兵士「「え?」」
女勇者「…!」ズバッ!
兵士「…!」
兵士「え? どうしたのお前首飛んでるけど…」
兵士「…!」
兵士「ひゃあああああっ!!」
兵士「な、何で勇者様!?」シュン
女勇者「…お姉ちゃんを殺したいんだろ?」
兵士「へ?」
女勇者「殺してみろよ」ゆら…。
兵士「な、何だよそれ…意味わかんねえよ!」
女勇者「じゃあもう臭いから死んでろよ」ズバッ!
兵士「ぐはっ!」ドサ。
女勇者「…」
魔族子供♀「…」
女勇者「ちょっと…ここで待ってろよな…」なでなで。
兵士「な、何だ今の悲鳴は…」
兵士「何だお前は…え? 女勇者様?」
女勇者「すぐに終わらせて来るから…!」
女勇者「…」ギロ。
兵士「ひっ…」
兵士「な、何?」
女勇者「…」ダッ!
兵士「な、何だ」
女勇者「…!」ズバッ!
兵士「がはっ!」ドサ。
兵士「た、助けて!」
女勇者「…」ズバッ!
兵士「ぎゃ!」ドサ。
女勇者「…」
女勇者「……うおおおおおおおおああああっ!!!」
魔王(…! 勇者さんの心も…!?)
魔王(ダメだ…そんな心になっちゃ…!)
魔王(出ないと…出ないと…)
???『世界は終わりだ』
魔王「…!」
魔王「あれ…ここは?」
魔王「白い空間…何だこの空間」
魔王「…! 前にもここに来たような…」
???「意識を共有し始めたから思い出したか」
魔王「意識を共有…?」
???「お前はそうならないように、綺麗な存在で居続けなければ行けなかった、綺麗な世界を見続けなければいけなかった」
魔王「…? 何を言って…意味が分からない」
???「いや…俺の為ではないか、お前の為だな…」
???「お前は自分の理想の世界、魔族と人間…それが平和に暮らせる世界を作るために、その為には俺を起こしちゃいけなかったんだよ」
???「例えどんな理由があっても」
???「だが…世界を…人間の心の美しさを保つ勇者が完全に黒に染まった今となってはもう遅い」
???「世界は…腐世新界の基準に達した…」
魔王「腐世新界…?」
???「世界は今一度作り直される…」
???「全てを無にしてな」
魔王「何ですって…!? な、何でそんな事をするんですか!?」
???「説明は不要だ…何故なら」
???「お前と俺はもうすぐ一緒になるのだからな」
魔王「え…?」
兵士「ぎゃああああ!」
兵士「助けて…!」
兵士「何で勇者様が…!?」
女勇者「うあああああああああ!!!」
創造神「お止めなさい女勇者!」
女勇者「創造神…」
女勇者「うるせえええええっっっ!!! 止めるならお前もぶっ殺すぞっ!!!」
創造神「魔族子供♀を失った悲しみなら、私がすぐ生き返らせてあげますから、これ以上人間を憎むのを止めなさい!」
女勇者「え?」
創造神「…!」
創造神「…は!」パアアアア!!
魔法使い「これは…!」
魔族子供♀「…」
魔族子供♀「…う~ん」
女勇者「…!」
魔族子供♀「…は!」
魔族子供♀「お、お店から出てって下さい!! ここは…ここはお姉ちゃんと私のお店何です!」ジタバタ。
魔法使い「お、おい落ち着け!」
魔族子供♀「…! あれ魔法使い…さん、私どうして…」
神官妹(…蘇生魔法? いや…蘇生とかそんなんじゃなくて…万物なら何でも生み出せる創造の力なのね…)
魔族子供♀「えーと…何がどうなって」
魔族子供♀「急に人間の兵士がやって来て…それから…えーと」
女勇者「魔族子供♀!」
魔族子供♀「あ、お姉ちゃん! あ…そうだ兵士がやって来てお店をメチャメチャに…」
魔族子供♀「ごめんなさいお姉ちゃん…私お店を守れなかった…」
女勇者「馬鹿っ!」ダキ!
魔族子供♀「お、お姉ちゃん!?」
女勇者「何で逃げなかったんだ…馬鹿!」
魔族子供♀「お姉ちゃん…」
魔族子供♀「ごめんね…どうしてもお姉ちゃんと一緒に頑張ったお店を守りたかったの…ごめんね」
女勇者「もういい! もういいからこれからはこんな無茶は絶対にやるな…」
魔族子供♀「…うん、ごめんね」
女勇者「良かった…本当に良かった」
魔族子供♀「…うん」
創造神「ほっ…」
創造神(良かった…どうやら女勇者の暴走は止められたようね)
戦魔将軍「…ぬうう他の者はどうなったのだ、戦魔軍は魔族っ子は…」
戦魔副長「た、大将」ヨロ。
戦魔将軍「副長! 大丈夫か!?」
戦魔副長「へえ、あっしは何とか…くそ人間の野郎いきなり攻めこんで来て…」
戦魔副長「すいやせん、かなりやられちまいしたが…けど魔族っ子や子供たちは無事です」
魔族っ子「お父さん!」
魔族っ子幼「おとーさん!」
魔族子供1「戦魔のおっちゃん!」
戦魔将軍「おおお!! お前らよくぞ無事で…良かったな!」
魔族子供たち一同「おー!」
創造神「…」クス
戦士「全ての子を愛さないといけない創造神が、一方に肩入れする真似して良いのかね?」
一同「…!」
女勇者「…戦士!」
戦士「何だよ親の仇を見るような目で見やがって…それが命の恩人に対する態度か?」
女勇者「うるせえええええっっっ!!! いつまでも昔の事を言ってんじゃねえ!」
女勇者「お前がこの街に兵を送り込んでこんな真似を…!」
戦士「おお怖い、送り込んだのは姫だけどな…それを煽動したのは確かに俺だよ、否定はしねえ…」
女勇者「良い覚悟じゃねえか…」
創造神「戦士…何故貴方までこんな真似を…!」
創造神「このままでは世界の滅びが早まると言ったではありませんか…!」
創造神「そうなれば貴方も死ぬ事になるのですよ? 何の何故こんな真似を…」
戦士「それは違うな…」
創造神「え?」
戦士「お前たちの作ったこの世界を壊せば良い…つまり解放されれば死ぬ事にはならない」
創造神「か、解放?…何故そう思うのです…この世界は貴方たち人間が望んだ世界なのですよ!?」
創造神「それなのに何故…」
戦士「それがお前たち神が封じなくてはいけない人間の飽くなき欲望と言う奴なんだよ」
創造神「だから貴方たち人間はそれを捨てたくて…」
戦士「知るか昔の堕落した人間の考えなんざ」
戦士「それに今更何を言っても遅い」
創造神「!」
魔王「…」
戦士「もう目覚めるのは止められない」
戦士「破壊神の目覚めをな…」
神官妹(破壊神…! やっぱり邪神では無かったのね)
女勇者「破壊神…?」
魔王「…うう」
女勇者「ま、魔王?」
魔王「ううう…!! うわあああっ!!!」カッ!
一同「!」
神官妹「す、凄い魔力…」
女勇者「く…」
魔王「ああああっ!!!」
魔王「…!」
魔王「はあ───っ!!!」バシューン!
魔王「……ふう」
神官妹「…お、大きく…大人になった?」
魔法使い「これが破壊神…」
神官姉「いや───っ! 元に戻して!」
神官妹「それどころじゃ無いでしょう…;」
魔王「…さて」
神官妹(動いた…!)
神官妹(創造神が世界を創造するなら…破壊神はその逆すると言う事?)
神官妹(でも何なのかしら…これはそんな単純な話じゃ無いような気がする…)
創造神「待ちなさい破壊神!」
魔王「何だ…創造神?」
創造神「まだ1万年も経っていないのに、世界をリセットするには早すぎるわ!」
魔王「時間は関係無い、基準に達したら世界をリセットする、それが俺の役割だ」
創造神「でも女勇者は元に戻ったわ! だから人間の欲望や狂気も基準以下に落とせるはずよ!」
魔王「関係ない…基準に達した時点でアウトだ」
女勇者「アタシ…?」
創造神「でも…!」
魔王「…お前もそうならないよう人間の心を腐らせないため色々とやってたようだが…それも全て徒労に終わったな」
創造神「破壊神…」
魔王「俺はこの世界のルールに従って世界をリセットする、何を言われてもそれは変わらない」
魔王「そしてこれは人間自身…マスターたちが望んだ事なのだ…」
魔王「それを忘れたのか創造神…!」
神官妹「私たちが望んだって…」
魔法使い「一体どう言う事なのだ…?」
魔王「…もうすぐ消えるお前たちには関係の無い事だ…」
魔王「…!」
戦士「馬鹿が消えるか…」
創造神「破壊神…!」
女勇者「戦士…?」
神官妹「あの剣…魔王に刺さった!?」
魔法使い「何故!?」
神官姉「魔王…ちゃん!?」
参謀「それはこの本で作った特別な剣【神殺し】だからですよ」
一同「!」
創造神「その…本は…」
女勇者「参謀…いつの間に…!?」
神官妹「か、神殺しって…?」
参謀「大昔にこの世界は必ず破壊神によって滅ぼされる運命である事を知った者がいました」
参謀「その者はその運命から逃れる為に、この世の物では絶対に倒すことが出来ない、絶対不可侵な存在である神を殺す方法を見つけ完成させていたのですが…」
参謀「ある神に見つかりその者は抹殺され、その技術は闇に葬られてしまっていたのです」
参謀「そうですよね、そのある神であります創造神様?」
一同「!」
魔法使い「ま、まさか全てを愛する創造神様がそのような他の生き物の命を奪う事など…」
創造神「まさかあの本の複写があったとは…」
魔法使い「…! 創造神様…!?」
参謀「全てを愛するなど建前ですよ、所詮は偽神ですから…」
魔法使い「偽神…!?」
参謀「とは言え…我ら魔族やエルフに取っては大いなる存在であることは変わりませんが」
参謀「根本的には私たちは人間の為に用意された役割でしかありませんからね」
創造神「…! 本の事はとにかく、何故貴方までがその事を…」
参謀「簡単です、もう一人の神に聞いたのです」
創造神「…! 彼女が!? まさか…マスターに一番忠実だったあの子が…そんな…何故」
参謀「さあ?」
創造神「く…」
魔王「…」
戦士「へっへっへ、戻る時を待ってたぜ」
戦士「魔王のままの状態で倒しても器が壊すだけで、破壊神自体を殺すことにはならねーからな…」
戦士「だが完全に破壊神になった今のお前を殺せば、確実にお前を仕留める事が出来る」
戦士「そしてお前さえ死ねば、もう2度と世界は消える事は無い!」
戦士「残念だったな?」
魔王「…」
参謀「勝った…!」
創造神「それはどうかしらね?」
参謀「何…!?」
創造神「あの本には確かに絶対不可侵の体を傷つけられる武器の作り方だった」
創造神「だけどそこまで…」
創造神「神は体を傷つけられるだけじゃ…死なない」
参謀「何だと!?」
魔王「…」
戦士「へっへっへ…」
魔王「…!」ガッ(戦士の首を掴む)
戦士「…! 何…がはっ!」
戦士「こ、この傷で動ける…だと!?」
魔王「…」ギリギリ。
戦士「ごはっ! ゲホ…!」
戦士「くっ…そ、はな、離せ…」
魔王「…残念だったな?」
戦士「…!」
魔王「…」ゴキ!
戦士「…!」
戦士「あ…が…」ダラーン。
参謀「!」
魔王「…」ポイ。
戦士「…」ドサリ。
参謀「…」
創造神「…私たちの体は絶対不可侵の他に超再生も兼ねているのです、ちょっと傷付けられたくらいどうと言う事はありません」
創造神「それが神なのです…破壊神を倒す方法などこの世にありません」
参謀「…」
参謀「そうでしょうか?」
創造神「え…?」
魔王「…!」
魔王「これは…」
女勇者「…? 何だあれ剣が刺さった部分から魔王の体が黒くなっていく?」
戦士「や…」
魔王「…!」
戦士「…やっぱり、残念は…お前…だったな」
戦士「ガハッ」
戦士「…」ガク。
創造神「あれは一体…」
参謀「ふ、貴女たちなら良く知ってるでしょう?」
創造神「何…何の事?」
創造神「あ…!」
参謀「そう…【ういるす】ですよ」
創造神「…! そんな事まで……何故」
創造神「…! それも彼女が…」
参謀「ご名答」
魔王「…く」
参謀「…まだ動けるのか!?」
創造神「破壊神待って…どこへ行く気!?」
魔王「俺は…何があろうと、世界を破壊する…!」
魔王「それだけだっ!」バシューン(空を飛ぶ)
創造神「ま、待って破壊神! 貴方が死んだら…その先は!」
創造神「その先はどうするのよ…私はどうすれば良いのよ…」ガク。
魔法使い「そ、創造神様…」
神官妹「何なのよ! 一体何がどうなっているのよ!」
女勇者(ま、魔王…)
続く
戦士もそれに参謀までもが裏切っていた。
しかしそれは世界から解放されるためだと言うがそれは一体どう言う意味なのか?
そして創造神は何故戦士や妖魔将軍を蘇らせたり力を与えて暴れさせていたのか?
次回に続きます。