第十一話 情報、――逸話。
「俺が知ってるのはここまで」
彩牙が話終わるのと部屋の襖が叩かれ、スーッと開いたのはほぼ同時だった。
襖から顔を覗かせたのはこの宿の女将。
「…、皆様ここにお集まり――なのですね。村の巫女が皆様にお会いしたいと申しております。社までご案内致しますのでどうぞ御準備を――」
「は?なんで俺等が向かう訳?巫女の方から出向けよ」
女将の言を遮りいかにも不快そうに眉間に皺を寄せた鳴門が毒づく。
「鳴門様のおっしゃる通りなのですが――巫女は私達村人に姿を見られる事と、話す事を禁じられているので――」
一瞬のみ女将の目に陰りが下りるが、それに気付いたのは蓮だけだったようだ。
「――そん…」
「――承知致しました。準備しますので10分ほどお待ち頂いても?」
続けて何か言おうとした鳴門を目で制すと、下戸成が後を引き継ぐ。
「畏まりました。では門の辺りにおりますので出揃いましたら声をかけて頂いても宜しいでしょうか?」
女将は下戸成が頷くのを見ると丁寧に頭を下げて退室した。
女将が出ていった後の反応は3パターン。
意味ありげに笑っているのは下戸成、彩牙、早乙女の3人。
状況に着いていけてないのが3人。
最後に憤りを隠せないのが1人。
「おぃっ、なんでこっちから行くんだよ!」
勿論言を途中で遮られた鳴門だ。
蓮はというと、観察した上で意味ありげに笑っているメンバーの顔触れを見、巫女か社かそれとも両方かはわからないまでも、何かあるのだろうという目星を付けていた。
「実際関係あるか半々だったから特に言わなかったけど、この村の巫女ってのが結構逸話が多いんだよ」
「逸話?」
何か奇異な話でもあるのだろうか?
「まぁまずは巫女に会いに行ってみようぜ」
特に何かを語るでもなく立ち上がった蓮に下戸成と早乙女が続く。
蓮はそんな三人を追うように席を立った。
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