48話 魔王「魔族子供1が脱獄?」
魔法使いの授業は10年間眠っていた魔王にはとても興味深い物だった。
そんな授業も終わり、エルフの村での一日が終わろうとした時、魔法使いに不満を持っていた魔族子供1が不穏な行動を取ろうとしていた…。
登場キャラ
魔王
前魔王の息子で、人間の国の要請で新しい魔王に就任した。
前魔王と違って花や動物を愛する優しさと高圧的な者には強く出れない気弱い性格。
年齢も人間換算で15歳。
そして魔王の系譜らしくとてつもない魔力の持ち主だが、その力を恐れた前魔王に自分は弱いと洗脳されている。
後妹がいる。
女勇者
口も性格も悪い外道勇者。
気は強いが逆境に弱く、泣いてしまう事もある。
また火に対し強いトラウマを持っている。理由は不明。
見た目は胸は小さく金髪ツインテール。
神官妹
聖職者だが計算高く、自分が助かるためなら平気で仲間を見殺しにする汚い性格をしている。
また性癖が年上思考で、大臣を愛している。
元勇者のパーティーで僧侶をやっていた時期もある。
神官姉
神官妹の姉。
喋る事が不得意で話す言葉が訥々になりがちになる。
そんな風だから引っ込み思案に見えるが意外に自分の意志を通す。
性癖は年下思考で子供が好き。
その事から見た目が子供な魔王が好き。
後ちょっとMっ気もあるかも知れない。
魔法使い
エルフで魔王軍に娘を殺された事から、その恨みを晴らす為魔法使いになった。
性格は真面目で固い印象があるが、子供を慈しむような優しい一面もある。
女勇者とは魔王討伐の為パーティーを組んでいた時期もあったが、女勇者の心無い言葉を言われ現在はとても嫌っている。
・魔族の子供たち
魔族子供♀
魔族の少女、少し控えめだが仲間思いの優しい子
魔族子供1
ヤンチャな性格で、すぐに無茶な行動するトラブルメーカー。
魔族子供2・3
魔族子供1の子分のような存在
魔族っ子幼
魔族の幼女。
戦魔将軍を父と呼んでいた戦災孤児。
何事も疑いなく信じてしまう無邪気な性格、後まだ喋るのになれていない。
魔法使い「…ふう」
エルフ兵士『何をしたって魔族! こんな事をやっても身無意味です!』
魔法使い「…」
魔法使い(厳しい批判を受けてしまったな…)
魔法使い(いや…あいつは…いやこの村の者は、言葉使いはだけは敬う感じのそれだが)
魔法使い(本音では私を疎ましく思っているのだ…)
魔法使い(…それもそのはずか…エルフは本来精霊術を使うもの…)
魔法使い(それを捨て、創造神に教えられたとは言え、人の魔法を使う魔法使いになってしまったのだからな…)
魔法使い(本来ならそんな事をしただけで追放者になって然りだが…)
魔法使い(それでも私がこの村で顔役になれるのは、ただ単に私が魔王倒した勇者のパーティーの一員だったからだろう…)
魔法使い(エルフに取って憎き魔王を倒してきたからであろう)
魔法使い(それにこの村は元私の村とは言え)
魔法使い(今のここは…戦中魔族に襲われて生き残ったエルフたちが集まって出来た村…)
魔法使い(誰一人知っている者はいない)
魔法使い(それもそうだ…私がいた村のみんなは…食われるか…魔石にされてしまったのだから…)
魔法使い(……おかしいな)
魔法使い(魔王倒して平和になって今同族に囲まれて暮らしているのに…)
魔法使い(私は…)
魔法使い(一人だ…)
エルフ兵士『あれは貴女の子供じゃないんですよ…?』
エルフ兵士『貴女は間違っている!』
魔法使い「…分かっているそんな事くらい…」ギリ。
魔法使い「あれが…私の子供じゃ無いくらい…」
魔法使い「…」
~魔族の子供に使わしている部屋~
魔族子供♀「え…何て言ったの…魔族子供1ちゃん」
魔族子供1「だーから逃げ出すんだよ!」
魔族子供♀「え、で、でも外に逃げたら死んでもらうって…」
魔族っ子幼「そうだぞ! ころされちゃうんたぞ!」
魔族子供1「ばーか! そんな事分かってるよ!」
魔族子供1「でも俺は魔族の戦士だからなっ!」
魔族子供1「あんなやつの言いなりになるのは我慢ならねえ! 死んだ方がマシなんだ!」
魔族子供1「おまえらだってそうだろ?」
魔族子供2「いや~」
魔族子供3「死にたくない」
魔族子供1「な、何だよお前らまで!」
魔族子供1「ちっ! わーったよ、じゃあ俺一人で行くから良いよ! 腰ぬけ魔王にも言うなよ! じゃあなっ!」
魔族子供♀「あ、だ、駄目だよ魔族子供1ちゃん!」
魔族子供2「ど、どうしよう…」
魔族っ子幼「まおーにとめてもらおうっ!」
魔族子供♀「そ、そうね魔王様ならきっと止めてくれるよね…よ、呼びに行きましょう!」
魔族っ子幼「うんっ!」
魔族子供1「ちっ…何だよみんなあんなババアに騙されやがって…」スタスタ。
魔族子供1「俺はあんな腰抜けな奴等とは違う…!」スタスタ。
魔族子供1「だって魔族の戦士なんだから…いつか戦魔のおっちゃん見たいに強くなるんだ!」スタスタ。
魔族子供1「こんな事でビビってられるかよ!」
魔族子供(そうだ…早く強くなって人間を魔界から追い出してやるんだ!)
???「えらいっ!」
魔族子供1「うわっ! だ、誰だ…」
魔族子供1「…あれ、戦魔の…おっちゃん」
???「…」
魔族子供1「じゃ、じゃない…ちょっと色が違う?」
魔族子供1「だ、誰だ…あんたは…? 魔族…だよな?」
???「如何にも! だが今は俺の事を話している暇は無い!」
魔族子供1「え?」
???「ここから逃げるのだろ? 俺が手伝ってやるぞ?」
魔族子供1「そ、そうだけど…何でそんな事をしてくれるんだ?」
???「そんな事同じ魔族の戦士だから、仲間だから当然であろう!」
魔族子供1「…! 戦士…同じ魔族の仲間…!」
???「そうだ! 仲間だ! さああんまりのんびりは出来ん急ぐぞ、こっちだ!」タタタ。
魔族子供1「ああ…ああ!」タタタ。
魔族子供 1「でも、何でこっちなんだ? 門はあっち側だぜ?」タタタ。
???「こっちには川から通した水を引いている水路がある! 少し潜れば儂でも外に通り抜けられるくらいの大きさなのがな!」
魔族子供1「な、なるほどそこを抜けるんだな…」
???「いかにも!」
???「ほらここだ飛び込め!」
魔族子供1「うん、あ、でも」
???「どうした?」
魔族子供1「首についた鈴が外に出ると、鳴り響くから、すぐバレちゃうけど…どうしよう…」
???「何だそんな事か」スッ
魔族子供1(石…魔石? でもあんな色のは見た事が無い…)
???「はっ!」パア
魔族子供1「…! あんた魔法が使えるのか!? 戦魔のおっちゃん見たいに戦士系なのに」
???「まあな」
魔族子供1「でも一体何の魔法を?」
???「勿論首の鈴が鳴らないようにする、魔法封じの術だ」
魔族子供1「おお! すっげー!」
???「さあ行くぞ!」ドボーン。
魔族子供1「うん…」ドボーン。
???「…」バチャバチャ。
魔族子供1「…はあはあ」バチャバチャ。
魔族子供「や、やった壁の向こう側に出れた…」ザバー。
???「そうだな…」ザバー。
魔族子供「スゲーなあんた! 名前何て言うんだよ!」
魔族子供「戦魔のおっちゃんの色違いだから、将軍とか…凄い魔族何だろ」
???「…ああ、前魔王の時は将軍だったな」
魔族子供1「すっげー! 何将軍だったの!?」
???「それは…」
???「これから死ぬ奴に言っても無駄だろ?」ニィィ。
魔族子供1「え…あんた…何を言って…」
魔法使い『私はあの時ほど、魔族のおぞましい笑みを見たことが無い』
魔族子供1 (おぞま…しい?)
魔族子供1「!」キィーン! キィーン!
魔族子供1「な、何だよこれ!? 何で鈴がっ!?」
魔族子供1「どうなってるんだよ! あんた魔法で鳴らないようにしたって!?」
???「そんな事やった覚えは無いなぁ…」
???「それよりこんな所でノンビリしてて良いのかな?」
魔族子供1「あ…あ…ち、ちくしょうっ!」ダッ。
魔族子供1「!」シュル。
魔族子供1「うわ!」ドタ。
魔族子供1「な、何…! な、何だこのツル…くそっ! くそっー! はなせっ!」シュルシュル。
???「はーい残念でした。それがお前に本当にかけた魔法…バインド(束縛魔法)だ」
魔族子供1「くっ! くっ…! な、何でこんな事をするんだよ!」
???「だってお前…捕まったら死ぬんだろ?」
魔族子供1「!」
???「いいねぇ~その顔最高だね」
???「俺は絶望する顔を見るのがだぁい好きなんだぁ~へへへ」
???「どうだ? 信じてた奴に裏切られた感想は?」
魔族子供1「う、うるせー! てめー何か最初から信じちゃいねえ」ジワ。
???「泣きながら言ってもねぇ…」
魔族子供1「く…」
???「おっと? ここにいるのもタイムアップのようだな」
???「エルフの団体さんがお付きのようだ…」
魔族子供1「!?」
???「じゃあな~お前が死ぬまでの恐怖を遠目から見ているから…楽しませる死にっぷりを見せてくれよなー」ペチペチ。
魔族子供1「ちくしょう…ちくしょうっ…!」
???「ははは」シュン!
エルフ兵士「いたぞ! あそこだ!」
魔族子供1「!」
~少し前の魔王の部屋~
魔王「…」
魔王「…ふう」パタ(本を閉じる)
魔王(魔法使いさんに貸してもらった、ここ10年分の年代記だけど…)
魔王(僕が寝ている10年間に、魔族の戦争だけじゃなく色々あったんだな…)
魔王(戦中だった時代にちょっと不謹慎かも知れないけど…)
魔王(色々興味深い事も知れたな…特にこの魔力が高いエルフを原料にして作る魔石は特殊な物になって)
魔王(魔法が使えない者でも、魔法を使える力を与える魔石製造法とか)
魔王(エルフさんを犠牲にするなんて、看過出来ないぞ…これは新しい魔界では製造に関しては全面禁止にしよう…よし)
魔王(うん…悲しい歴史だけど、それをやった魔族の関係者…しかも魔王なんだから)
魔王(目を背けず、しっかり見つめて認識していかないといけないよね…)
魔族っ子幼「まおー、まおー!!、」ドンドン!
魔王「! え、魔族っ子幼…何でしょう一体」ガチャ。
魔族っ子幼「まおー! 大変なんだよ早く来て!」
魔王「は? ちょっと状況が良く分からないのですが…」
魔族子供♀「ほ、本当に大変なんです魔王様!」
魔王「魔族子供♀さんまで…一体何があったのですか…まずは説明を…」
魔族子供♀「実は………と言う事なんです!」
魔王「ええ!? 魔族子供1さんがっ!?」
魔王「そ、それはいけない早く止めに行かないとっ!」タタタ。
魔族子供♀「はい…!」タタタ。
魔族っ子幼「おー!」タタタ。
魔王「と…咄嗟に出たのは良いけど…そもそも魔族子供1はどこに向かったのだろう…」
魔族っ子幼「どっちだろー!」
キィーン! キィーン! キィーン!
魔族子供♀「な、何…この音」
魔王「ま、まさか僕たちが村の外に出た時に鳴る音って…これなのか」
魔王「く…間に合わなかったか…!」
魔族子供♀「ま、魔王様…外に出たら…魔族子供1は…こ、殺されてしまうのですか?」
魔王「…! 僕は行きます!」
魔族子供♀「え?」
魔王「何とか殺されないように頼んで見ます!」
魔族子供♀「! わ、私も行きます!」
魔族っ子幼「あたしもいくぞー!」
魔王(なんと言う無茶を…)
魔王(魔族子供1さん…僕が行くまで何とか生きててくださいっ!)
続く
謎の魔族の手引きによって出たら殺すと言われた村の外に出てしまう魔族子供1。
しかも謎の魔族に裏切られ、エルフの追手が迫る中束縛魔法で拘束されてしまう。
魔族子供1の命運は一体どうなるのか? 次回に続きます。