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敗戦魔王の戦後処理  作者: てんたま
73/79

72話 魔王「優しくない者が平和な世界など作れない」

一日遅れましたすみません><

どうしても話がうまくまとまらなくて申し訳ありませんした。


~ストーリー~

先代の魔王の手によって、長きの間、封印され眠りについてた魔王の息子が、久々に目を覚ますと、父親である魔王が勇者に討たれた10年後の世界だった。

さらにその事情を教えてくれた、かつて先代魔王の右腕だった参謀から、魔王を討たれ力を無くした魔族は、人間に無条件降伏したと、驚くべき事実を伝えられる。

しかし驚く事はそれだけでは無く、人間側は、無条件降伏を締結させるにあたって、魔王の息子である自分を、新魔王として即位させる事を条件の一つとして言ってた来たと言うのだった。


~今回のあらすじ~

前回、魔族と人間、戦争で生まれた互いの禍根を無くすために、自分の妹である魔王姫の処刑に賛同してしまった魔王。

賛同していたとは言え、やはり実の妹が死ぬ事に気落ちする魔王。

しかし無情に処刑当日の日はやってくる。


登場キャラ


魔王

前魔王の息子で、人間の国の要請で新しい魔王に就任した。

前魔王と違って花や動物を愛する優しさと高圧的な者には強く出れない気弱い性格。

年齢も人間換算で15歳。

そして魔王の系譜らしくとてつもない魔力の持ち主だが、その力を恐れた前魔王に自分は弱いと洗脳されている。

後妹がいる。


女勇者

口も性格も悪い外道勇者。

気は強いが逆境に弱く、泣いてしまう事もある。

また火に対し強いトラウマを持っている。理由は不明。

見た目は胸は小さく金髪ツインテール。


神官妹

聖職者だが計算高く、自分が助かるためなら平気で仲間を見殺しにする汚い性格をしている。

また性癖が年上思考で、大臣を愛している。

元勇者のパーティーで僧侶をやっていた時期もある。


神官姉

神官妹の姉。

喋る事が不得意で話す言葉が訥々になりがちになる。

そんな風だから引っ込み思案に見えるが意外に自分の意志を通す。

性癖は年下思考で子供が好き。

その事から見た目が子供な魔王が好き。

後ちょっとMっ気もあるかも知れない。


魔法使い

エルフで魔王軍に娘を殺された事から、その恨みを晴らす為魔法使いになった。

性格は真面目で固い印象があるが、子供を慈しむような優しい一面もある。

女勇者とは魔王討伐の為パーティーを組んでいた時期もあったが、女勇者の心無い言葉を言われ現在はとても嫌っている。


・魔族の子供たち


魔族子供♀

魔族の少女、少し控えめだが仲間思いの優しい子


魔族子供1

ヤンチャな性格で、すぐに無茶な行動するトラブルメーカー。


魔族子供2・3

魔族子供1の子分のような存在


魔族っ子幼

魔族の幼女。

戦魔将軍を父と呼んでいた戦災孤児。

何事も疑いなく信じてしまう無邪気な性格、後まだ喋るのになれていない。


呪族の幼女

魔族とは違い、呪いの力を使う一族の生き残りで元その女王。

前の戦いで覚醒魔王に力を根こそぎ奪われ封印されてしまい、幼女の姿になってしまう。

幼女になった当初は喋るのに慣れず舌足らずだったが、だんだん慣れてきている。

わらわなど、昔の日本のお姫様のいような喋り方をし、その喋り方通り高飛車な性格をしており、さらに呪いの一族らしく恨みがましく陰湿な性格もしている。

また性癖が同性愛者な事から若い女が好きで、見てくれが美しい女勇者が好き。


参謀

前魔王の片腕だった魔族。

魔王を復活させて今の状態を作ってしまった張本人。

行動では魔王につき従っているフリをしているが、内心では魔王を利用して魔界の再建を狙っている。

そのように表の態度とは裏腹にいつも何か隠している感じの油断のならない性格をしている。


商人

姫の専属アドバイザーとして仕えている商人。

姫に頼まれ魔王をおとしめる為にやってきた。

口が上手く、人の心をつかむのが上手いが、その反面いつも何か隠しているようにも見える胡散臭い人物。


王国の姫。

常に上から目線で物を言う高飛車で傲慢な性格しており、利権など金になる物や自分が面白いと感じた物に目が無い。

今回も魔界の利権を狙ってやってきた。


メイド

大臣たちが魔界視察に来た時についてきたメイド。

いつの間にか魔王城に住み込み生活をしている。

メイドらしく引っ込み思案な気弱な性格。

また女勇者に拾われてメイドになったらしい。

その過去には何か色々ある様子。


戦魔将軍

元旧魔王軍の七魔将軍の一人。

戦魔名前のごとく力で全ての物事を解決しようとする戦士系タイプの魔族。

ミノタウロスがさらにマッチョになったような容姿をしており、正々堂々をモットーとする豪快で武人のような性格をしている。

ただ認めた主にないがしろにされるのは苦手で、よく魔王の言葉に素でショックを受けていたりする

また語尾にござるを付ける。


戦魔副長

戦魔将軍の右腕的存在で、柔らかい考えに冷静に場を見れる事から、頭の悪い戦魔将軍の代わりに色々考えてくれたりする。

性格も平和主義者と言うほどでもないが、むやみに喧嘩をして敵を作る事は良しとはしない性格。


妖魔将軍

魔王軍七魔将軍の一人で、戦魔将軍の弟。

家族が泣き叫ぶ顔見ながらその家族を食い殺す、魔族でも嫌悪するヘルムシュヴァイセンと言う料理を好んだり、そんな残虐な事を好む救いようない外道魔族。

戦中に女勇者によって拷問されて殺された筈だが、何故か甦って再び勇者の前に現れる。


法王

創造神教の最高トップ。

ヒップホップ系の変なしゃべり方をするグラサンをかけたデブ。

普通の喋り方も出来る。

チッパイが好き。


魔王姫

魔王の妹、魔王を死ぬほど敬愛しており、魔王のためなら命投げ出す事もいとわない。

体は「過剰魔力体質」の負荷で神経がやられているため不自由。

そのためゴーレムのような憑代を移動手段や普段の生活するための体にする。


戦士

かつての勇者パーティーの一人。

狂信的な勇者像を持ち、それを女勇者に押し付けすぎる為、本人から凄い嫌われている。

剣の腕前は勇者に引けを取らない。

かつて妖魔将軍に囚われていた女勇者を助けたのも戦士。

女勇者「…」

女勇者(…魔王が自分の妹を…他のやつの命を犠牲にするって簡単に口にするとか)

女勇者(あいつは…魔王の癖に他人の事ばっか気にして大切にしてて…)

女勇者(そんなアイツが…あんな事を言うなんて…やっぱなんかおかしい…)

女勇者(よく分かんないけど…とにかく、おかしい…)

女勇者(おかしい…おかしい…おかしい…!)

女勇者 (うう…なんかイライラする)

女勇者 (…?)

女勇者(でもアタシ何でイライラしてるんだろ…?)

女勇者(そ、そうだ…別に魔王の妹が処刑されようとされまいとアタシには関係無いじゃないか…)

女勇者(妹キャラを処刑するのはちょっと…勿体無いのはまあ確かだけど…)

女勇者(…それだけじゃなくて…何か…嫌なんだよ…)

女勇者(魔王が…その、命を見捨てるところが…)

女勇者(何か優しくないところが…)

女勇者(だってアタシはアイツを見てて…優しく…///)

女勇者 (…!)

女勇者(違う、違う! アタシはそんなんじゃないっ!)ブンブン(かぶり降る)

女勇者(アタシは…自分の幸せのためなら何でもやる、他人も平気で裏切る)

女勇者(勇者らしさなんて欠片もない、外道勇者なんだ! そうなだんから)

女勇者(だから…違う!)

女勇者(魔王の妹が死んじゃおうとも、魔王が何か優しくなくても関係ない)

女勇者(そう関係ないんだから…!)

女勇者「…」

女勇者(ああ~でもイライラするモヤモヤするっ!)ジタバタ。

女勇者「…」ジタバタ。

女勇者「…」ジタバタ。

女勇者「…」ジタバ…。

女勇者「…」

女勇者(…何だかよく分からないけど…決めた…)

女勇者(アタシはとにかくこのイライラとモヤモヤを無くすために行動する)

女勇者(それで良い、ウダウダ悩むのは…もう止めた)

女勇者(私は自分が思うままに行動する…それで良いんだ)チラ。

女勇者「明日が…青月の晩か…」


~処刑当日、姫の居城~


姫「魔王様、足労かけましたの」

魔王「いえ…お気遣いありがとうございます」ズーン|||

神官妹(魔王、結局当日まで落ち込みっぱなしでしたわね…)

魔法使い(魔王が良いと言うならそれで良いかも知れんが…相変わらず見るに耐えんな…)

魔法使い(王の務めとは言え、良くこんな状態で処刑公開に出て来れたものだ)

神官妹(…まあ魔王がここを乗りきってもらえれば、色々と面倒も片付いて良いんですけどね…)

神官妹 (しかし…)

姫「むふふ」ニマニマ。

神官妹(あの姫の表情…気になりますわ…)

神官妹(…何かまだ企んでるのかしら?)

姫「ではでは魔王様、これから魔王姫の処刑を執り行うが…本当に良いのだな?」

魔王「はい…それが…人間界に迷惑をかけた魔族の責任ですから…」

姫「ほほ…流石魔族の王族、高潔らしい見事な潔さじゃ」

姫「その気持ち十二分に取り組んで、受け取ろう」

魔王「はい…」

姫「じゃから…魔王姫にはたっぷりと苦しみを味わってから死んで貰おうかの」

魔王「…え」

姫「用意せよ!」

姫の兵士「ちょりーす」ガラガラ。

ゴオオオオオオオッ!!(火柱)

姫の兵士「オイラオイラ!」ガラガラ。

ガコンガコン(会場の中央から何かせり上がってくる)

魔王姫「…! な…に、これは」

魔王「魔王姫!」

魔王姫「お兄さま…!」

姫の兵士「まだまだ!」ガッコン!

ガラガラガラガラ!(開閉式の巨大な鉄格子上に登って行く)

巨獣「ガアッ! ガルルルルルッ!!!」

魔王姫「…ひ!」

魔法使い「何だ…この用意は…これはまるで…」

魔王「ひ、姫様こ、これは一体何ですか!?」

姫「魔界には身内の眼の前でその関係者を焼肉にして食べると言う恐ろしい処刑法のヘルムシュヴィセンなる物があるらしいの~?」

一同「!」

魔王「ま、まさかヘルムシュヴィセンを魔王姫に…」

姫「そのまさかじゃ、まあ我らは魔族の肉など食いたくは無いから、代わりに巨獣に食べて貰うことにしたがのう…」

魔法使い「…悪趣味な」

神官妹 (なるほどね…姫の笑いの原因はこれか…)

魔王「な、何で…王族として扱いをしてくれると)

姫「ああ…じゃからこの扱いなのじゃ」

魔王「え…」

姫「今日の処刑に集まった人間を見てみよ」

魔王「集まった人間を…」

人間「うおおおおおっっ!! 良いぞやっちまえっ!」

人間「憎い魔族に我ら人間の怒りの鉄槌をっ!」

人間「私は娘を殺された! 魔族は苦しみ抜いて死んでちょうだいっ!」

魔王「…!」

姫「と言う訳じゃ…普通に殺したのでは、遺族の怒りは収まらない…王族ならなおさら」

姫「だからもっとも彼らが望む王族の処刑法を用意したと言う訳じゃ」

姫「魔王様、期待に答えられんですまんの、ほほほ」

姫「それで…これからこの処刑法で始めるが…本当に良いのじゃな?」ニヤァ…。

魔王「え…」

神官姉「…!」

神官姉「姫様…あん…まりです! これ以上…魔王…ちゃんを苛めないで!」

姫「ふん…苛めでは無い…」

姫「これが我国に戦争犯罪を行った敗戦国の務めであり、当然の姿だ」

魔王「…!」

魔王「敗戦国…」

人間「死ね死ね死ね死ねクソ魔族!」

人間「殺して! 早く殺して!」

ワーワーワー!!

魔法使い「いかんな…全員に回りに飲まれて酷い興奮してるな…群集心理と言うやつか…」

神官妹(これだから底辺どもは…)

魔王(…何て)

魔王(何て…凄い…人間たちの感情の流れ…)

魔王(まるで激流のみたいな…大きな波のような…)

魔王(怒ってるのは分かってたけど、ここまでとは…思ってなかった…)

魔王(そ、それにしても…何か…臭い…)

魔王(何だ…この臭さ…?)

魔王(嫌だ…この匂い…嗅ぎたくない…)

魔王「う…」

姫「どうした体調が優れないか? まあそれも仕方ない事かも知れんが」

姫「そんなに辛いなら、刑を取り止めても良いのじゃぞ?」

魔王「…え?」

姫「魔王姫の命も助けてやってもやらんでは無いと言ってるんじゃ」

魔王「え、ほ、本当ですか?」

姫「まあそれには…荒れ果ての地の街を渡して貰わないといかんのじゃがな」

魔王「荒れ果ての地の街を…でもあそこは僕だけの街じゃ…」

姫「何を悩む必要がある…そなたが首を縦にふれば、魔王姫は苦しんで死ぬどころか、命も助けられるかも知れないんじゃぞ?」

魔王「魔王姫を苦しまない…助けられる…」

姫「そうじゃ…悪い話ではあるまい」

姫「それに王と言うのは、民の言うことを聞くだけが王ではない、民の不満を抑えるのもまた王の務めじゃぞ?」

魔王「王は…民を抑えるのも務め…」

魔王「それは、そうかも知れないけど…でも…」

魔王(自分の我が儘のために…魔族を押さえつけるなんて出来ない…)

魔王(でも…魔王姫をヘルムシュヴィセンで苦しめることは出来ない…)

魔王(それに僕はもう…魔王姫を…見捨てたのに今更)

魔王「僕は…僕は」ブルブル

姫(…ち、ここまで脅しても決断出来ぬか…)

姫「…決められない仕方ない」

魔王「!」

姫「刑を始めよっ! 先ずは指から焼くのじゃっ!」

魔王「魔王姫…!」

姫の兵士「へいへい、ちょりーすちょりーす」

姫の兵士「じっくりちょっきりやってけば良いんでしょ」

姫の兵士「つー訳で、怨みはないけど…焼肉タイム始めるよー?」

魔王姫「く…げ、下劣な人間め…無抵抗な者をなぶるとは…恥じを知らないのか!?」

姫の兵士「いやなぶる為にこれやる意味あるっしょ? 馬鹿なの死ぬの?」

魔王姫「これ以上…お兄さまのお目を汚すくらいなら死んだ方がましだ!」

魔王姫「殺せっ! 頼むから殺してくれっ!」

姫の兵士「まあ刑をやってればそのうち死ぬっしょ」

姫の兵士「あらよっと」ズルズル。

魔王姫「! や、やだ…は、離せ! 離せー!」

姫の兵士「はーい、焼き焼きしましょうねー」

姫の兵士「食べ放題のお客さん待たせると怖いから」

巨獣「ぐおおおおおおっ!!!」

魔王姫「ひ…!」

魔王姫「…や、やだ」

魔王姫「こんな弄ばれて死ぬなんて…やだっ!」

魔王姫「殺せっ! 普通に殺してくれっ…うう…」

姫の兵士「うーんそっかそっか、大変だね」

魔王姫「え?」

姫の兵士「すぐに痛みで気にならなくなると良いね?」

魔王姫「ひ…」

姫の兵士「それまでガマンガマン」ズルズル。

魔王姫「いやあああっ!」

姫(お、おお…中々良い演出ではないか)

魔王(う、うう…魔王姫…)

人間「うおおおやれやれーっ!」

人間「俺にも食わせろっ!!」

魔王(魔王姫…)

人間「早く焼いてーー!! 兄も妹も苦しむ姿を見せてーー!!」

魔王「…!」

魔王「おえええ…」ビチャ。

姫「汚なっ!」

神官姉「魔王…ちゃん、大丈夫!?」

姫「全く…いくら気分が優れなくても、王族が人前で吐くとはどう言う教育を受けておるんじゃ…」

魔王「…臭い」

姫「それは、お前の匂いでさぞ臭いだろう」

姫「うう…わらわも貰い物しそうじゃ…」

魔王(臭い…ここは臭い…)

魔王(この臭さ…は…)

魔王(腐っている…?)

魔王(世界が───)

魔王(腐っている匂い?)

魔王「うう…」ドサ。

魔法使い「おい大丈夫か!?」

神官妹(マズ…! もしかして邪神が復活しようとしてるのでは…!)

神官妹「ひ、姫様! 今すぐ刑を止めてください!」

姫「はあ? 止めるわけ無いじゃろ…」

神官妹「このままだと世界が滅びますよ!」

姫「…何を世迷言を…ええいとっととやれいっ!」

神官妹「バカっ…!」

姫の兵士「ええやりますよ、じゃあ指からいきますか…」

魔王姫「…!」

魔王姫「…うう」プルプル。

魔王姫 (い、いや…こんな死にかたなんて…)

魔王姫(誰か…誰か…助けて)

魔王姫(お兄さま…助けて…!)

姫の兵士「ふんふ~ん」

姫の兵士「…!」

姫の兵士「ぐはっ」ドサ。

魔王姫「…え」

魔王姫「な、何…?」

女勇者「…」

姫「なっ!」

魔法使い「女勇者…?」

神官妹「どこに行ってたと思ったら…」

魔王「え…勇者…さん?」

人間「え? あれって…」

人間「勇者…?」

人間「何で魔族を助けるんだ…?」

魔王「…!」

魔王(…何だ、腐った匂いが…少し薄れて…?)

魔王姫「…! 女勇者…貴女が私を…何故?」

女勇者「ふん…別にお前の為じゃねーよ…」

魔王姫「ならどう言う理由だと言うの!?」

女勇者「るっせーな、そんなことはどーだって良いんだよ」

女勇者「良いから逃げるぞ…」

女勇者「…!」

女勇者「く…!」キィン!

戦士「へっへっへ、そうは上手く行かせないんだよなぁ…」

女勇者「くっやっぱり出てきたか…」

戦士「いけねーな勇者が魔族の助けるなんざ…勇者がそんな事をして良いと思ってるのか?」

女勇者「だから…お前の妄想なんざ…知らねーっての!」ギィンッ!

戦士「おおっと、流石勇者だな…凄い力だな」

女勇者「…これ以上邪魔するなら…マジで怪我じゃ済まさねーぞ?」

戦士「恐いねぇ…!」

戦士「だけどなぁ…そう言うのはやってから言えや!」ダッ!

女勇者「…!」キィン!

戦士「ひゃっはー!」キィンキィンキィン!

女勇者「…」キィンキィン。

女勇者「!」ギィン!

戦士「く…!」

戦士「さ、流石勇者だな、この程度簡単にさばけちまうか…」

戦士「はっはっは、さ、流石俺が見込んだ勇者だっ!」

女勇者「…言わないでおいてあげたんだ」

戦士「あ?」

女勇者「…昔、命を助けてもらったし、あんたが勇者にこだわる理由は分かってた…だから気を使っていた」

戦士「何を言ってる…?」

女勇者「アンタは小さい頃から強かったから、自分の事を勇者だと勘違いしていた」

女勇者「でも勇者じゃなかったから、いずれ勇者である私に実力を超えられるのを凄い恐れていた」

女勇者「戦士…お前はアタシに取って、妖魔将軍からヒーローでいなければいけなかったから」

女勇者「だけど年月は過ぎ、勇者の力を完全に引き出したアタシの実力はとっくの昔にあんたを超えてしまっていた」

女勇者「それを完全に自覚したあんたは、変な勇者像押し付ける変人のふりをして受け入れようとしてなかった」

女勇者「そんなあんたはとても滑稽だったぜ?」

女勇者「そう滑稽であまりに可哀相だったから、気を使ってあんたより強くなっていないフリをしてた」

戦士「…」

女勇者「あんたを倒すなんて簡単なんだよ」

女勇者「だからこれ以上邪魔するなら…」

女勇者「もう…あんたは殺す…!」

魔王姫「女勇者…」

戦士「……」

戦士「…へ」

女勇者「?」

戦士「へっへっへ」

戦士「へっーへっへっ!」

戦士「へぇーっへっへっへっっっ!!」

女勇者「な、何だ…てめ」

戦士「へへ」

戦士「…やってみろよ?」

女勇者「…!」

女勇者「…」

女勇者「はあ…」

女勇者「…! 聖光転身!」

戦士「…!?」

女勇者「はああああっっ!!」ズバズバズバ!!!

戦士「ぐわぁーーーーっ!!」

魔法使い「戦士…!」

神官妹(倒した…!?)

魔王「勇者さん…」

女勇者「戦士…」

女勇者「…助けてくれた事は忘れないよ…」

戦士「…」

戦士「じゃあ今その礼を返して貰おうか!?」

魔王姫「!」

女勇者「!」

戦士「おらっ!」ズバー!

女勇者「がっ!」

女勇者「…な、何で…斬ったはずなのに…」ガク。

戦士「どうした、俺を超えてたんじゃないのかよっ!」ドカ!

女勇者「ぐはっ!」

戦士「へっへっへ…」

女勇者「げほっ! げほ…」

女勇者「な、何で…」

戦士「くくく」

女勇者(確かに斬ったのに…何故斬れてない?)

女勇者(いや…この斬った時の手応え…)

女勇者(この手応え…あいつの時と一緒)

女勇者(妖魔将軍の時と…)

女勇者「戦士お前…一体」

女勇者「その体…一体どうなってやがる」

戦士「さあてね…とにかく今分かってるのはお前は俺に絶対に勝てないって事だ…」

女勇者「く…」

神官妹「ど、どうなってますの?」

魔法使い「分からん…しかしこの感じ…」

神官姉「妖魔将軍の…時と同じ…?」

神官妹「姫様…貴女、妖魔将軍と関わりが!?」

姫「妖魔将軍…? 何の事じゃ?」

魔法使い (…とぼけている?)

姫「?」

魔法使い(いや…そう言う感じでも無さそうだな…)

姫「何を言ってるか良く分からんが…商人が言ってた通り女勇者より強くなっていると言ってたのは本当じゃったようじゃの」

商人「はい」ニヤリ

商人(やはり戦士が自信満々に言ってただけの事はありましたね)

魔王「勇者さん…」

魔王「…く!」

神官妹「魔王様、どこへ」

女勇者「ち…何だか良くわからないけど…」

女勇者(妖魔将軍と同じって事か…とにかく倒せないならどうするか…」

戦士「良いねその諦めない目…それでこそ勇者だ」

女勇者「うるせー…だから勇者勇者キモいっつーんだよ」

女勇者(とは言え…殺せないなら、何とか魔王姫を連れ出して逃げるしか無いな)

女勇者「…!」ジワ(斬られた傷から血が滲む)

女勇者(いて…くっそ油断したぜ…)

女勇者(この傷のハンデ…少々厄介か…)

魔王「勇者さん!」

女勇者「…!」

魔王姫「お兄さま…!」

戦士「あん?」

女勇者「何だよ? 妹を助ける気なったか?」

魔王「そ、それは…」

魔王「で、でも…人間と魔族が仲良く手を取り合って平和な世界を作るには…」

魔王「魔族が人間にやった非道を謝罪しないと…謝罪してお怒りを静めてもらわないと…」

女勇者「…」

女勇者「確かに…怒らせた相手とまた仲良くなりてーなら、許してもらうしか無いよな」

魔王「や、やっぱりそうですよね…」

女勇者「だけどな…」

魔王「え?」

女勇者「それをやるために、妹の命を差し出すなんてやっぱり違うんだよ!」

魔王「え、勇者さんそれは…」

女勇者「アタシが妹好きだからって言ってる訳じゃないぞ!?」

神官妹(シスコンの自覚があったのね…)

女勇者「お前が言うそんな誰もが平和で仲良出来る世界なんて出来たら良いよな?」

女勇者「そんなお花畑の世界なんて馬鹿にしちゃうけどさ、でもどうせ住むならそんな世界に住んでみてよー!」

女勇者「でもそんな優しい世界を作ろうとしてるのに…それに妹を犠牲にするなんて…そんな優しくない選択する奴に、そんな世界作れる訳ねーだろっ!!」

魔王「…!」

女勇者「それに…」

女勇者「…」

女勇者「そんな選択するなんてお前らしくねーだよ!」

女勇者「いつもの優しいお前らしく守れよ! 自分の妹くらい!」

女勇者「本当に…その、魔族と人間が仲良く出来る世界を作りたいならよ…///」

魔王「…勇者さん」

魔王「…」

魔王「…勇者さん、すみませんでした」

魔王「僕は間違ってた見たいです…」

女勇者「ん…」

魔王「そうですよね…妹一人守れない僕がそんな国を守るなんて、平和の世界作るなんて…無理ですよね」

魔王姫「お兄さま…」

魔王「魔王姫…ごめん」

魔王姫「え…?」

魔王「僕は自分の身勝手な考えで、魔王姫を見捨てた…」

魔王「もう許してくれないかも知れないけど…本当にごめん…」

魔王姫「お兄さま…」

魔王姫「ふ…」

魔王姫「言ったでしょ…魔王姫はお兄さまに命を捧げていると…だから許すも何もありませんわ」

魔王「魔王姫…!」

魔王「うう…魔王姫…! 魔王姫!」ギュ

魔王「魔王姫…ごめん!」ポロポロ。

魔王姫「だから謝る必用はございませんわ」

女勇者「…」ニコ。

戦士「ふざけるなっ!」

一同「…!」

戦士「魔族の癖にそんな綺麗で感動的な話をして良いと思ってるのか!?」

戦士「魔族は醜く薄汚い物語だけを見せてれば良いんだよ!」

女勇者「うるせーぞこの病気野郎!」

戦士「ふん! 威勢は良いけど俺を倒せるのかよ?」

女勇者「ちっ…」

女勇者(確かに…どうすれば…)

魔王「…」スッ。

戦士「ん?」

女勇者「魔王…」

魔王姫「お、お兄さま…い、いけません!」

魔王「大丈夫です…魔王姫」

魔王「それに僕は…もう2度と魔王姫を見捨てません…手放したりしないと…僕は決めたんです!」

魔王「だから、どんな事があっても僕は魔王姫を守り通します!」

魔王姫「お兄…さま」

魔王「魔王姫…大丈夫、任して」ニコ。

魔王姫「…」

魔王姫「はい、分かりましたわお兄さま」

魔王「…」ニコ。

魔王「…!」キッ。

戦士「ちっ…生意気な面で見やがって…」

女勇者「…へっ、中々面白くなって来たじゃないか…」

魔王「絶対に魔王姫には手出しはさせません…!」

戦士「やってみろよっ!」ダンッ!

魔王「…!」

女勇者「魔王行ったぞ、気を付けろ!」

戦士「おらっ!」

魔王「…く!」キィン!

戦士「…! く…やっぱり堅いな…」

戦士「人間の武器じゃ無理か…」

戦士「でもこっちならどうだ?」

魔王「!」

戦士「おらぁっ!」ドゴ!

女勇者(殴った…!?)

魔王「う…」

魔王「く…」ポタポタ。

魔王姫「お兄さまっ!」

女勇者(…! 鼻血…)

魔法使い(やはり…妖魔将軍と同じか)

神官姉「魔王…ちゃん!」

神官妹(魔王にはどんな攻撃も通じなかったのに…人間の…しかも武器も使わないだだ殴っただけの攻撃の方がダメージが通るなんて…一体どんなカラクリがあるの…?)

魔王「…く」

戦士「へっ泣き虫魔王には耐えられない痛みだろう?」

魔王姫「お兄さま! お兄さま!」

魔王「…」

魔王「確かに…以前の僕ならこの程度の痛みできっと貴方の言うように耐えられなかったでしょう…」

戦士「あ?」

魔王「でも、何でだろ…今はちっとも痛くないっ!」

魔王「全然痛くないんですよっ!

戦士「何…!?」

魔王「妹に…手出しはさせませんっ!」ドゴ!

戦士「…!」ズサーーーっ!!

戦士「カハッ…」ボタボタ(吐血)

女勇者「!」

魔法使い「やはり魔王の攻撃も通じるのか…」

神官妹(勇者の攻撃は効かないのに殴る攻撃は効く…)

神官妹(双方とも拳の攻撃は効いた)

神官妹(同じ肉弾戦の攻撃が…)

神官妹(…!)

神官妹(同じ…肉体…?)

神官妹(まさか戦士も妖魔将軍も…!?)

神官妹(魔王と同じに…)

魔王「はあ…はあ…まだやりますか?」

戦士「く…」

魔王「もしやるなら…僕は…」

魔王「僕は…」

魔王「僕は自分の世界を守るために…」

魔王「貴方の世界を破壊する!」

戦士「…! 破壊…だと…?」

戦士「く、話が違うぞ…こうすれば良かったんじゃ無いのか…!?」

魔王「?」

女勇者「…!(何だ?)」

戦士「…ち、訳が分からねえ…」ダッ。

女勇者「あ、待て、この野郎!」

女勇者(行っちまったさ!)

女勇者(それにしても話が違う? 何の事だ?)


続く

戦士も妖魔将軍のように、魔王の攻撃しか効かない恐ろしい体に。

一体誰が戦士や妖魔将軍にその力を与えているのか?

そして戦士の言う話が違うとは?


次回に続きます。

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